給与所得者の不動産投資の税効果
今日は年末まであと1カ月ちょっとということで…
「給与所得者の不動産投資の税効果」について吉崎さんに伺っていきます。
確定申告をされる方も、源泉徴収という形で会社でやられる方も、12月末が一旦の区切りですよね。
会社の場合は決算期なので、3月決算なら3月をもってということになりますが。
確定申告を含め、一般の給与所得の方々は12月が区切りの月です。
今日は11月20日ですので、あと51日後のやり取りをもって確定申告をする。
そろそろ「ふるさと納税」のCMも増える時期ですね。
内田:確かに増えていますよね。
吉崎:この時期ですからね。
要は「そろそろやらなあかんなぁ…」ということですので。
同じように不動産に関しても、そろそろ色々とやらなきゃいけないなみたいなところがあります。
不動産取得を得た場合、不動産取得というのは、賃料収入から必要な経費を引いて、その引いた分が不動産所得です。
基本的に給与所得と不動産所得がある方は、不動産所得を足して合計所得という風になります。
この足し算することを損益通算というわけですね。
不動産所得、つまり賃料から使った経費を引いてマイナスの場合。
例えば、1,000万円の給与所得がある方が不動産所得で50万円もマイナスだった場合は…
実質の所得(損益通算をした後の所得)は950万円になるということです。
そのため、不動産所得を「常識の範囲の中で」という言い方をしましょうか。
「減らしたいな…」と思う方が出てくるわけです。
賃料の収入は決まっていますから、1年間でこれぐらい入ってきました。
しかし色々と使った経費(出る方)は…
例えば不動産で結構大きなのは、建物の部分は経年劣化をしていきますので、その価値が下がった分、これが減価償却費として見えない。
使っていないのでそのままの不動産建物のままですから、その分をマイナスできる。
これが減価償却費です。
そういうところで何年か掛けて、それは建物の建て方によって変わるのですが…
RCのコンクリートで作ると47年、木造だと22年というような色々なルールがあり、その分が減っていく。
それ以外にも管理を外注している場合、お客様入居者を募集するための仲介会社に払ったお金など…
内田:ある意味、広告費みたいな感じですね。
吉崎:それと不動産投資のために借りたローン返済のうち、利息分も経費です。
こういう、他にもギリギリの範囲で、何かこう物件を見学に行った時のガソリン代をどうするか?交通費はどうするか?
あるいは不動産会社さんと打ち合わせのために飲んだコーヒー代をどうするか?など…
なかなか公共の電波では言いにくいのですが、微妙な選定があって…
僕の友人でもよく沖縄に不動産物件を見に行っている人がいます。
この物件を買うかどうか分からないけれども、物件を見に行った費用。
これはどうなのか?なかなか微妙な線ですが…
主目的が不動産を購入するために見に行った費用であれば、これは真っ当な経費として落とすこともできるかもしれないということです。
細かくは税理士さんに相談して欲しいのですが…
このようなこともあって、その分経費を算入することができるということになりますね。
なので、この季節になると慌てて労働者を集める人がいたりする。
そうすると、私なんかは賃貸で大家さんがいるわけじゃないですか?
「ちょっとエアコンの調子が悪いから変えてほしいな…」と言ったら、今年中に付けて欲しいという人もいるということですね?
ここで色々と言っておいた方がいいかしら…
言えばチャンスですね。
もちろん完工支払いベースなので、今日言っても「工事は1月ですよ」となると…
内田:そんなに急いでなければ来年でも良という感じですね。
吉崎:そういう意味では12月・11月。
12月はふるさと納税と同じように、ここで駆け込み経費みたいなものが発生することがあるということです。
内田:工事も少し増えるかもしれませんね。
今はマンションの外壁を結構やっていたり、修理も増えるということですね。
来る時に思ったのですよ。
「なんか外壁掃除が多いな…」とか。
吉崎:ここでみんなやるのですよ。
僕の持っている物件も1つ、エアコンの入れ替え中です。
夏は来てくれませんが、今は若干暇な季節で見積もりが来てGOを出してきました。
内田:私もちょっと調子悪いので聞いてみよう…
吉崎:要は、この駆け込み的なことでまだまだ節税方法や税効果を得る方法はいっぱいあるのですが…
まず、一度税金がどれぐらいかかるのか?
シミュレーションをしてみることをおすすめしたいなと思います。
税金はプラスなのかマイナスなのか?どれぐらい効果があるのか?ということです。
今年のものは今年のうちに
あとは固定資産税ですね。
これもちゃんと前もって払っておく、固定されて5月からかな…?
そうですね。
吉崎:前もって払っておくと払い済みですからね。
年で先に払っておくと、お得です。
1月分の年払いにしておけば、一括払いで…
5月、7月、何とかという4回に分けて払ってもいいですよ?一回でもいいですよ?になっていますか?
