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PC破壊で証拠隠滅? いわき信用組合“247億円”超の不正融資問題|調査報告から読み解く犯罪レベルの実態

PC破壊で証拠隠滅!?いわき信用組合の247億円超不正融資問題、調査報告書を読んだら普通に犯罪レベルだった件

福島県いわき市の信用組合で、なんと247億円を超える不正融資が発覚しました。
事件のきっかけは、SNSの匿名アカウントによる内部告発。調査によって明らかになったのは、無断借名融資260件、迂回融資、背任、証拠隠滅としてPCをハンマーで破壊するという前代未聞の不正の数々。

企業文化の劣化とガバナンスの崩壊が、ここまでの腐敗を生み出したのか?
本記事では第三者委員会の報告書をもとに、事件の全容と「組織を腐らせる体質」について解説します。

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この記事の監修者

安藤 義人

ココザス株式会社 代表取締役CEO

安藤 義人

YOSHITO ANDO

2016年に個人向けライフデザイン(人生設計)事業を行うココザス株式会社を創業。
現在は事業領域を広げ、資産形成・転職支援・住宅関連の3つの事業を通じて、世界中の人々がワクワク生きていける世界を作るため、日々経営に没頭中。
2022年からは活動拠点を海外にも広げ、モンゴルに現地法人を設立し不動産業のライセンスを取得。

自身も10代の頃から株式投資をスタート。
新築収益アパート投資やモンゴルの不動産投資、国内スタートアップへのエンジェル投資など幅広く投資を行なっている。

URL: https://twitter.com/cocozas_ando

  • 書籍:3週間で身につく日本人が知らないお金の常識|2020年11月3日発売
  • 書籍:モンゴルがいま熱い!|2024年2月26日発売

いわき信用組合の247億円不正融資とは?20年続いた金融不祥事の概要

細川
細川

社長もご存知だと思いますが、ちょっと悲しいことが起きました。私の故郷である福島の「いわき」にあるいわき信用組合が、不正取引をしていたようでニュースになっていました。地元出身としては悲しい限りです。

安藤
安藤

なるほど、福島出身の細川さんとしては複雑ですね。

細川
細川

そうなんです。親戚も住んでいる地域なので、かなり大きな金額の不正融資があったようです。5月の末ごろのニュースだったと思います。

安藤
安藤

今、報告書を見ているんですが、信用組合って地域に根ざした金融機関ですよね。その信用組合で重大な事案が3つも発生したということで、すでに調査報告書も上がっているようです。

