新NISAは、これまでの制度よりさらにお得に
まず、現在のNISAから見てみましょう。
下記の通り、「一般NISA」と「つみたてNISA」のどちらかを選び、投資する仕組みです。
それぞれ投資できる対象や金額、期間に違いがあります。
出典|金融庁HP「新しいNISA : 金融庁 (fsa.go.jp)」
次に、2024年から始まる「新NISA」です。
新NISAは合計1,800万円まで(1年間360万円まで)投資が可能。
これだけでも、「一般NISA」と「つみたてNISA」を合わせるよりもお得なのがわかりますが、さらに、現在のNISAでは、1年間で決められた枠を使い切らないと残りは無効になってしまうところを、新NISAは「生涯で1,800万円」と設定されているため、1年で360万円の枠を使い切らなくても損をすることはありません。
出典|金融庁HP 「新しいNISA:金融庁 (fsa.go.jp) 」
つみたてNISAは、さらに絞り込まれた投資対象の中から選ぶ仕組み
さらに詳しく見てみましょう。
新NISAには「つみたて投資枠」と「成長投資枠」という2つの枠が存在します。
出典|金融庁HP 「新しいNISA:金融庁 (fsa.go.jp) 」
左側の「つみたて投資枠」は、これまでの「つみたてNISA」を引き継ぐものですが、年間投資枠が現行制度の40万円から120万円へと大幅に拡大されます。
一方、右側の「成長投資枠」は、現行制度の「一般NISA」を引き継ぐものですが、この年間投資枠も120万円から240万円まで拡大されています。
そしてもうひとつ。
現行制度のつみたてNISAと一般NISAで投資できる金融商品には、一定の制限が設けられています。
一般NISAは比較的幅広く、株式と株式型投資信託、ETF、J-REITが対象となっており、中でも株式型投資信託については現在、設定・運用されているすべてのものが対象です。
ちなみにETFを除いた株式型投資信託の運用本数は、5,600本近くにのぼります。
でも、こんなにたくさんの中から選べと言われても、正直、困ってしまいますよね。
そこで、つみたてNISAは、金融庁が投資対象になる投資信託のスクリーニング基準を設け、それに合致したものだけに投資できる仕組みとしました。
その対象は、投資信託のなかでインデックス型投資信託が191本、アクティブ型投資信託が27本、ETFが7本の合計225本までに絞り込まれています。
新NISAは、何に投資できるの?
先日、2024年からスタートする新NISAについて、「購入の対象になる投資信託は3分の1程度」と報じられました。
一般NISAは現状、株式型投資信託に関しては大半のファンドが購入対象ですが、成長投資枠では一定の制限が設けられるというのです。
それは、信託期間の残りが20年以上あること、レバレッジ型の投資信託と、毎月分配型の投資信託は除外すること、という3つの条件であり、この条件すべてをクリアできる投資信託をスクリーニングしたところ、全体の3分の1程度しか対象にならないだろうと伝えています。
しかし、実際にはもっと投資するに値するファンドの本数は少ないのではないかと思います。
なぜなら、新NISAは長期間に渡ってコツコツと資産形成をしていくための制度であり、いわば人生に寄り添って資産を育てていこうとするものです。
したがって、投資対象となる金融商品も長期間に渡ってあり続けるものでなければなりません。
そういう意味では、純資産総額(総資産額から運用に必要な費用を引いて残った資産のことを言い、純資産額の多さはそのままファンドの規模に置き換えられます。)の規模が50億円に満たないような投資信託は、投資対象にしていいのか疑問です。
なぜなら投資信託には「繰上償還条項」というのがあり、これが「受益権口数が30億口を下回った場合」などというように、約款で決められているからです。
この繰上償還とは、運営が難しくなった投資信託は、約束した期日を待たずに運営が強制終了されることです。
運営が終了した投資信託は解散され、お金は投資家に返されます。
大きく育てようと思ったお金は、強制的に手元に戻されてしまうのです。
しっかりと知識を得て、適切な投資判断を!
では、純資産総額が50億円に満たない投資信託はどれくらいあるのでしょうか。
1月時点では、5,700本近い追加型公募投資信託のうち、なんと3,600本超がその対象に!
つまり、全体の3分の2近い投資信託が、長期投資には不向きということです。
そこに、前述した信託期間の残りが20年以上あること、レバレッジ型の投資信託と毎月分配型の投資信託は除外すること、という条件を掛け合わせると、成長投資枠で買える投資信託はさらに少なくなってしまいます。
投資対象が絞り込まれるのは、選びやすくなるというメリットもありますが、せっかく始める長期投資です。
これから様々な金融機関が、投資家を囲い込むために甘い誘いの声をかけてくるはずですから、その声に乗るだけでなく、自分自身でしっかりと考えていく必要がありそうです。