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不動産クラウドファンディング|税金の仕組みと確定申告の手順・注意点を解説

不動産クラウドファンディング|税金の仕組みと確定申告の手順・注意点を解説

不動産クラウドファンディングは、少額から始められる手軽な投資方法として、最近注目を集めています。
不動産を直接持たなくても収益を得られるのが、不動産クラウドファンディングの大きな特徴です。

ただし、収益が発生する以上、税金や確定申告の知識が必要になります。
本記事では、不動産クラウドファンディングに関わる税金の基本や確定申告が必要な条件、手続きの流れ、注意点を解説します。

これから資産運用を始めたい方や、税金の処理に不安がある方は、ぜひ参考にしてみてください。

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この記事の監修者

持丸 雅士

ココザス株式会社|コンサルタント|FP

持丸 雅士

Masashi Mochimaru

突如起きた父親の入院・手術をきっかけにお金に対する不安を感じ、ファイナンシャル・プランナーの勉強を始める。
ファイナンシャルプランナー技能士2級及びAFP認定を取得後、お金に対する正しい知識・情報を世の中に伝えていきたいと思い、個人向け資産形成コンサルティング事業を展開しているココザス株式会社へ入社。
資産形成で不安を抱えているお客様の視点に立ち、年間800人以上の資産形成のサポートを行っている。
また現在はセミナー講師として講演会を行うなど、正しいお金の知識を広げる活動にも取り組んでいる。

不動産クラウドファンディングにかかる税金の基本|雑所得・総合課税

不動産クラウドファンディングにかかる税金の基本|雑所得・総合課税

不動産クラウドファンディングで得られる収益は「雑所得」に分類されます。
雑所得は給与所得や事業所得など、他の所得と合算され、「総合課税」の対象となります。
そのため、課税額は所得全体の合計額に基づいて決まります。

所得税・住民税の課税内訳

・所得税:累進課税方式(税率5%〜45%)。課税所得額が多いほど税率が高くなります
・住民税:税率は一律10%。課税所得額に応じて計算されます

課税所得額に基づく所得税率(国税庁基準)

※参照|国税庁「所得税の税率

以下に、控除額を含めた具体的な所得税額を示します。

課税所得300万円の場合(所得税率10%)

  • 所得税:(300万円 × 10%)− 97,500円 = 202,500円
  • 住民税:300万円 × 10% = 30万円

課税所得500万円の場合(所得税率20%)

  • 所得税:(500万円 × 20%)− 427,500円 = 572,500円
  • 住民税:500万円 × 10% = 50万円

雑所得単体で課税されるのではなく、給与所得や事業所得など他の所得と合算された課税所得金額が基準となります。

そのため、不動産クラウドファンディングの収益が少額であっても、他の所得が多い場合には高い税率が適用される可能性があります。

不動産クラウドファンディングで確定申告が必要な条件

不動産クラウドファンディングで確定申告が必要な条件

個人事業主や年収2,000万円を超えている給与所得者は、確定申告が必要とされています。

しかし、それ以外の人でも、不動産クラウドファンディングで得た収入が以下の条件に当てはまる場合には、確定申告が必要になります。

また、収入によっては、申告を行うことで税金の還付を受け取れる可能性があります。

雑所得が20万円を超えている場合(税金)

一般のサラリーマン(給与所得者)の場合、給与所得および退職所得以外の所得が20万円を超えると、確定申告が必要になります。

20万円以下の場合

  • 不動産クラウドファンディングの収益は、基本的に源泉徴収済みであるため、20万円以下の雑所得については確定申告は不要です
  • ただし、住民税の申告が必要な場合があります。住民税については、自治体のルールに従って確認してください

具体例(全員年収2,000万円以下です)

  • 会社員Aさんが、不動産クラウドファンディングで年間21万円の利益を得た → 確定申告が必要
  • 会社員Bさんが、不動産クラウドファンディングで18万円の収益 → 確定申告は不要
  • 会社員Cさんが、不動産クラウドファンディングで15万円の収益、副業で7万円 → 合算で22万円のため確定申告が必要

●不動産クラウドファンディング以外の雑所得の例

不動産クラウドファンディング以外にも、以下の収益が雑所得に該当する場合があります。

  • 単発のアフィリエイト収入(ブログやSNSでの一時的な広告収益)
  • 単発の副業収益(例:スポットのライティングやデザイン業務)
  • 趣味としてのメルカリやヤフオクでの販売利益
  • 暗号資産(仮想通貨)の売却益(雑所得として扱われる場合)
  • 懸賞や宝くじ以外の賞金(競馬・競輪などの公営ギャンブルを除く)

アフィリエイトや副業などが反復的・継続的に行われ、事業規模として判断される場合は「事業所得」に分類されます。

事業所得は必要経費を差し引いて申告が可能ですが、課税方法が異なるため、活動内容に応じた判断が必要です。

年収695万円未満の場合(還付金)

年収695万円未満の給与所得者は、源泉徴収の税率と実際の所得税率との差により、還付金が発生する可能性があります。

●なぜ年収695万円未満で還付金が受け取れる可能性があるのか?

