新NISAの売却を検討しても良い5つのタイミング

売却を考えても良いタイミングは、以下の5つが挙げられます。
(2)ライフイベントに備える必要があるとき
(3)旧NISAの非課税期間が終了するとき
(4)資産が大幅に増えたとき
(5)投資対象の状況が大きく変わったとき
それでは、各々の詳細をみていきましょう。
(1)投資目標を達成したとき
新NISAを始めるときに立てた目標金額やリターンに到達したら、売却を検討する目安となります。
たとえば、以下のようなケースが該当します。
・老後資金として300万円を準備する目標に達した
・「5年で30%増やしたい」というリターン目標を達成した
・教育資金として目標にしていた200万円に到達した
目標に届いた時点で「一度売却して目的を達成する」のも選択肢の一つです。
(2)ライフイベントに備える必要があるとき
今後の大きな支出に向けて、必要資金を確保するために売却を検討する場面です。
たとえば、以下のようなケースがあります。
・2年後に住宅購入を予定している
・来年から子供が大学に進学するため教育資金が必要
・結婚式や引っ越し費用としてまとまったお金が必要
必要な時期に、確実に利益を得られるよう、早めの売却を考えておきましょう。
(3)旧NISAの非課税期間が終了するとき
旧NISA(2023年以前のNISA)の非課税期間が終了すると、課税口座に移すか売却するかを選ぶ必要があります。
例えば以下のようなケースが該当します。
・一般NISAの5年目が近づいてきたとき
・つみたてNISAの20年目が近づいてきたとき
利益が出ている場合は非課税のうちに売却を検討できますし、保有継続も含めて見直すタイミングです。
(4)資産が大幅に増えたとき
想定より大きく資産が増えた場合も、一度売却を考えるタイミングになります。
たとえば、以下のような状況です。
・50万円で購入した資産が100万円以上になった
・1年間で資産が30%以上増えたなど、大きな利益が出た
「どのくらい増えたら一部売却するか」を自分なりに決めておくと判断しやすくなります。
(5)投資対象の状況が大きく変わったとき
投資先の状況が悪化した場合も、売却を考えたほうが良いタイミングです。
以下のようなケースが考えられます。
・企業の業績が悪化し、今後の成長が見込めない
・投資信託の運用方針が大きく変わった(リスクを取りすぎる運用に変化した等)
・期待していた分配金や配当が大きく減った
「最初に投資した理由」がなくなったと感じたら、無理に保有を続けず見直すタイミングです。
補足:タイミングが分からない場合はどうしたら良い?
ここまで述べてきたように、新NISAでは5つのタイミングで売却を検討できます。
しかし、「自分がタイミングに当てはまるのかどうか迷う」といった場合は、次のポイントを意識すると判断しやすくなります
- 今売らないと後悔するかどうか
たとえば「利益が出ているうちに確定したい」「今後の市場の動きに不安がある」と感じるなら、一部売却も選択肢になります。 - 値下がりしても持ち続けられるかどうか
仮に市場が下落しても「長期で運用するつもりだから問題ない」と思えるなら、売却を急ぐ必要はありません。 - 他に良い投資機会があるかどうか
たとえば今の資産を売却して、より魅力的な投資先に移したほうがリターンが見込める場合は、売却を検討するのも一案です。
こうした視点から考えると、「今が自分にとってベストな売却タイミングかどうか」が見えてくるでしょう。
新NISAを売却するときのポイント

新NISAは「いつ売るか」だけでなく「どう売るか」も重要です。
売却の方法や順番を誤ると、思わぬ損失を招く可能性があります。
こちらでは、売却時に気をつけるべきポイントを整理し、利益をしっかり確保しながら、資産を守る方法を解説します。
(1)利益が出ているタイミングで売却する
利益を確実にするには、含み益が出ているうちに売却するのが基本です。
「まだ上がるかも」と思って売却を先延ばしにすると、相場が下落して利益を逃すこともあります。
NISAは利益が非課税になる制度のため、マイナスで売却するとメリットを活かせません。
急な出費で資金が必要な場合は別として、焦って売却せず、運用を続けることも検討してみましょう。
(2)複数回に分けて売却する
売却は、なるべく複数回に分けて実施しましょう。
まとまった金額を一度に売却すると、相場が低いタイミングに当たる可能性があるためです。
想定よりも低い価格で売却してしまいかねません。
一方、少しずつ売却すれば価格変動の影響を分散でき、結果的に売却価格を平均化しやすくなります。
商品によっては、売却時に手数料(信託財産留保額など)がかかることがあるため、事前の確認が必要です。
(3)感情に流されず、計画的に売却する
売却は事前にルールを決め、相場の変動に振り回されずに判断することが大切です。
たとえば「投資額の30%増で必ず一部売却」「半年に1度は売却を検討する」など、基準を決めておくと迷いを減らせます。
また、頻繁に売買を繰り返すと、短期的な値動きに翻弄され、本来の投資目的を見失いがちです。
新NISAは長期運用向けの制度であるため、安易な売買を避け、計画的に資産を管理していきましょう。
(4)売却する枠の優先順位を決める
売却する枠を決める際は、成長投資枠を先に売るのがおすすめです。
成長投資枠は一括投資が可能なため、売却後にまとまった資金を再投資しやすく、運用の自由度が高まります。
一方、つみたて投資枠はコツコツ積み立てる仕組みのため、長期運用での複利効果を活かしやすくなっています。
売却の際は、資金ニーズや市場の状況を踏まえ、どちらを先に売るべきか検討しましょう。
【タイミングを決めたら】新NISAの一般的な売却手順