内田:なるほどなるほど年で払った方がお得になると。
吉崎:人によりけりですが、経費に入れられることは確かです。
あと、人の入れ替えや保険料なども、先に払っておくのもいい。
車でも同じじゃないですか?
1月10日に切れる保険でも、前もって払えますよね?
別に悪いことではないですよね。
内田:今年のやつにどうしても入れたい場合など…
吉崎:どっちで払いましたか?という話なので、できれば先に払う。
内田:自分の懐具合といいますか、儲かり度合いで前にするか?どちらにするか?ということで…
吉崎:引いている訳ですね。
シンプルな話ですが…
内田:それも来年の分があるとまた、来年も前倒しで色々と払うことになるかもしれませんものね?
吉崎:「金払いが良い」という、いいやつになりますから。
内田:印象はいいかもしれません。
吉崎:払えるものはチャッチャと払おうと。
意外とおすすめです。
内田:そういうことは積み重なれば大きくなりますね。
共用部の備品などもチェックしよう
「ここで買っておこう」も一緒です。
何かに関わらず、一棟のマンションを持っていたりすると「電球が切れている」と言われたりすると‥
結構、数もありますよね?
「在庫を持っておこう」でもいいのですね。
吉崎:そうですね。
共用のトイレのトイレットペーパーを買ってもいいわけじゃないですか?
内田:置き場に困りそうですが…
確かにそうですね。
吉崎:「今年の汚れ、今年のうちに」というのはTVCMでよく言われますが、これは同じで必要なものは今年買っておこうと。
落とせるというね。
内田:来年必要なものを今年に買う…
吉崎:しかし、トイレットペーパーや電球も前もって保管してた方がすぐ変えられますからね。
何も悪いことでもありません。
自分で使うとマズイですが…
マンションのために買っているので問題はありません。
内田:つまり「いずれ必要になるもの」ですね。
吉崎:全てそういうことです。
挙げればキリがないのですが、必要なものは利益が出ている方は年内に買っておくということですね。
内田:利益によってどこまでやるか…
吉崎:当然給与と合算するわけですから、マイナスが多ければ多いほど給与分の所得が減るという計算になります。
税率の確認もポイント
すでに御存じのとおり、所得税は累進課税制度になっています。
損益通算をすることによって‥
例えば1,000万円ギリギリの人はこっちに行くと税率が下がるわけです。
27%、21%、33%下がる。
単なる所得課税対象の金額が下がるわけではなく、そこが下がると線が引かれて…
いろんなところに線がね。縦にも横にも。
吉崎:ひとつ下の区切りに行くと、税率が変わりますからね。
内田:切実ですね…
吉崎:節税でも何でもないですから、正しく行っているだけです。
内田:来年になるとサラリーマンの方はお給料自体が上がったりするじゃないですか?
そうすると、また節税が大変になる可能性もありますから…
来年取っておくというのもあるかもしれません。
新たに買うという選択肢も…
吉崎:一方でこの季節に物件を購入すると、色々と税がいっぱいかかりますから。
ここで買う人もいるのではないのでしょうか?
買うといっぱいおとしますからね。
内田:購入にかかった経費?
吉崎:そうですね。
12月は買う人が増えますから。
仲介料もそうですが、登録免許税で不動産取得税とは差し引きかかりますからね。
それも年内に払ってしまう。
内田:節税したい人が、そこで買うという選択を…
吉崎:新たに物件を追加するのも、ここはいいタイミングなのです。
以上、細かい点は税理士に聞いてほしいのですが…
今の話は基本的にオーソドックスな税効果を得るための方法です。
どれもこれもいわゆる“あくどい方法”ではなく、かなり無難です。
税効果を得る方法ということになります。
内田:そうすると、季節要因で12月はマンションの価格自体も下がりにくいということもありそうですね。
吉崎:もちろん、12月や2月、3月はそうですね。
長年ずっとそうですよ。
内田:そうなんですね!
初めて知りました。
吉崎:儲かっている人は「追加購入をするなら12月」というのが定番です。
内田:価格は下がりにくいけれども、節税効果もあるよと。
あくまでも「儲かっている人は」ということです。
参考にしてみてください。
吉崎:大事なことなので、税のことは1番詳しい税理士さんに確認してくださいね。
税の制度は変わることがありますから…
来年には、各制度が変わっているかもしれません。
内田:結構、変わりますよね…
吉崎:細かく変わるかもしれませんので、注意してくださいね。
放送局 :ラジオNIKKEI第1
放送日時:毎週月曜日〜水曜日 17:00~17:50
※ 本コーナーは毎週月曜日のコーナーです
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※ 本記事はラジオNIKKEI第1「5時から“誠”論」の番組内コーナー「ワクワク人生COCO the Style」の内容を抜粋/改変したものです
※ 2023年11月20日(月)放送
※ 日経ラジオ社の承諾を得て作成しています