不動産クラウドファンディングの収益は、事業者により20.42%(所得税15.315%+復興特別所得税0.315%+住民税5%)が源泉徴収されています。

一方、年収695万円未満の給与所得者は累進課税制度により、課税所得額が少ないため所得税率が5%〜20%と比較的低くなります。

この税率差により、源泉徴収された税額が実際の所得税額を上回り、確定申告を行うことで納めすぎた税金が還付金として返金される場合があります。

なお、所得税率については、前の見出しにある表『課税所得額に基づく所得税率(国税庁基準)』をご参照ください。

●還付金を受け取れるケース例

  • 不動産クラウドファンディングの収益が少額で、給与所得と合算しても累進課税率が20%以下となる場合
  • 医療費控除やふるさと納税の寄付金控除を適用して、課税所得がさらに減少した場合
  • 年末調整で適用されなかった控除を確定申告で適用する場合

●具体例

  • 年収600万円の会社員が、不動産クラウドファンディングで15万円の収益 → 源泉徴収で20.42%が差し引かれているため、実際の所得税率(20%)との差額が還付される可能性あり
  • 年収680万円の会社員が、ふるさと納税で寄付金控除を追加申告して、課税所得が650万未満に抑える→ 納めすぎた税額が還付金として返金されるケース

不動産クラウドファンディングの収益が少額であっても、控除を活用することで税負担を軽減し、還付金を受け取れる可能性があります。

源泉徴収された税率(20.42%)より低い累進課税率が適用される場合は、確定申告で納めすぎた税金を取り戻せる可能性が高まります。

不動産クラウドファンディングでは節税が難しい理由

不動産クラウドファンディングでは節税が難しい理由

不動産クラウドファンディングは、投資形式の多くが「匿名組合型」を採用しているため、基本的に節税効果が期待できません。

ただし、「任意組合型」の場合は、不動産の所有権がともなうため、一部で節税の可能性があります。

以下に詳しく解説します。

匿名組合型は節税にならない

匿名組合型は、不動産クラウドファンディングで一般的な形式です。

この形式では、不動産の所有権が事業者にあり、投資家には利益分配の権利のみが与えられます。

匿名組合型が節税に向かない理由

  • 所有権がない
    投資家は不動産の所有者ではないため、税制優遇の対象外となる
  • 減価償却費が適用不可
    建物の減価償却費や修繕費を経費として計上できない
  • 雑所得として課税
    収益は雑所得として扱われ、損益通算ができず、必要経費が制限される
  • 相続税の影響なし
    不動産評価額が相続税や贈与税に反映されない

※補足:損益通算とは損益通算とは、特定の所得区分で発生した損失を他の所得と相殺し、課税所得を減らす仕組みです。例えば、不動産所得で損失が出た場合、給与所得などと相殺することで税負担を軽減できます。しかし、雑所得にはこの仕組みが適用されないため、不動産クラウドファンディングで赤字が発生しても、他の所得と相殺することはできません。

以上の点から、匿名組合型で節税効果を得るのは難しいといえます。

任意組合型で節税できる可能性

任意組合型では、不動産の所有権が投資家に帰属するため、一定の節税効果が期待できます。

任意組合型で節税が可能な理由

  • 減価償却費が計上可能
    建物の価値減少分を経費として課税所得から差し引ける
  • 修繕費や運営費の経費計上
    不動産管理にかかる費用を経費として処理できる
  • 相続税や贈与税の節税
    不動産評価額が下がり、相続税や贈与税の負担軽減につながる


任意組合型の注意点とリスク

  • 優先劣後方式が採用されない
    任意組合型では、匿名組合型で一般的な「優先劣後方式」が適用されません。これにより、投資家の損失リスクが増加する可能性があります
  • 管理責任が発生
    物件の修繕や管理に関する責任が投資家に直接発生します
  • リスクの増加
    運用状況や市場環境によって、期待する節税効果が得られない場合があります

※優先劣後方式とは
優先劣後方式とは、投資家の出資である「優先出資」と、事業者の出資「劣後出資」に分け、損失が発生した場合に劣後出資者が先に損失を負担する仕組みです。

匿名組合型ではこの方式が採用されていることが多く、一定の安全性が確保されています。

しかし、任意組合型では優先劣後方式が適用されないため、投資家が直接リスクを負うことになります。

匿名組合型、任意組合型の違いを表にすると、以下のようになります

匿名組合型、任意組合型の違い

各々のメリット、デメリットを考慮して、慎重に判断することが大切です。

不動産クラウドファンディングにおける確定申告の5ステップ

不動産クラウドファンディングにおける確定申告の5ステップ

不動産クラウドファンディングで収益を得た場合、確定申告が必要になることがあります。

以下の5つのステップに沿って手続きを進めましょう。

ステップ1: 必要書類を準備する

確定申告をスムーズに進めるため、以下の書類を事前に準備しましょう。

収益に関する書類

  • 不動産クラウドファンディング事業者から発行される「収益明細書」
  • 銀行の入金明細(必要に応じて)

