株で月1万円を稼ぐには?2つの基本戦略がカギ

月1万円を株で稼ぐのは、やり方次第で十分に実現可能です。
とはいえ、自己流で売買を繰り返しても、なかなか安定した成果にはつながりません。
そこで投資スタイルをあらかじめ決めておくと、ムダな売買や判断ミスを減らしやすくなります。
ここでは、初心者でも取り組みやすい「2つの基本戦略」を紹介します。
(1) 配当金で月1万円稼ぐ
株を保有していると、企業の利益の一部が「配当金」として還元される場合があります。
こうした配当を積み重ねて収益を得るのが、月1万円を目指す方法のひとつです。
たとえば、高配当株やETFを長期で保有し、年間12万円(=月1万円)の配当収入を目指す形になります。
定期的な収入が得られる仕組みなので、相場を頻繁にチェックできない人にも取り組みやすいスタイルです。
配当を継続する企業は、安定した利益を出しているケースが多く、値動きが比較的穏やかな傾向があります。
(2)売買益で月1万円稼ぐ
保有していた株を、購入時よりも高い価格で売ることで得られる利益を「売買益」と呼びます。
価格差を活かして収益を出すのが、もう一つの代表的なアプローチです。
中でも、数日から数週間ほどの短めの期間で取引する「スイングトレード」は、日中の値動きを追い続ける必要がなく、比較的取り組みやすい手法でしょう。
小さな金額からでも始めやすく、一定のパターンに沿って判断できれば、継続的に利益を積み重ねることも可能です。
配当金と売買益の必要資金や具体的な方法は、このあと詳細を解説していきます。
【配当株戦略】月1万円稼ぐにはいくら必要?

