会社四季報は、年に4回発売されている
会社四季報は、企業が発表する四半期決算に合わせて発売されます。
ですから、3カ月ごとに年4回発刊。
上場企業が決算を発表すると、すかさず東洋経済新報社の経済記者が取材し、執筆していきます。
その後、編集部で間違いがないかどうかチェックを重ね、正しく編集されたものが印刷されて書店の店頭に並びます。
企業が決算を発表するのは、決算期末から1カ月以上経った後ですが、そこから会社四季報が発売されるまでの期間は、印刷や運搬なども含めても、なんと1カ月程度!
取材や執筆、編集作業が突貫工事のように進められていることが想像できるでしょう。
旬の情報を投資家に素早く届けることを使命に作られているのが、この会社四季報なのです。
ちなみに、上場企業の大半が3月末決算を採用しているため、四季報が発売されるスケジュールは下記の通りです。
書店で見かける冊子タイプの他に、オンラインでも見ることができますが、四季報マスターである玄人投資家の多くが冊子タイプに付箋をつけたり、マーカーでチェックしたりしながら使っていることを考えると、投資初心者も同じように冊子タイプを使う方がおすすめです。
四季報を開いてみよう!
冊子タイプの会社四季報には1ページに2社ずつ、見開きで4社分のデータが掲載されています。
さらに、1社分の中身も細分化され、株主構成や役員リスト、財務データなど様々な情報が盛り込まれています。
そんなにデータがあると、いったいどれが重要なのか迷ってしまいますよね。
見るべきは、たった3つ!
「業績のコメント」欄と、「業績の推移と見通し」が並んでいる欄、そして、「配当の見通し」。
最初はこの3つで十分です。
それでは順番に説明していきましょう。
「業績欄」からは、企業の稼ぐ力が見える
業績のコメントが書かれた欄は、実際はふたつに分けられます。
まず、四季報本文中で【】←このようなかっこで区切られた最初の部分が「業績欄」です。
企業の現在の経営状況が説明されていて、例えば、【連続最高益】や【停 滞】などと書かれた見出しを見るだけでも、その企業の状態をざっくり把握することができるでしょう。
重要なのは、その見出しや中身のコメントが、「営業利益」をベースに書かれていることです。
企業にとって「売上」をたくさん上げることはとても大切ですが、その「売上」から仕入にかかった費用や人件費、家賃などの必要経費を差し引いた後の「営業利益」が多ければ多いほど、手元に残るキャッシュも多く、事業を発展させるための投資や、株主に還元する配当金なども多くなることが想定されます。
「業績欄」が「営業利益」をベースに書かれていることを前提にそのコメントを読んでみると、対象の企業の稼ぐ力や未来の成長力が見えてくるはずです。
「材料欄」には、今後の業績にプラスに寄与しそうな材料が満載
業績欄の隣に、またまた【】←同じかっこから始まるコメントが続いていますよね。
これは、「材料欄」と呼ばれ、今後の業績にプラスになりそうな注目ポイント、例えば、事業提携やM&A、新商品の発売などが書かれています。
すでに企業側が発表しているものもありますが、取材で得た最新の材料もあり、今後、株価に影響を与えることも考えられます。
先の「業績欄」とそれに続く「材料欄」を併せても、たった9行しかない狭いスペースです。
記者が念入りに取材した対象の企業の可能性を詰め込むためには、厳しいほど少ないスペースですから、記者は、言葉を選び抜き、短い言葉で企業の未来を伝えようとします。
読み込んでいくと、記者のクセやその思惑を感じとれるようになりますから、ぜひ、気になる企業のこれらコメント欄はもちろん、同業他社、ライバル社のコメント欄も継続的に読んでみてください。
たくさん読み込むことで、きっとあなたも会社四季報マスターになれるでしょう。
「業績の推移と見通し」欄では、記者独自の予想に注目!
会社四季報の重要なポイントは、取材した記者が売上や営業利益などの予想を独自に算出していることです。
これはとても大変な作業。
数年間の業績の推移や、取材をもとに電卓をたたき、算出しています。
快く取材させてくれた企業に対しても、減収、もしくは減益になる可能性が高ければ、心を鬼にして、会社予想を独自に下方修正しなければなりません。
会社が発表している予想とどう違うのか――。
「業績の推移と見通し」が書かれた欄には、会社予想も書かれていますから、ぜひ比較してみてください。
もし、会社予想より高い数字が示されていれば、先の「業績欄」もしくは「材料欄」にそのヒントが隠されているはずですから、併せて確認してみましょう。
また、同じ数字が並んでいる欄に書かれている「配当予想」も必ずチェックしてください。
業績予想と同様にこの「配当予想」も、取材した記者が独自で算出しています。
個人投資家も、記者と同じように企業に直接、取材することもできますが、投資初心者だと気おくれしてしまいます。
「会社四季報」は、そんな皆さんの代わりに記者が直接取材し、その感触をまとめた冊子です。
専門的な言葉も多いため、最初は読みにくいかもしれませんが、継続して読むことで様々な投資のヒントを読み解くこともできるはずです。
データのすべてを理解する必要はありません。
まずは、今回あげた3つのポイントからチェックしてみてください。