iDeCo改正の対象者は「会社員」「公務員」
2024年のiDeCo改正では、主に企業型年金に加入している会社員や公務員が対象です。
企業型年金(確定拠出年金(DC)や確定給付年金(DB))を利用している場合、特にマッチング拠出を行っているかどうかが重要なポイントになります。
マッチング拠出を利用している場合は、制度上iDeCoに加入することはできません。
一方、マッチング拠出を利用していない場合はiDeCoへの加入が可能です。
なお、個人事業主は今回の改正対象には含まれません。
そのため、個人事業主のiDeCo利用条件に変更はなく、従来のルールが適用されます。
自身が対象者に該当するかを確認するため、以下の手順を参考にしてください。
1.勤務先の人事部門や総務部への問い合わせ
企業型年金に加入しているか、またはマッチング拠出を利用しているかどうかを確認してください。
2.金融機関への問い合わせ
iDeCoの加入資格や掛金限度額について、取引のある金融機関に相談することで具体的な情報を得られます。
3.関連資料や公式ガイドラインの活用
金融庁や厚生労働省が提供するガイドラインや資料を参照し、制度の詳細を把握しましょう。
これらの確認を通じて、自分が新制度を利用できるかを明確にし、最大限に活用する準備を整えましょう。
2024年iDeCo改正のポイントとメリット
2024年のiDeCo(個人型確定拠出年金)の改正では、加入者や事業主にとって利便性がさらに向上します。
「掛金限度額の引き上げ」や「手続きの簡素化」が主な変更点であり、これにより制度をより幅広く活用できるようになります。
それぞれのポイントを具体的に確認していきましょう。
掛金限度額が2万円に増加
2024年の改正により、iDeCoの掛金限度額が現行の月額12,000円から20,000円に引き上げられます。
長期的な資産形成では、限度額の増加が運用リターンの拡大につながります。
例えば、積立期間が長いほど、複利効果により大きな差が生まれる可能性があります。
定期的に掛金を拠出している人々にとって、この改正は非常に有利と言えるでしょう。
ただし、iDeCoと企業型年金の掛金の合計が、月額55,000円以内である必要があります。
そのため、企業型年金の掛金が月額35,000円を超えている場合、iDeCoの掛金限度額が20,000円に満たないケースも存在します。
掛金上限が気になるという方は、勤務先または金融機関に一度確認してみてください。
事業主証明書の提出不要
これまで必要だった事業主証明書の提出義務が廃止され、手続きが大幅に簡素化されます。この証明書は勤務先の発行が必要で、取得に手間がかかる場合がありました。
今回の改正により、加入手続きにかかる時間と負担が軽減され、会社員や公務員がより利用しやすい制度へと整備されます。
デジタル化が進む中で、手続きの簡素化は利便性向上に寄与すると考えられます。
改正後は、iDeCoがさらに利用しやすい制度となるため、現在検討している人にとって始めやすい環境が整うでしょう。
2024年iDeCo改正による必要な手続きや申請方法
2024年12月のiDeCo制度改正に伴い、加入者や検討者はスムーズに対応できるよう、必要な手続きと申請方法を事前に確認しておくことが重要です。
以下に、具体的な流れとポイントを整理しました。
新規加入を検討している方
新たにiDeCoを始めたい方は、以下のステップに従って手続きを進めてください。
ステップ1:金融機関の選定
iDeCoを取り扱う金融機関を選びます。
各機関で手数料や運用商品の種類が異なるため、公式サイトや比較サイトを活用し、自分のニーズに合った金融機関を選びましょう。
手数料の違いが将来のリターンに影響するため、慎重な選定が推奨されます。
ステップ2:オンライン申し込み
必要書類(本人確認書類やマイナンバーカード)を準備し、金融機関のオンラインフォームに情報を入力します。
改正により事業主証明書の提出が不要となり、手続きが簡略化されています。
ステップ3:金融機関からの案内に従う
手続き完了後、掛金の引き落とし開始時期や確認事項について案内があります。
指示に従い準備を進めましょう。
既にiDeCoを利用している方
すでに加入している方は、掛金限度額の変更や年単位拠出から毎月拠出への移行が必要な場合があります。
掛金限度額の変更
掛金を増額したい場合、金融機関に申請を行います。
企業型年金に加入している方は、掛金の合計が55,000円を超えないよう注意してください。
年単位拠出からの移行
年単位拠出を選択している場合、毎月定額拠出へ移行する必要があります。
手続きの締切日は金融機関によって異なる場合があります。
案内を確認し、余裕を持って対応してください。
手続きが完了しない場合、掛金の拠出が停止する可能性があります。
参考|野村の金融経済教育サイトFin Wing「iDeCo加入者必見!!2024年12月から拠出限度額が一部変わります(2024年12月1日改正)」
参考|SBI証券のiDeCo(個人型確定拠出年金)「【11/15更新】2024年12月施行の法改正の概要(「掛金拠出限度額の引き上げ」および「事業主の証明書の廃止」について)(「掛金拠出限度額の引き上げ」および「事業主の証明書の廃止」について)」
【iDeCo改正】具体的なシミュレーションと節税効果
2024年のiDeCo改正では、掛金限度額が引き上げられ、資産形成と節税の幅が広がります。積立金の増加により、運用リターンや節税額が大きく改善される見込みです。
具体的な積立効果や収入別の節税額について詳しく見ていきましょう。
掛金限度額の増加による積立効果
改正前の掛金限度額は月額12,000円でしたが、改正後は月額20,000円に引き上げられます。これにより、3%の利率(一般的な保守的シナリオ)で運用した場合のリターンがどのように変化するのかを以下にまとめました。
※金融庁「つみたてシミュレーター」を利用して計算
掛金限度額の引き上げにより、積立期間が長いほど将来的なリターンが大きく拡大する可能性があります。
所得控除による節税効果
iDeCoの掛金は所得税と住民税の全額控除対象となるため、掛金増額により節税効果がさらに高まります。
以下に、改正前後での収入別節税額を示します。
これらのシミュレーションから、掛金限度額の引き上げが資産形成と節税の両面で大きなメリットをもたらすことがわかります。
まとめ
2024年のiDeCo改正は、会社員や公務員にとって、資産形成と節税の両面で大きなメリットをもたらします。
掛金限度額の引き上げにより、長期的な運用リターンが大幅に向上するだけでなく、所得控除額の増加で節税効果も高まります。
さらに、事業主証明書の提出が不要となり、手続きの簡略化により利用しやすい環境が整いました。
新制度を活用することで、老後資金を効率的に準備できるようになります。
まずは、金融機関や勤務先の案内を確認し、自身の状況に合わせた手続きや積立を始めてみましょう。