投資トラブル・詐欺

ルシアン事件に学ぶ悪質M&Aの手口を実践投資家の安藤が語ります

【中小企業の吸血鬼】投資詐欺まがいな悪質性の高いM&Aの手口を安藤が語ります

近年、後継者不足に悩む中小企業を狙った「悪質なM&A詐欺」が急増しています。

高齢経営者の不安や焦りに付け込み、不利な条件で企業を買収し、資産を抜き取った後に借金や連帯保証だけを残す…そんな非道な手口が実際に横行しています。

この記事では、実在の詐欺事例や巧妙化するM&Aの罠、仲介会社の実態、買い手・売り手の双方が陥る落とし穴を具体的に解説。
さらに、消費者視点でもどんな影響があるのかを丁寧に掘り下げています。

経営者、従業員、消費者すべての方に必要な知識と、行動のヒントになれば嬉しいです。

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この記事の監修者

安藤 義人

ココザス株式会社 代表取締役CEO

安藤 義人

YOSHITO ANDO

2016年に個人向けライフデザイン(人生設計)事業を行うココザス株式会社を創業。
現在は事業領域を広げ、資産形成・転職支援・住宅関連の3つの事業を通じて、世界中の人々がワクワク生きていける世界を作るため、日々経営に没頭中。
2022年からは活動拠点を海外にも広げ、モンゴルに現地法人を設立し不動産業のライセンスを取得。

自身も10代の頃から株式投資をスタート。
新築収益アパート投資やモンゴルの不動産投資、国内スタートアップへのエンジェル投資など幅広く投資を行なっている。

URL: https://twitter.com/cocozas_ando

  • 書籍:3週間で身につく日本人が知らないお金の常識|2020年11月3日発売
  • 書籍:モンゴルがいま熱い!|2024年2月26日発売

後継者のいない企業を狙う悪質なM&Aについて

細川
細川

社長、今回は僕が気になった話題です。当社ココザスもサウナ施設のM&Aをしましたが…。

安藤
安藤

そうなんですよ。

細川
細川

いわゆる後継者不足の企業を狙った悪質なM&Aが、一時期話題になりましたよね。

安藤
安藤

そうですね。今回ココザスが行ったM&Aは、そういう悪質なものではないですよね。

細川
細川

今のところ、ちゃんとした取引だと信じています。

ココザスのM&A

きちんとしたM&Aと悪質なM&Aの違いとは?

