iDeCoの複利効果とは
はじめにiDeCoの複利効果について紹介します。
(1)iDeCoの配当金や運用益の利息は再投資に回される
iDeCoの中には配当金や運用益が狙える投資信託があり、それらの利息は再投資に回すことができるため、高い複利効果が狙えます。
iDeCoは原則60歳まで解約できないため、投資信託であれば必然と複利となり、高い利息が狙えます。
運用年数が長いほど、複利の効果も期待できるため、20代や30代と若い年齢から始めると大きな利息を得られる可能性がさらに高まります。
(2)再投資額にも複利効果が得られる
iDeCoで得た利息は、再投資に回されるため、元本が増えることになり、さらなる複利効果が期待できます。
例えば、iDeCoで毎年100万円を運用して、年利が5%の場合、翌年は105万円が元本となります。2年目は110万2,500円、3年目は115万7,625円にもなるということです。
元本が増えれば得られる利益も大きくなり、雪だるま式で増えていくため、60歳になるタイミングで大きな資産になる可能性も高いでしょう。
ただし、iDeCoの掛金は以下の表のとおり、職業や勤務先によって以下の表のとおり上限が定められているため注意しましょう。
※2024年12月から、公務員の方のiDeCoの月額拠出限度額は2万円まで引き上げられます。
(3)単利より大きく増やせる
以下の表は、100万円の元本を年利5%で運用した場合の、単利と複利の利益差額です。
比較してわかるとおり、複利の方が効果が大きく、単利とでは約5万円の差額が生じます。
元本が大きくなるほど差額も大きくなるため、圧倒的複利が狙える資産運用の方が効果的であると言えるでしょう。
iDeCoの複利効果はどれくらいある?
では実際iDeCoの複利効果はどれくらいあるのでしょうか。
ここではiDeCoの運用シミュレーションから効果を見ていきます。
(1)iDeCoの複利計算をする上で必要な条件
はじめに、iDeCoの複利計算をする上で、以下の3つの条件を確認していきます。
・選ぶ金融商品の年利
・積立年数
月々の積立金額は、最低5,000円からと設定されており、職業などによって上限が定められています。
また、選ぶ金融商品によって年利は異なりますが、平均すると3%〜5%前後に集約されます。
積立年数は、iDeCoを始める年齢から60歳までの期間です。
(2)複利でのシミュレーション
3つの条件に以下の数値を当てはめた場合のシミュレーションを行ってみましょう。
・選ぶ金融商品の年利:5%
・積立年数:20年
引用:金融庁 つみたてシミュレーター
20年間運用することで、480万円から822万円まで増やすことができます。
さらに30年運用すると、720万円から1,665万円と、より複利の効果が大きくなるとシミュレーションできます。
あらかじめ、iDeCoを始める際は、将来どれくらいの資産が見込めるのかをシミュレーションしておくと、計画を持った運用ができるでしょう。
iDeCoの複利を狙う際の注意点
これまでiDeCoの複利の効果について紹介してきましたが、注意しなければいけない点もあります。
(2)自分で再投資する作業が必要なものがある
(3)必ず増えるという保障はない
1つずつ確認してからiDeCoを始めましょう。
(1)60歳まで自動的に再投資される
先程もお伝えしたとおり、iDeCoは原則60歳まで引き出すことができず、再投資されてしまいます。
そのため、掛金を支払い続けられる収入と、イレギュラーな出費が発生してもiDeCoを充てにしないほどの経済力が必要であることでもあります。
特に20代や30代は、結婚や出産、マイホームなどにお金がかかる時期でもあります。
40代や50代と比較すると、平均年収も低い傾向にありながら、支払期間が長くなるため、無理のない掛金で運用し、再投資されることを理解しておく必要があります。
(2)自分で再投資する作業が必要なものがある
ETF(上場投資信託)や個別株の配当は、自分で再投資する作業が必要なものもあるため注意が必要です。
通常、iDeCoで選べる投資信託の中には、配当を自動的に再投資してくれる銘柄が多いです。
そのため、60歳まで放置しておけば問題ないと考えている方も多いです。
しかし、購入する銘柄によっては自ら再投資しなければいけないものもあり、なおかつ購入コストが発生するため注意しましょう。
(3)必ず増えるという保障はない
当然ながら、iDeCoは必ず増えるという保障はなく、元本割れのリスクが伴います。