配当で月1万円を得るには、利回りと投資額のバランスを把握しておくことが重要です。
目標金額は現実的でも、必要な元手は想像以上に大きくなる場合があります。
ここでは、利回りごとに必要な資金の目安や、銘柄を選ぶ際に押さえておきたいポイントを紹介します。
月1万円の配当を得るには利回り×元本がカギ
月1万円の配当収入を1年間続けるには、年間で12万円を受け取る計算です。
どの程度の利回りを前提にするかによって、必要な元手資金は大きく変わってきます。
利回りごとの必要元本一覧(税引前)
想定配当利回り | 必要元本(税引前) |
---|---|
2.0% | 600万円 |
3.0% | 400万円 |
4.0% | 300万円 |
5.0% | 240万円 |
6.0% | 200万円 |
注意:実際は「税引後」で考えるべき
ここで注意していただきたいのは、国内株を特定口座で運用した場合、約20.315%が課税されるため、手取りベースでは利回りが下がるということです。
税引後で再計算(配当課税考慮済み)
想定配当利回り(税引前) | 実質利回り(税引後) | 必要元本(税引後) |
---|---|---|
3.0% | 約2.39% | 約502万円 |
4.0% | 約3.18% | 約378万円 |
5.0% | 約3.98% | 約301万円 |
利回り3%なら元手400万円程度が目安
利回り3%の場合、年間12万円を得るには約400万円(税金を考えると500万円)の投資が必要です。
この水準は日本の高配当株に多く、比較的安定した銘柄を選びやすいのが特徴です。
特定口座で運用する場合は約20%の税金が差し引かれるため、実質利回りはおよそ2.4%程度まで下がる点に注意が必要です。
こうした負担を抑えたい場合は、NISAなどの非課税口座の活用も検討してみましょう。
< 配当利回り 3%台の代表的銘柄一覧 >
銘柄名 | 証券コード | 配当利回り(予想) | 業種 |
---|---|---|---|
三井住友フィナンシャルG | 8316 | 約3.95% | 銀行・金融 |
ソフトバンク | 9434 | 約3.95% | 通信 |
トヨタ自動車 | 7203 | 約3.22% | 自動車 |
KDDI | 9433 | 約3.53% | 通信 |
NTT(日本電信電話) | 9432 | 約3.54% | 通信・インフラ |
三菱UFJフィナンシャルG | 8306 | 約3.08% | 銀行・金融 |
花王 | 4452 | 約3.45% | 化学・日用品 |
また、長期保有を前提とするなら、業績や財務体質が安定している企業を選ぶことが重要です。
時間をかけて資産を築きたい人にとって、堅実に取り組めるスタイルといえます。
利回り5%なら元手240万円でも可
利回り5%の銘柄を選べば、月1万円の配当を得るために必要な元手は約240万円に下がります。
この利回りは、一部の米国ETFや高配当株に見られますが、価格の変動や減配リスクが大きくなる傾向があります。
銘柄名 | 証券コード | 配当利回り(予想) | 業種 |
---|---|---|---|
LIXIL(リクシル) | 5938 | 約5.55% | 建材・住宅設備 |
アステラス製薬 | 4503 | 約5.42% | 医薬品 |
日本製鉄 | 5401 | 約5.34% | 鉄鋼 |
川崎汽船 | 9107 | 約5.15% | 海運 |
野村ホールディングス | 8604 | 約5.01% | 証券・金融 |
また、特定口座で運用する場合は、税引き後の利回りが約4%程度に下がる点も想定しておくと安心です。
業種や地域の異なる銘柄を組み合わせておくと、依存先が偏るリスクを減らせます。
値動きが大きい銘柄でも、分散によってブレを抑える効果が期待できるでしょう。
配当を早めに得たい場合は、現実的な選択肢となります
おすすめの高配当株・ETF(2025年版)
2025年時点で注目されている代表的な銘柄は、以下の通りです。
※カッコ内は2025年4月時点での配当利回り目安
分類 | 銘柄名 | 配当利回り(予想) | 備考 |
---|---|---|---|
日本株 | 三菱UFJ | 約3.6% | 大手メガバンク、安定配当 |
日本株 | NTT | 約3.5% | 通信インフラ、安定配当 |
米国ETF | HDV | 約3.6% | 高配当株ETF、分配金型 |
米国ETF | VYM | 約3.0% | 広範囲に分散、高配当ETF |
それぞれに特徴があり、スタイルに合わせて選ぶのがポイントです。
●日本株の特徴
- 為替リスクがなく、円建てで投資できる
- 比較的安定した配当を出している企業が多い
- 配当回数は年1〜2回が主流
●米国ETFの特徴
- 業種や地域の分散性が高く、個別株よりリスクを抑えやすい
- 配当回数は年4回と頻度が高め
- 少額から投資しやすく、銘柄選びの負担も少ない
まとまった元手がある場合は、日本株を中心に配当利回りや企業の安定性を重視して構成しやすくなります。
一方、少額から始めたい場合は、米国ETFを軸にして分散を取り入れながら手軽にスタートする方法が選ばれています。
※配当利回りは2025年4月時点のデータを参考にしています(出典:Yahoo!ファイナンス、stockanalysis.com ほか)
【売買戦略】月1万円稼ぐならどうする?

売買益を狙う方法には、目的や取り組み方に応じて選べる3つの代表的なスタイルがあります。
デイトレ vs スイング vs 長期投資
売買スタイルにはいくつか種類がありますが、投資に使える時間や性格、利益の狙い方によって向き不向きが分かれます。
下の表は、代表的な3つのスタイルの特徴を簡単に比較したものです。