調査報告

相当なボリュームの資料なので、社内で読んでもらったのですが、内容は大きく3つの事件にまとめられていました。

2004年から、つまり20年以上の長期にわたって続いていたようで、一つ目が「不正融資」、二つ目が「多額の横領」、そして三つ目が「現金着服」です。

要は、お金にまつわるあらゆる不正があったんです。

安藤
安藤

こういう事件って、実はたまに起きるんです。以前にも「貸金庫事件」などがありましたし、大手メガバンクでも不正が発覚したことがあります。

貸金庫事件

ただ、今回良くないのは「隠蔽を長期に続けていた」点なんです。

細川
細川

なるほど。

安藤
安藤

金融庁からも業務改善命令が出ていて、今後どうなるのかという状況です。

なぜ事件が発覚したのかというと、去年の10月にX(旧Twitter)の匿名アカウントが「いわき信用組合の不正を暴こう」ということで内部情報を告発したんです。

それをきっかけに内部調査が始まり、不正が確認され、去年11月には記者会見まで行われました。

金融庁

その時点で「不正な資金流用が10億円を超えそうだ」と説明されていて、第三者委員会も設置されたそうです。

▼動画で確認したい方はこちら

PCをハンマーで破壊…証拠隠滅の手口と調査報告書の内容

安藤
安藤

その後の調査で、なんと――パソコンをハンマーで破壊して、資料やデータを全部葬り去っていたことが判明しました。

細川
細川

ニュースになっていましたね。すごい話です。

安藤
安藤

第三者委員会が発足したのが昨年11月、調査報告書の公開は今年5月下旬でした。そこでようやく不正の全貌が明らかになったのです。

調査報告書1

引用 |250530第三者委員会公表文

報告書はなんと212ページにも及ぶ大作ですよ。

細川
細川

うわ、それは相当ですね。

安藤
安藤

しかも、その中には“PCをハンマーで壊した”という衝撃的な記述もありました。

調査報告書2

引用 |250530第三者委員会公表文

証拠隠滅のためにデータを完全に消した、ということですね。

もしSNSの告発がなければ、今も何も発覚していなかった可能性があります。

細川
細川

怖いですね。匿名の投稿がなかったら隠れたままだったのですね。

ペーパーカンパニーを使った迂回融資|資金流出の仕組みと手口

安藤
安藤

では、実際にどんな不正融資が行われていたのか。報告書を読み解いていくと、かなり悪質な手口が明らかになっています。

まず、事業実態のないペーパーカンパニーをいくつも設立し、それを通じて資金を流していた。

つまり本来の融資先ではない会社を経由させていたわけです。

これがいわゆる「迂回融資(うかいゆうし)」というもので、金融機関としては完全にアウトです。

迂回融資
細川
細川

なるほど、見た目だけ合法っぽくしてたんですね。

安藤
安藤

そうです。本来であれば融資先の信用調査や回収可能性の確認、担保のリスク評価などを行う必要があります。

さらに銀行法では、貸出額の上限などが厳しく定められていますが、それを超えていました。

つまり法律違反なんです。

しかも、回収できないような会社に貸し出していたため、結果的に組合の資金が外部に流出していた。

背任罪

会社のお金を外に出したということは、「背任罪にもあたります。

細川
細川

本人が利益を目的としていなくても、アウトってことですよね。

安藤
安藤

そう。たとえ個人が直接お金を受け取っていなかったとしても、組合資金を外部に流していた以上は重大な違法行為です。

さらに悪質なのが、名義人の同意を得ずにその名義を使って融資をしていたケースです。

つまり、他人の名前を勝手に使って契約していた。

これはもう「有印私文書偽造」とか「詐欺」に該当します。

細川
細川

うわ……。それって被害者も多そうですね。

安藤
安藤

実際、無断で名義を使われた人が260人。

しかもその多くが組合の職員や親族、知人、顧客だったのです。

当然、回収不能な融資も多く、罪として問われる可能性が高いでしょう。

これは「個人情報保護法」にも完全に違反しています。

これが20年以上も続いていたというのは考えられません。

間違いなく経営陣は知っていたと思います。

細川
細川

確かに、これだけ長期間だと知らないはずがないですよね。

安藤
安藤

「その不正融資の資金は何に使われていたのか?」という点なんですが、報告書によると、とあるグループ企業への資金提供に使われていたようです。

ただ、そのお金の最終的な行き先、つまり誰の懐に入ったのかまでは判明していない。

パソコンを壊して証拠を消してしまったので、もう調べようがない部分も多いんです。

もし現金で取引されていたなら、なおさら痕跡が残りません。

細川
細川

証拠隠滅としては最強ですが、悪質すぎますね……。

安藤
安藤

本当にそうです。しかも不正が発覚しても、組合内部で処分せずに内部で揉み消していたんです。つまり当局への報告もなく、組織ぐるみの隠蔽です。

発覚後も組合内で処分が適切に行われず、別の不正融資で穴埋めをしていた疑いがあるようです。

そのため証拠を隠滅しようとした関係者がパソコンを破壊したのではないかと推察されます。

元職員が定期預金の解約や帳簿の操作を行い、数億円を不正に引き出していた事実も確認されています。

細川
細川

顧客の預金が流用されていたとすれば窃盗や業務上横領に該当しますよね。

安藤
安藤

そのとおりです。発覚後に再び別の不正で穴埋めをするという行為自体が、余計に事態を深刻にしています。例えば顧客から1億円を不正に抜き取って、それを別の帳簿上で埋め合わせるような動きがあったと報告されています。