安藤
安藤

ちゃんとしたM&Aと悪質なM&A、その違いですが、「後継者がいない企業をM&Aすること」自体が悪いわけではありません。

細川
細川

そうなんですね。

安藤
安藤

これは非常に社会問題になっていて、私もどこかで話したいと思っていました。

(1)通常のM&A

そもそもM&Aとは、基本的には法人対法人の取引で、企業の買収や合併などのことを指します。

M&Aとは
細川
細川

はい。

安藤
安藤

今回の事例では、後継者がいない、つまり社長が高齢である場合が多いです。
60歳以上の社長の会社がこの時代、非常に増えてきています。

そういう方は、自分が引退した後、会社をどうするか悩みます。
より大きな資本や若い経営者に事業や会社を譲って、従業員を守ってほしいと考えるわけです。

細川
細川

なるほど。

安藤
安藤

社長としては「今日で会社は終わり」とはできません。

取引先や従業員がいて、金融機関からの借入も残っています。

しかし自分は高齢で動けない。

そこで「誰か譲り受けてくれる人はいませんか?」という流れになります。

この一連の取引をM&Aと呼ぶのです。

▼動画で確認したい方はこちら

(2)悪質なM&A

安藤
安藤

ところが悪質なM&Aも増えています。

高齢の経営者は、焦りや不安を抱えています。

借入の連帯保証が将来まで続く不安もありますし、仕事もできなくなってくる。

そうした状況に付け込み、「お困りですよね」と言いながら、不利な条件で会社を買い叩くのです。

弱みに付け込んで「買ってもいいですよ」というスタンスで、非常に安い金額で買う。

不利な条件
細川
細川

それがニュースになっていたケースですね。

安藤
安藤

そうです。

会社の資金を抜き取り、代表者に連帯保証だけを残す「ルシアンホールディングス」の手口

今回名前が出てしまっていますが、「ルシアンホールディングス」という会社が大きく騒がれています。

「詐欺」と断言するのは良くないですが、資金を抜き取り、代表者には連帯保証だけ残し、法人は放置。

借金が返せず自己破産に追い込まれる

そういう被害が数十件発生し、被害者の会もできているんです。

これは非常に悪質で、今いちばん多いM&Aトラブルのパターンです。

細川
細川

元代表は、一生会社を成長させるために全てを注いできたのに…。

安藤
安藤

そうです。これから家族との時間を…というときに自己破産、従業員の雇用も守られない。
これは悔しいですよね。

具体的に説明します。

例えば、細川さんが細川商店を引退するとします。

私がそれを譲り受け、つまり買うわけです。

株式の価格を決め、代金を支払います。

契約条件の中には、現社長の細川さんが金融機関から借入をしており、個人で連帯保証しているケースが多くあります。

細川社長は、会社の発展を願って全てを注いできたので、会社がダメになれば自己破産というリスクを背負って頑張ってきたわけです。

従業員も守りたいと考えてきたわけですね。

そういう誠実な細川社長が、悪質な詐欺まがいのケースに騙されてしまうんです。

私は悪い人間なので、「いくらぐらいでいいですよ。連帯保証も外しますし、借入金はすべてこちらで引き受けます。この何千万円かで余生をお過ごしください」と話を持ちかける。

まとまれば、細川社長は「ハッピーだ」と思ってしまうわけです。

細川
細川

そうですね。その不安から解放されますからね。

安藤
安藤

さらに従業員のことも考えて、「雇用も守ります」と約束する。

細川
細川

それは助かります。ありがとうございます、と。

安藤
安藤

こうして契約を交わします。
お金を支払う手続きは済ませますが、いざ引き渡しの日が来たら、連帯保証を外すと言っていたのに、外す前に細川商店の口座のお金をすべて私が抜き取る。

細川商店のお金
細川
細川

でも、連帯保証は外れているんですよね?

安藤
安藤

まだ外れていません。

細川
細川

でも外れるんですよね?

安藤
安藤

そんなこと言ってませんけどね。

細川
細川

えっ、そんな話になるんですか?

安藤
安藤

「後は知りませんよ」って感じで終わりです。

悪質です
細川
細川

これは悪質ですね。

安藤
安藤

こういうことが実際に起きています。
他にも銀行からの借入があれば、銀行は元代表である細川さんに「連帯保証は外れていませんよね、毎月返済してください」と言ってくる。

細川
細川

会社のお金はなくなり、借金だけ残る…ということですね。

安藤
安藤

そうです。「後は知りません」と。

細川
細川

契約上の問題ってことですか?

安藤
安藤

契約書でガチガチに固められていれば明らかにアウトで捕まりますが、多くはそうではありません。

高齢で、事業を引退したい中小企業の社長は財務や法務の知識が十分でないことが多い。

M&Aも初めてで分からない。

一方、相手はM&A詐欺のプロで慣れている。

うまく言葉巧みに誘導して、タイミングを見計らって資金を抜き取れば、法的にも追及されにくいことを分かってやっているんです。

細川
細川

捕まらない可能性もあるんですか?

安藤
安藤

現状では全然あります。

だから、こうならないために知識をつけることが必要なんです。

今回のルシアンホールディングスの資産抜き取りの件とは別に、まだ他の悪質ケースもあります。

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騙されるのは「売り手」だけでなく「買い手」のケースもある

安藤
安藤

1つ目のパターンは、さっきの話のように「売り手」が騙されるケースでしたよね。でも逆に「買い手」が騙されるケースもあります。

例えば、私が細川商店の決算書を見て「お、ピカピカの優良企業だ。社長が引退されるなら、ぜひ株式を買わせてください」となったとします。

そして株式を買い取って、初日に店舗に行ったら…誰もいない。

細川
細川

え、それはどういうことですか?

安藤
安藤

実は従業員は全員、退職することが決まっていた。しかも、経営はすでに傾いていたのに、その事実を伏せて、決算書をよく見せるために粉飾していたわけです。

それを信じた私は、細川商店の株を2億円で買い取りました。

そして「今日からよろしく」と行ってみたら、誰もいない…というケースです。

細川
細川

そんなこともあるんですか。

安藤
安藤

はい、これは契約書でガッチリ固めていない場合によく起きます。

ガッチリ固めていても、かなりグレーな部分があって…。

元社長に「なぜみんな来ないんですか?」と聞いても、「いやあ、困ってるんですよ。ちょっと電話してみますね」と芝居を打たれたら、追及しづらいですよね。

細川
細川

なるほど…。

安藤
安藤

従業員にはそれぞれの人生がありますから、そこまで縛る契約は基本的にできません。

ただし、粉飾決算だった場合などは問い詰められる可能性があります。

契約書では「表明保証」といって、「提示した決算書は正しい」と明記し、虚偽だった場合は損害賠償請求できるようにします。

でも、買い手が詳しくないと、この交渉を契約時にガチガチにやらないんです。

仲介会社を見極めよう

細川
細川

どちらのケースにも共通して言えることはありますか?