以下の画像は、企業年金連合会が発表した確定拠出年金に関する実態調査|統計資料です。
見てお分かりなるとおり、2%〜5%ほどの利回りになる可能性が高いですが、一方で0%以下となるケースも見受けられ、元本割れするリスクが伴うということです。
とはいえ、iDeCoは単年でマイナスになることがあっても、10年や20年と長期運用することで利益が安定します。
また、途中で一度利益確定し、別の銘柄へ投資するスイッチングを行うことができます。
つまり、利益が出にくい銘柄を手放し、新たな銘柄へ投資して利益を狙うことができるため、元本割れのリスクを軽減できるということです。
もちろん次の銘柄の選定も重要ですが、柔軟に対応できる点もiDeCoの特徴の1つです。
iDeCoを始める際ポイント
iDeCoは元本保障されていないうえ、一度に大きく増やせる資産運用ではありません。
しかし、初心者の方は無理に増やそうと考えてしまい、大きな掛金で始めがちです。
損失が出ると生活にも支障をきたすことにもなりかねないため、これからiDeCoを始める予定の方は、以下の3つのポイントに注視しておきましょう。
(2)無理のない掛金に設定する
(3)専門家のサポートを受けておく
1つずつ紹介します。
(1)手数料負けに注意する
iDeCoではさまざまな手数料が発生するため、手数料負けには注意が必要です。
手数料負けとは、利益より手数料の方が大きくなることです。
iDeCoでは以下の手数料が発生します。
・加入手数料:初めてiDeCoに加入する際にかかる費用
・給付手数料:iDeCoを受け取る時に支払う手数料
・還付手数料:還付を受け取る時に発生する手数料
・信託報酬:投資信託保有時にかかる手数料
これらの手数料は数百円や数千円程度と決して高くないものの、長期運用することでトータル数万円にもなる費用です。
一般的には、iDeCoの利益の方が大きくなる可能性が高いですが、掛金を低くしすぎると比例して利益も少なくなるため、手数料負けのリスクが高まります。
また、iDeCoの口座開設する証券会社や銀行などによっても手数料が異なるため、事前に各社を比較し、運用シミュレーションを行ってから始めることが大切です。
(2)無理のない掛金に設定する
手数料負けしないためには、掛金を低くし過ぎないことが大切ですが、高くしすぎると生活にも支障をきたすため注意が必要です。
仮に20代や30代などにiDeCoを始め、毎月2万円の掛金で運用すると、1年間で24万円が必要となります。無理に上限額まで運用する必要はなく、半分の1万円であっても問題ありません。
将来のことを考えて運用すること自体は良いことですが、今の暮らしが窮屈になるのであれば、掛金を抑えて運用する方がおすすめです。
実際に資産運用にお金を回し過ぎて、生活費が不足して借金された事例もあるため、掛金の設定は十分慎重に検討しましょう。
(3)専門家のサポートを受けておく
iDeCoは20年や30年と長期間の運用となるため、事前の計画が重要です。
そのため、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談し、常にサポートを受けながら運用していきましょう。
投資する銘柄の選定はもちろん、スイッチングのタイミングや他に資産運用への分散投資など、運用に関する悩みは常にあります。
その際、独断で判断してしまうと失敗するリスクも高まるため、専門家に意見を参考にしながら運用することが大切です。
ココザスはファイナンシャルプランナーとして、iDeCoをはじめとした資産運用のサポートを行っております。
iDeCoの基礎知識から運用方法、リスクなど、初心者でも一からスタートできるように、さまざまな視点からアドバイスを行います。
相談料も無料なため、ぜひ一度ご相談下さいませ。
まとめ
iDeCoの利息は再投資に回すことができるため、高い複利効果が狙えます。
原則60歳まで引き出すことができないため、必然と複利効果も高く、将来的に大きな資産につながる可能性も高いです。
一方で、元本保証されていないうえ、手数料負けするリスクも伴います。
それらを回避するためには、事前の運用シミュレーションで「将来いくらになるのか」「月々の掛金はいくらに設定すべきか」を詳細に組み立てることが大切です。
ココザスはファイナンシャルプランナーとして、iDeCoの入口でつまずかないようにサポートを行っております。
これからiDeCoを始める予定の方は、ぜひ一度ご相談下さいませ。