S DIVISION HOLDINGS逮捕の経緯と背景


以前取り上げたS DIVISION HOLDINGSの幹部が逮捕されたというニュースが8月頭に出ましたが、やはりというか、想定内だったという印象でしょうか?
S DIVISION HOLDINGSは過去に「配当が止まっている」という情報をもとに解説をしたんですよね。
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金融庁からも公式リリースが当時出ていて、「商品としてあり得ない」という話をしていました。

そうなんです。私募債には「私募集」と「公募募集」があって、通常は管理者登録をして金融庁の力も借りながら公募するというモデルですが、管理者を置かずに発行できるのは「少人数私募債」という形です。

これは一般的に「1億円以下、かつ6か月間の通算で49名以下への勧誘」に限られています。
この条件を超えると金融商品取引法に違反します。


セミナーをやった時点でもうアウトということですよね。オンラインセミナーで参加人数が分からないような形だと完全に無理ですよね。

そうです。私たちも会社経営の中で少人数私募債の発行をやったことはあります。お客様の中でも特に関係の深い方に声をかける形です。
だからセミナーなんて絶対にやりません。
仮にやるとしたら「利回りが〜」とか言った時点で勧誘行為になってアウトです。
適法に運用するなら、たとえば「フィリピンの事業に使う資金」というテーマでセミナーを開催し、「興味がある方は個別にご連絡ください」として49人に1人ずつ説明する。
これなら白です。

なるほど。商品の説明をしているわけではなく、投資自体の案内をしていないならセーフということですね。

そうなんです。でも大体こういうレベルの低い会社って、経営者が法律を理解していないからやらかすんです。
S DIVISION HOLDINGSは、「年利12〜24%」と謳った投資プラン資料をセミナーで配布していました。

このような資料の配布は、それ自体が金融商品取引法における「勧誘行為」に該当し、しかも数千人規模に配布されていたことから、明確な違法行為と見なされます。
このような手法を用いていた以上、摘発に至ったのは当然の結果であると言えるでしょう。
▼ 動画で確認したい方はこちら
「年利12〜24%」はあり得ない ― 高利回り商品は危険信号


今回も結局、金融商品取引法違反での逮捕ということですね。

はい。金融庁に登録していない状態でこの規模の社債は集められません。
それを行っていたことが確認され、結果的に金融商品取引法違反で逮捕されました。
もし事業実態がなく、人を欺く意図があった場合は詐欺に該当します。
現時点では金商法違反での逮捕ですが、今後は詐欺容疑も視野に入るかもしれません。

須見一さんはどんな人なんですか?

前回のも触れましたが、2013年頃に与沢翼さんと一緒に情報商材を売っていました。
せどりとか物販系ですね。
スクールを作って与沢さんがプロモーションして高額塾を売る。

何億円も売っていましたが、まともな稼ぎ方ではなかった。
その後フィリピンに拠点を移し、お金集めを始めたのでしょう。

なるほど。2016年から2024年にかけて社債を販売して、400億円も集めたと聞きました。

そうです。社債の販売代理店を名乗る場合は、特に法令遵守の観点で注意が必要です。
年利6%から24%のプランを出して、「多く払えば高金利」なんて設計は明らかにおかしい。
「1,000万円払えば年利24%!」なんて誰がどう見ても不自然ですよね。

実態解明を進めていると報道されていますが、詐欺の可能性も十分あると思います。

社債は詐欺に遭いやすい?仕組みを理解して備えよう


こういう詐欺的な案件は本当に多いんですね。

ええ。正直、詐欺まがいの案件が非常に多いのが実情です。投資エキスポなどのイベント動画を見ても分かるように、あの手この手でお金を集めようとする人が山ほどいます。
社債という仕組みは、詐欺的な手法に悪用されやすい側面があります。
なぜかというと、集めやすいからです。
社債って、みんなあまり気にせず買ってしまうんですよね。
大手が発行する社債なら「安心・安定」というイメージがありますが、絶対に守らなければならないルールがあるんです。

少人数私募債について検索していただければ分かりますが、半年間の通算で49名以下にしか案内できません。
原則として、1回の募集額が1億円未満である必要があります。
少人数私募債のルール
- 6か月間の通算で49名以下にしか案内できない
- 1億円以上集めてはいけない

ということは、詐欺的な行為には本来使えない仕組みなんですね。

そうなんです。
例えば会社経営の中で1億円借りたい場合、A社とB社という法人格を持っていれば、それぞれ9,900万円を49名以下に声がけするなら問題ありません。
顧問弁護士からも「それ以上はやめてください」と指導が入りますし、正しい知識があれば悪用はできません。

基本的には「1億円」が上限なんです。
仕組みを見た瞬間に怪しいと気づくべきものです。

つまり、通常の私募債の集め方なら問題ないけれど、そこから外れるものは要注意ということですね。

その通りです。社債は投資家さんが悪いわけではありません。集められた資金がどう使われ、投資家に返済される見込みがあるのかが最大の問題です。
もし悪い使い方をしていれば詐欺適用もあり得ます。
社債は「返してもらえるお金」ではありますが、会社の経営リスクを負うわけです。
逮捕に至った場合、資金が返還される見込みは著しく低くなります。
他にも「社債です」と言いながら何億円も集めるケースがよくあります。
私募債はあくまで1億円までです。
怪しい投資は必ず避けるべき ― 信頼できる相談先を持とう


それ自体もリスクがありますよね。

そうです。代表者と関係が深く、財務状況も理解しているような家族や親しい関係者ならまだしも、そうでない場合の私募債は絶対にやめるべきです。
うまく集めきれたとしても、結局S DIVISION HOLDINGSのように金融庁から追及され、逮捕されます。
そして投資家のお金は戻ってこない。
資金の返還は見込めず、投資は実質的に終了することになります。
こういう話は本当に多いですよ。

過去にも同じようなケースがありましたよね。

ありました。3〜4年前には「グランシールド」という歯科矯正関連の案件もありましたし、エクシアやスカイプレミアムといった会社もすべて逮捕されました。

事前に相談いただいた方には「絶対やめたほうがいい」と伝えてきましたが、多くの人が結局やってしまうんです。
もし今気になっている商品があるなら、まずは相談してください。
我々は第三者の立場から「良い」「悪い」を伝えられます。


確かに、一人で決めてはいけない話ですね。

そうです。法的な要件を理解していない状態で決断してはいけません。
分かっていないことに気づいていない人も多いです。
我々は投資詐欺の被害を防ぐために、正しい情報を提供していきたいと思っています。

嫌な世の中ですが、頑張っていきましょう!