安藤
安藤

はい、M&Aには基本的に仲介会社が入ります。

仲介が売り手と買い手をマッチングしてくれるんですが、仲介会社の中にも悪質な業者がいます。

悪質な買い手だと分かっていながら、どんどん次の売り手を紹介して、フィー(仲介手数料)を稼ぐわけです。

手数料
細川
細川

なるほど…。

安藤
安藤

ちなみに、今回のうちのM&Aでも仲介会社さんがいました。

素晴らしい施設と素晴らしい従業員を紹介してくれたので、私は喜んでお金を支払いましたが、金額は結構大きいです。

細川
細川

不動産のようにパーセンテージは決まっているんですか?

安藤
安藤

いい質問ですね。

宅建業法では「3%+6万円まで」というように手数料が法律で定められていますが、M&Aにはそうした上限はありません

法的な手数料
細川
細川

じゃあ、手数料はどうやって決まるんですか?

安藤
安藤

仲介会社が自社の手数料率を提示します。

例えば「当社の手数料はこのような料率です」と、いわゆるレーマン方式と呼ばれるテーブルを出すんですね。

○億円以上○億円未満は5%、次は4%、3%、2%、1%…というように段階的に下がっていきます。

例えば50億円のディール(取引き)なら、手数料だけで数億円になることもあります。

仲介会社はこの手数料が欲しいんですよ。

数億円の手数料

なので、仲介会社は若干怪しさを感じても、そのディールを止めようとしないことがあります。

細川
細川

それはちょっと怖いですね。

安藤
安藤

怖いですよ。

もし我々の取引に仲介会社が入っていて、「細川社長、ちょっと怪しい顔してんな…」と思っても、悪人だと分かっていて紹介してくることがあるんです。

いわば見て見ぬふりです。

細川
細川

なるほど。

安藤
安藤

プロですから、「この決算書、粉飾っぽいな」と思っているはずです。

それでも「成長中の細川商店、どうですか?」と勧められれば、買ってしまうこともあります。

だから仲介会社の話を鵜呑みにしないこと、自分でも知識武装をすることが大事です。

仲介会社の話
安藤
安藤

実際、私も今回「TARU SAUNA LABO 麻布十番」のM&Aをやらせていただきましたが、仲介会社の担当者さんには進行役をお願いした程度です。

デューデリジェンス(リスク調査)はすべてこちらで行い、「このリスクはどうか」「表明保証の範囲はカバーされているか」など、自分で判断して契約交渉をしました。

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細川
細川

なるほど。

安藤
安藤

だから、売り手も買い手も、大事な従業員や資産を守るために勉強しなければなりません。

ルシアンの件もYouTubeで取り上げられていますが、事業主は何度も見て知識をつけるべきです。

経営者なのに「なぜ騙されてしまうのか」と疑問に思うでしょう。

でも、これは投資詐欺と同じで、自分で知識をつけないと最後は自分で責任を負うことになります。

騙されないために、焦らず仲介会社を選ぶことが大切

細川
細川

仲介会社は守ってくれないんですね。

安藤
安藤

極端に言えばそうです。仲介会社に文句を言っても後の祭りです。だから自分で学ぶしかない。

勉強が必要
細川
細川

投資詐欺と一緒だってことですね。

安藤
安藤

そう。なぜ騙されるのかというと、多くは「焦り」です。

経営者や有名な投資家ですら、急がなきゃという焦りや、「これでいいか」と妥協してしまう瞬間があるんです。

細川
細川

確かに…。

安藤
安藤

中には、自分の持ち株を全部売って1億円を手にし、連帯保証も外れて「よっしゃリタイアだ」という下心が出てしまう人もいます。

楽になれる、これでいいか…という気持ちが出ると、そこに付け込まれます。

細川
細川

投資でも似たような心理になりますね。

安藤
安藤

そうです。

投資で「こんなおいしい話はない」と思いながら試してみたら儲かった。

そこで「あり金全部突っ込めばリタイアできるかも」「サラリーマンを辞められるかも」と考え、さらに知人にも紹介してブローカー収入だけで億万長者になれるんじゃないか…と欲が出る。