なぜ内部で止められなかった?金融機関に潜む“沈黙の職場”の闇

細川
細川

もうやりたい放題ですね。これが地域密着の金融機関で起きてしまうと、預金する側としては不安になります。

安藤
安藤

確かにそうですね。こうした事例は「権力の集中」と「ガバナンス不全」が背景にあることが多い。

トップが絶対的な影響力を持っていて、誰も逆らえない構造になっていると、隠蔽や不正が発生しやすくなります。

細川
細川

内部でパワハラが行われていたり、正しいことを言えない雰囲気があると、誰も声を上げられなくなりますよね。

安藤
安藤

まさにそのとおりです。組織としては「透明性」と「チェック機能」を徹底することが重要です。

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ガバナンス崩壊が招いた不正|企業文化と内部統制の重要性

安藤
安藤

私が重視しているのは「企業文化」です。

細川
細川

企業文化ですか。

安藤
安藤

はい。正しい文化を作ることです。

正しい文化

隠蔽を許さない文化を作っておかないと、いくらルールを作っても意味がありません。

細川
細川

具体的にはどんなことを気をつけているんですか?

安藤
安藤

私は隠蔽が大嫌いなので、少しでも隠蔽っぽいことをした人には徹底的に注意します。嘘をつかせない雰囲気を作ることを意識しています。

細川
細川

透明性があれば隠蔽は起きにくいということですね。

安藤
安藤

そのとおりです。例えば店舗運営で現金売上に違和感があれば、私は直接現場に行って確認します。防犯カメラや帳簿を裏取りして、不審な点があれば追及します。

細川
細川

詰められると取り調べみたいに感じる人もいそうですね。

安藤
安藤

そうならないように配慮しますが、違和感を感じたら徹底的に確認します。そこで「見つかったらどうするか」を明確にしておくと、みんなが不正をしにくくなります。

細川
細川

文化として「不正を許さない」という空気が定着するわけですね。

安藤
安藤

はい。役員クラスや上の層こそが率先して模範となるべきです。トップがずるをしていたら、社員も同じことをしてしまいますから。

徹底的に守る
細川
細川

実際に今回の件は経営陣も関与していたと疑われているわけですよね。

安藤
安藤

長期間にわたる不正ですから、経営層が知らないとは考えにくい。そういう意味でもトップの責任は重大です。

内部告発は会社を救う|正しく告発するために必要なこと

細川
細川

会社で働いている読者の皆さんに向けてメッセージはありますか。

安藤
安藤

もし職場で「これはおかしい」と思ったら、匿名でもいいから内部告発するべきです。放置すれば自分が巻き込まれて損をするだけです。

会社に通報して変わらなければ、そこで働き続ける意味はありません。

細川
細川

つまり、告発→改善されないなら転職、という選択肢ですね。

安藤
安藤

そうです。自分の幸福を優先して環境を変えることも大切です。

我々も「幸福転職」のようなサービスで、風通しがよく、やりがいのある会社を紹介しています。

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細川
細川

結局、企業内の文化の差が不正を生むかどうかを分けるんですね。

安藤
安藤

その通りです。今回は非常に悪質なケースでしたが、どの会社にも起こり得る話だと思って注意喚起をしていきたいです。

本日のまとめ
細川
細川

本日もありがとうございました。

この記事の監修者

安藤 義人

ココザス株式会社 代表取締役CEO

安藤 義人

YOSHITO ANDO

2016年に個人向けライフデザイン(人生設計)事業を行うココザス株式会社を創業。
現在は事業領域を広げ、資産形成・転職支援・住宅関連の3つの事業を通じて、世界中の人々がワクワク生きていける世界を作るため、日々経営に没頭中。
2022年からは活動拠点を海外にも広げ、モンゴルに現地法人を設立し不動産業のライセンスを取得。

自身も10代の頃から株式投資をスタート。
新築収益アパート投資やモンゴルの不動産投資、国内スタートアップへのエンジェル投資など幅広く投資を行なっている。

URL: https://twitter.com/cocozas_ando

  • 書籍:3週間で身につく日本人が知らないお金の常識|2020年11月3日発売
  • 書籍:モンゴルがいま熱い!|2024年2月26日発売
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