退去費用が高すぎる…それ、ぼったくりかも?
社長、僕たちって賃貸に住んでるじゃないですか。
社長の考えとして、一か所に長く住む派なのか、それとも更新のたびに引っ越す派なのか、どっちですか?
プライベートなこと聞かないでください(笑)。
でも考え方として話すと、昔は更新料を払う前に2年ごとに引っ越す、ということを繰り返していたんですよ。
ただ、最近は「ここいいな」と思える物件に出会ったら、そこに長く住むようになりましたね。
僕もそうです。
気に入ったところに長く住みたいタイプです。
でも僕の場合はちょっと理由が違っていて、引っ越しってお金も時間もかかるじゃないですか。
退去の時に現状回復費で10万円以上かかることもあるし、そう考えると長く住んだ方がいいなと思って。
なるほどね。
確かに次の物件を借りる時は、初期費用として「礼金」「敷金」「仲介手数料」「引っ越し代」とか、いろいろかかりますよね。
ただ、退去時の費用は、基本的にそんなにかからないはずなんですよ。
いや、結構払いましたよ。
昔10万円以上払ったこともあります。
暴れて壁でも壊したんじゃないの?(笑)

いやいや、してないです(笑)。
じゃあ、それはちょっと“ぼったくられている”可能性がありますね。
賃貸の退去トラブルって、実はよくある話なんです。
ということで今回は、「退去時にぼったくられないために知っておきたいポイント」を5つ紹介します。
退去時にぼったくられないために知っておきたい5つのポイント

まず1つ目は、「現状回復」という言葉の意味を正しく理解すること。
細川さん、現状回復ってどういう意味だと思います?
現状を回復するっていうくらいだから、借りた当時の状態に戻す、みたいな感じですか?
一般的にはそう思われがちなんですけど、法律上は違うんですよ。
国土交通省が出している「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という正式な資料があって、そこにはっきり書かれているんです。
“原状回復とは、借りた当時の状態に戻すことではない”って。
これがまず重要なポイントです。
原状回復で払わなくていいものとは?

2つ目は、「現状回復の範囲を理解すること」。
つまり、どこまで費用を負担しなければならないのか。
正確に言うと、「過失や故意によって生じた修繕費を、現在価値の分だけ負担する」こと。
“現在価値の分だけ”ってどういうことですか?
例えば3年間その部屋に住んでいた場合、壁紙(クロス)の耐用年数は6年って決まってるんです。
だから3年住んでいた時点で、壁紙の価値はすでに半分失われている。
つまり、新品のクロス代の“半額相当”しか負担する必要はない、ということです。
もう一つの例を挙げると、冷蔵庫を置いていた場所だけ壁紙が変色していた──
この場合、入居者に修繕費の支払い義務はありません。
なぜなら、部屋で冷蔵庫を置くのは“普通に生活するうえで当然”だからです。
過失にはあたらないんです。
逆に、子どもが壁に落書きしたとか、室内で喫煙してヤニがついた場合──
これは“過失や故意”にあたるので修繕費を負担しなければなりません。
ただし、先ほどのように耐用年数が6年なら、3年住んでいた時点で半分は劣化している。
だから全額じゃなくて、あくまで“残っている価値分だけ”を払えばいい、ということなんです。
じゃあ6年以上住んでた場合は、もうほとんど支払わなくていいってことですか?
そう。
たとえ過失があっても、壁紙の耐用年数は6年でゼロになるという決まりがあるので、その分に関しては基本的に払わなくていいんです。
火災保険の活用で退去時の費用を抑える

3つ目は「火災保険の活用」。
実は退去時の費用を抑える方法のひとつです。
ほとんどの火災保険には「個人賠償責任補償」といって、過失による修繕費をカバーしてくれる特約が付いています。
でも、これを実際に使っている人ってほとんどいない。
体感では90%以上の人が利用していません。
僕も使ったことないですね。
そうでしょう。
でもせっかく入ってる保険なんだから、壊したときは保険を使えばいいんです。
ただ注意点としては、入居者が勝手に修理するのは契約違反になることがあるので、
必ず管理会社か大家さんに連絡してから修繕の手続きをしましょう。
それと、退去してからでは保険は使えません。
何か壊した時点で報告、申請するのが大事です。
無効な特約が契約書に書かれている可能