売却のタイミングが決まったら、次は具体的な手続きを進めていきます。
こちらでは、一般的な売却手順の流れを4つのステップに分けて紹介します。
(1)売却する銘柄を決める
まずは、証券会社のマイページや保有商品一覧から、売却したい銘柄を選びます。
証券会社の画面には「保有一覧」「取引可能資産」などのメニューがありますので、その中から対象の商品をクリックします。
証券会社によって「売却」「注文」のボタン表示が異なる場合もあるので、確認しながら進めましょう。
(2)売却方法を選ぶ(成行注文 or 指値注文)
次に「成行注文」か「指値注文」を選びます。
- 成行注文
その時の市場価格ですぐに売却できます。
急ぎで資金化したい場合に向いています。 - 指値注文
指定した価格に到達したときだけ売却します。
価格にこだわりたいときに向いています。
なお、成行注文は思った価格より安くなることもあるので、すぐに売りたい場合以外は慎重に選択しましょう。
(3)売却数量を決める
売却する株数(口数)や金額を入力します。
証券会社の画面で「数量」「売却口数」と書かれている欄に入力しましょう。
一部を売却する場合は、売却数量を正しく設定しているかよくチェックしてください。
入力ミスにより想定以上の売却をしてしまわないよう、注文確定前に再確認することが大切です。
(4)売却の実行と注文の確認
最後に「売却注文」を実行し、内容を必ず確認します。
証券会社の取引画面では、以下のような確認項目が表示されます。
・売却する銘柄名
・売却数量
・売却方法(成行 or 指値)
・予想約定価格(成行の場合は変動可能)
・手数料(かかる場合)
注文確定ボタンを押す前に、必ずもう一度確認しましょう。
注文が完了すると「注文受付」「注文履歴」の画面で内容が確認できます。
証券会社によっては、指値注文のキャンセルや訂正が可能な場合もあります。
ただし、成行注文は即時約定するため、原則としてキャンセルはできません。
新NISAを売却したあとの資金の活用法

今後の資産形成に大きく影響するので、新NISAを売却して得た資金をどう使うかもよく考えておきましょう。
こちらでは、代表的な2つの活用方法を紹介します。
新NISAでの再投資を検討する
売却後も資産形成を続けたい場合は、復活した非課税枠を活用して再投資する方法があります。
再投資の際は「売却した銘柄」にこだわらず、今の自分に合った投資先を選ぶことが大切です。
たとえば以下のような選び方があります。
- 長期的に安定した成長を狙いたい場合
世界株や米国株インデックスファンド - 値動きが心配な場合
債券やバランス型ファンド - 配当収入を得たい場合
配当付きETFや高配当株ファンド
なお、一度に全額を再投資せず「一部は現金」「一部は投資」と分ける方法もあります。
自身のリスク許容度や将来の資金ニーズに応じて、無理のない範囲で再投資を検討しましょう。
生活資金・老後資金として管理する
売却資金を、生活費や老後資金として確保する方法もあります。
たとえば、以下のような考え方を参考にしてみてください。
- 数年以内に使う予定がある場合
現金や定期預金などで安全に管理 - 10年以上先の老後資金として準備する場合
個人年金保険やiDeCoなど、税制メリットのある方法も検討 - 不測の事態への備え
生活防衛資金として生活費6か月〜1年分を現金で保有
また「生活費の一部だけを取り崩して使う」「残りは長期資金として保管する」といったように、使い道ごとに分けておくと安心です。
漠然と使うのではなく、「いくらをどの目的に使うか」を具体的に決めておくと、無駄な支出を防ぎつつ将来への備えもできます。
まとめ

新NISAは基本的に長期で運用する制度ですが、状況によっては売却を考える場面も出てきます。
たとえば、目標額に到達したときや、大きな支出が迫っているときは一度売却を検討してもよいタイミングです。
売却を決めたら、どの銘柄をどのくらい売るかを考え、証券会社の取引画面で具体的に進めていきます。
また、売却して得た資金をどう使うかも大切です。
次の投資に回すのか、生活費や将来のために置いておくのかを考えることで、無駄遣いを防ぎつつ、今後の資産形成にもつなげていけます。
本文の内容を参考にしながら、自分に合った方法で新NISAを賢く活用していきましょう。