こうなると、狙われるんです。

細川
細川

やっぱり焦りは禁物ですね。

安藤
安藤

そう。後継者不足で焦っていたり、体調が悪くなってきたり…そういう状況こそ危ないんです。

じゃあどうすればいいかというと、仲介会社の評判をしっかり調べて、本当に信用できる人と出会うしかないと思います。

信用できる人に出会う
細川
細川

仲介会社を選ぶってことですね。

安藤
安藤

はい。M&Aの仲介会社は数百社あります。上場している会社も10社はないですが、それなりにあります。

上場企業は基本的に詐欺的な行為はしません。だからまず大手に声をかけるのは一つの手です。

大手企業に相談

ただし、大手だから絶対安全というわけではなく、大手が仲介した案件でも悪質なM&Aに巻き込まれた例もあります。

仲介会社自体が騙されてしまうケースもありますから。

仲介会社も騙される
細川
細川

見極め方はどうすればいいですか?

安藤
安藤

これは投資商品を買うときの営業担当を見極めるのと同じです。

例えば「細川社長、今決めましょう。明日になったらこの案件なくなりますよ」と契約を急かしてくる、これは完全に焦らせてきてますよね。

また「絶対に儲かりますよ」「必ず成功します」という断定的な言葉を使うのも要注意です。

細川
細川

不動産営業でもありますね。

安藤
安藤

ありますね。「今しかないですよ」「必ず儲かります」というやつです。こういうところは避ける。

1社だけで決めない、複数社と話をする。

これだけでもだいぶ見極められるはずです。

細川
細川

確かに。

安藤
安藤

さらに経営者であれば、これまで何十年も人を見てきていますよね。
従業員の面接を何十人、何百人とこなしてきたはずです。

だから焦らず、相手をしっかり見れば「この人は信頼できる」という感覚が分かるはずです。

他人事ではない!消費者の声が悪質なM&Aを減らす!

細川
細川

今回の話は経営者向けですよね?一般の人には関係ないですか?

安藤
安藤

そう思う方もいるかもしれませんが、実は関係あります。

例えば細川商店が地元で有名なお店で、そこが潰れてしまったら近隣住民は困りますよね。

企業は消費者のためにサービスを提供しているので、倒産すれば消費者が被害を受けます。

細川
細川

なるほど。

ミュゼプラチナム
安藤
安藤

例として、今ミュゼプラチナムという脱毛サロン大手でも経営トラブルがあり、前払いでチケットを買っていたお客様が困っています。

これも今回のM&Aのケースと構造は似ています。

大人の事情で会社がなくなれば、多くの消費者に迷惑がかかるんです。

細川
細川

消費者としてはどうすればいいですか?

安藤
安藤

まずは経営者や運営元を調べること。

「高齢社長だからやめておこう」という短絡的な話ではないですが、将来的に巻き込まれる可能性もあると知っておくことです。

細川
細川

万一巻き込まれたら?

安藤
安藤

消費者センターなどに「これはおかしい」と声を上げることです。

過去のことを全て撤回させるのは難しいですが、声を上げることで何かが動く可能性があります。

消費者が声を上げれば、悪質なM&Aは減りますし、それが社会全体のためになります。

細川
細川

確かに。

安藤
安藤

ですから、経営者だけでなく一般消費者も無関係ではありません。

愛用しているサービスの会社が詐欺的M&Aで倒産した場合は、利用者として声を上げることが、社会を良くする一歩になります。

まとめ|情報を集めて正しい知識を身につけよう!

安藤
安藤

今日は経営者だけでなく、一般消費者の立場からもできることについてお話ししました。

M&Aの詐欺は今後さらに増える可能性があります。

まずは情報を集め、「こんなことが起きているんだ」と知るだけでも意味があります。

日本経済全体のためにも、こうした悪質な行為を減らしていく行動を、みんなができるはずです。

ぜひ今日の学びにしていただければと思います。

正しい知識を身につけよう

この記事の監修者

安藤 義人

ココザス株式会社 代表取締役CEO

安藤 義人

YOSHITO ANDO

2016年に個人向けライフデザイン(人生設計)事業を行うココザス株式会社を創業。
現在は事業領域を広げ、資産形成・転職支援・住宅関連の3つの事業を通じて、世界中の人々がワクワク生きていける世界を作るため、日々経営に没頭中。
2022年からは活動拠点を海外にも広げ、モンゴルに現地法人を設立し不動産業のライセンスを取得。

自身も10代の頃から株式投資をスタート。
新築収益アパート投資やモンゴルの不動産投資、国内スタートアップへのエンジェル投資など幅広く投資を行なっている。

URL: https://twitter.com/cocozas_ando

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