控除証明書

  • 生命保険料控除証明書
  • 社会保険料控除証明書
  • 医療費控除の領収書・明細書(該当する場合)
  • 寄付金控除(ふるさと納税)の証明書(該当する場合)

その他の必要書類

  • マイナンバーカード(または通知カードと身分証明書)
  • 過去に確定申告を行った場合の控え(参考用)

ステップ2: 収益と雑所得を計算する

クラウドファンディングの収益を雑所得として集計し、他の所得と合算します。
また、収益から源泉徴収された税額(20.42%)を確認し、確定申告で適切に処理できるようにします。

特に、還付を受ける可能性がある場合は、源泉徴収された税額の明細を必ず確認しましょう。

ステップ3: 確定申告書を作成する

申告書は、以下の方法で作成します。
やりやすい方を選択しましょう。

e-Taxを利用

国税庁のe-Taxシステムを利用してオンラインで作成します。
スマホからでも申請が可能で、マイナンバーカードがあれば手続きがスムーズです。

税務署で手書き作成

税務署に設置されている申告書類を使用して記入します。

ステップ4: 申告書を提出する

作成した申告書を期限内に提出します。

オンラインでの提出(推奨)

e-Taxを利用すれば、オンラインで送信可能です。
税務署へ出向く必要がなく、還付手続きが早く進む傾向にあります。

税務署への郵送または持参

紙で作成した場合は、郵送または税務署へ直接持参して提出します。
郵送の場合、処理に時間がかかるため、還付まで1〜2か月ほどかかる場合があります。

ステップ5: 納税または還付手続きを行う

税額が確定したら、以下の手続きを行います。

納税が必要な場合

  • 銀行口座振替やクレジットカード払いを利用できます
  • 必要に応じて分割納税を検討することも可能です(要申請)

還付金がある場合

  • 指定した銀行口座に還付金が振り込まれます(通常1〜2か月後)
  • e-Taxで申告した場合は、還付が早くなりやすいです(2〜3週間程度)

 不動産クラウドファンディングの税金で注意すべき3つのポイント

不動産クラウドファンディングの税金で注意すべき3つのポイント

不動産クラウドファンディングの税金を適切に処理するためには、いくつかの注意点を押さえておく必要があります。

ここでは、税金トラブルを防ぐための3つのポイントを解説します。

(1)雑所得では経費が引けない

不動産クラウドファンディングの収益は「雑所得」に分類されます。
この場合、収益から差し引ける経費が制限されており、基本的には収益全額が課税対象となります。

・減価償却費や修繕費など、不動産を所有している場合に認められる経費は適用できません
・必要経費として認められるのは、投資に直接関わる一部の費用(例:クラウドファンディング事業者への手数料)に限られます

収益全額が課税対象となる点を理解し、事前に納税額を見積もることが重要です。

(2)納税資金を事前に確保する

不動産クラウドファンディングでは、収益を得た時点で課税対象が発生します。
収益の一部を納税資金として事前に確保しておかないと、納税時に資金不足に陥る可能性があります。

・収益の20%程度を納税資金として確保しておくと安心です
・銀行口座に納税用資金を別途管理するなど、計画的な資金管理を心がけましょう

納税資金を確保しておくことで、予期せぬ負担を軽減できます。

(3)専門家への相談を検討

不動産クラウドファンディングの税金処理は、投資額や収益額、他の所得との兼ね合いによって複雑になる場合があります。

特に、控除の適用や申告の正確性に不安がある場合は、税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

・税理士に相談することで、申告ミスによるペナルティのリスクを回避できます
・税務処理における最適な方法をアドバイスしてもらうことで、適切な納税額を把握できます

専門家のサポートを受けることで、確定申告への不安を解消できるでしょう。

まとめ

まとめ

不動産クラウドファンディングでは、収益が雑所得として扱われ、ほかの所得と合算した課税所得に応じて所得税や住民税が課されます。
収益額や所得の状況によっては確定申告が必要になり、源泉徴収された税額との差額で還付金を受け取れる場合もあります。

また、多くのケースで節税が難しくなっていますが、任意組合型では条件次第で減価償却費を計上でき、相続税対策も取れます。
申告や税金処理に不安がある場合は、専門家への相談を検討し、正確な手続きを心がけましょう。

しっかりと税金ルールを把握し、不動産クラウドファンディングを賢く運用することで、資産形成を円滑に進められるはずです。

この記事の監修者

持丸 雅士

ココザス株式会社|コンサルタント|FP

持丸 雅士

Masashi Mochimaru

突如起きた父親の入院・手術をきっかけにお金に対する不安を感じ、ファイナンシャル・プランナーの勉強を始める。
ファイナンシャルプランナー技能士2級及びAFP認定を取得後、お金に対する正しい知識・情報を世の中に伝えていきたいと思い、個人向け資産形成コンサルティング事業を展開しているココザス株式会社へ入社。
資産形成で不安を抱えているお客様の視点に立ち、年間800人以上の資産形成のサポートを行っている。
また現在はセミナー講師として講演会を行うなど、正しいお金の知識を広げる活動にも取り組んでいる。

保有資格

AFP(日本FP協会認定)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

第一種証券外務員

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