4つ目は、「無効な特約が契約書に書かれている可能性を理解しておくこと」。
これは賃貸借契約の“入り口”の話になりますが、契約書に書いてあっても、実は法的に無効な特約というのがあるんです。
しかも、消費者の立場は強いので、後からでも指摘すれば払わなくてよくなるケースもあります。
たとえば「退去時にハウスクリーニング費用を負担する」
「退去時に鍵の交換費用を負担する」──こういう特約、よく見ますよね。
でも本来、入居者が負担すべきなのは“過失や故意による破損だけ”。
それ以外の費用を請求されても、本来は支払う義務がないんです。
でも契約書にサインしちゃったら、もう払うしかないんじゃないですか?
そう思う人が多いんだけど、実はそうとも限らない。
有効な特約として認められるためには、次の3つの条件をすべて満たしている必要があります。
(例:「鍵交換3万3,000円」「クリーニング代3万円」など)
② 入居者が内容を理解し、合意していること
(重要事項説明のときに説明を受けて「わかりました」と同意している)
③ 契約書だけでなく、特約ページにもサインまたは押印があること
この3つ目を満たしていないケースが非常に多い。
契約書の最後にまとめてサインしてるだけで、特約ページには印がない──これだと特約として成立しません。
つまり、この条件を満たしていない場合は「払わなくていい」と主張できる可能性があるんです。
それは知らなかった…。
不動産業者としては、あまり知られたくない部分でもありますね(笑)
最後に、5つ目。
「退去時は部屋をきれいにしておくこと」。
さっき“クリーニング代は払わなくていい場合もある”って話をしましたが、
それは“当たり前にきれいに使っていた”場合の話です。
もしもゴミ屋敷状態で床にシミがあったり、悪臭がしていたりしたら、
当然クリーニング費用は請求されます。
要は、借りたものを返すときは“きれいに返す”。
人として当たり前のマナーを守ることが、一番のトラブル回避策なんです。
納得いかない退去費用はどうする?
昔の話なんですけど、不動産の知識がまだあまりなかった頃のことですね。
お風呂のシャワールームの鏡に“ウロコ汚れ”がついちゃって、それをそのままにして退去の立ち会いをしたら、4万円くらい請求されたんですよ。

それ、今日の話でいうとぼったくり業者だったってことですよね?
そう。
実際は払う必要なかったケースですね。
ただ確かに、かなり汚れていたのも事実なので、ある程度メンテナンスは必要でした。
それ以降は、退去前に自分でしっかり掃除するようにしてます。
特に鏡のウロコ取りは「激落ちくん」が一番いい。
それを使えばピカピカに戻るし、それだけで数万円浮くんですよ。
借りたものですからね、きれいに返すのは当然ですもんね。
そうそう。
借りたときにウロコだらけでなかったなら、自分で汚した分は落としておくべき。
僕はアートが好きで、壁に絵を掛けることも多いんですけど、そのときも“目立たないピン”を使うようにしています。
ただ、それでも近くで見ると小さな穴が開くから、退去前にはコーティングボンドでしっかり埋める。
そうやって最低限のケアをした上で立ち会いの日を迎えると、
オーナーさんも入居者も気持ちよく契約を終えられます。
確かに、最後まで気持ちよく終わるのが一番ですね。
本日のまとめ

今日話したような知識を持っていれば、10万,20万といった余計な費用を払わずに済むケースも多いです。
僕も当時は足元を見られたと思います。田舎者っぽく見えたのかもしれません(笑)。
でも今後は、今日のような知識を武器に、退去の立ち会いではしっかり話をすることが大切です。
基本的に“知識武装している人”には強気に出てこないですからね。
対等に交渉できるだけの情報量を持っておきましょう。
皆さんもぜひ活用してください。
今日は「賃貸の退去時にトラブルになりがちな修繕費を減らす方法」についてお話ししました。