月1万円の目標を考えると、スイングトレードが時間・難易度・収益性のバランスが取りやすく、現実的な選択肢になるでしょう。
初心者は「短期よりも中期スイング」が現実的
初心者にとっては、相場の変化に1日中張りつく必要のある短期売買は負担が大きくなりがちです。
その点、スイングトレードは1週間前後の流れを読む取引が中心で、週末に計画を立てて平日に淡々と実行する流れが作れます。
チャートの形や過去の値動きから判断する「テクニカル分析」も、一定のパターンに慣れることで再現性が高まっていきます。
取引の回数が少なく、ミスのリスクも抑えやすいため、まずは1銘柄に絞って練習するだけでも成果が見えてくる場合があります。
取引に多くの時間を割けなくても続けやすく、経験を積みながら徐々に成長していきたい初心者にもぴったりのスタイルです。
売買益の再現性と難易度
株の売買で安定した収益を得るには、再現性を高める工夫が不可欠です。
たとえば、感情に左右されないルールをあらかじめ設定することは、その第一歩です。
加えて、自分が狙うパターンを明確にし、成功した取引と失敗した取引の記録を残すことで自分なりの勝ち筋が見えてきます。
「この条件のときにエントリー」「この値幅で利確」など、パターン化できればブレが少なくなり再現性が高まるでしょう。
日々の値動きに惑わされず、ルールを守る意識が月1万円という成果につながる基盤になります。
取引アプリの履歴や簡単な売買メモを活用すれば、自分の傾向を客観的に振り返る習慣もつけやすくなります。
株で月1万稼ぐための現実的な運用プランとシミュレーション

運用スタイルを工夫すれば、限られた資金でも月1万円の利益を目指すことは可能です。
ここでは、元本の目安に応じた現実的なプラン例を紹介します。
自分の資金状況と照らし合わせて、無理のない戦略を考える参考にしてください。
元本100万円〜300万円で始めるプラン例
元手の大きさによって、運用の選択肢や配分は変わってきます。
まずは、代表的な3パターンをざっくり見ておきましょう。
・100万円
高配当株に70万円(利回り3%で年2.1万円)、残り30万円をスイングトレードに回して月2〜3回の売買を行います。
スイングで月7,000円前後を安定して得るには多少の学習や工夫が必要ですが、少額から取引経験を積むには適した配分です。
・200万円
配当用に120万円、売買用に80万円を分け、配当で年4万円前後を得ながら月3〜4回の売買で追加の利益を狙います。
・300万円
配当株やETFに180万円、売買用に120万円を使い、収益の安定と成長の両方を目指す運用に取り組みます。
きっちりこの通りに分ける必要はありません。
しかし、おおまかな方針を持っておくと、迷いが少なくなるでしょう。
配当+売買のハイブリッド戦略も有効
配当と売買を組み合わせることで、安定と収益のバランスを取りやすくなります。
たとえば、高配当株から得られる収入をベースにしながら、スイングトレードで上乗せを狙うといった形です。
相場が荒れて売買の成果が出にくいときでも、配当が入ることで精神的に落ち着いて運用を続けやすくなります。
逆に、配当が減った場合でも、売買でカバーできれば大きな支障にはなりません。
配当と売買をうまく組み合わせるには、配当を主軸にしながら少しずつ売買を取り入れていくのが現実的です。
たとえば、最初は配当中心で始め、月1〜2回だけ少額のスイングに挑戦するようにすれば、無理なく経験を積んでいけるでしょう。
NISA口座の活用で税制メリットもあり
NISA口座を使えば、配当金や売買益にかかる税金が非課税になります。
たとえば年間12万円の配当を受け取る場合、特定口座では手取りが約9.6万円に減ります。
一方のNISAなら、全額をそのまま受け取ることが可能です。
売買益についても、月1万円の利益が1年続けば、NISAと特定口座で2万円以上の差になることがあります。
新NISAの「成長投資枠」なら配当株やスイング投資も対象になるため、十分に活用する価値があるでしょう。
ただし、NISAでは損益通算ができない点には注意が必要です。(※他の利益と相殺して税負担を減らすことができません)。
損失リスクが高い銘柄は、NISAの外で運用する方法も検討してみてください。
株で月1万稼ぐ際によくある質問と注意点

まとめ

株で月1万円を稼ぐには、配当と売買のどちらか、または両方を使って目標に合わせた運用スタイルを設計することが大切です。
配当なら、まとまった元手を用意して高配当株やETFを長期で保有する方法が基本です。
一方、売買で利益を狙う場合は、中期スイングのように再現性を意識したスタイルが取り組みやすくなります。
資金や時間に合わせて無理なく始めれば、月1万円も十分目指せます。
少しずつ経験を積みながら、月1万円を現実のものにしていきましょう。