青柳物販の投資詐欺


社長、青柳物販という会社の社長が投資詐欺で逮捕され、約30億円を集めていたそうです。ご存じでしょうか。

ええ、青柳物販は2020年のコロナ禍頃から、典型的なポンジスキームで資金を集めていました。弊社のお客様の中にも投資してしまった方がいますし、私も当時から話を聞いていました。
実際には2021年末頃に資金繰りが行き詰まり自己破産し、警察へ自首しています。

逮捕というよりは自首だったわけですか。

そうです。最近新たな犯罪を犯したというよりは、過去の案件が今になって立件された形ですね。確かこのスキーム自体は2020年から始まっています。

そもそも、そのスキームとは具体的にどのような仕組みだったのでしょうか。

「物販」と社名にあるように、ブランド品などを仕入れて転売し、利益を得るビジネスを装っていました。もともとは「このやり方なら儲かる」とうたう情報商材や講座を販売していた人物で、その時点では違法とはいえません。ところが途中から「投資商品」として資金を預かり、毎月配当を出す仕組みに切り替えたことが問題でした。
具体的には、物販スクールの受講生約300人から一口100万円を集め、月利10%(年利120%)を約束していました。スクール外の出資者にも月利2%(年利24%)を提示していますが、いずれも出資法が定める上限(年20%程度)を大幅に超えており、典型的なポンジスキームです。

ネット上に流出した契約書を見ると、「出資者が返金を求めれば全額返金する」と明記されており、実質的に元本保証をうたう内容でした。実際には新たな出資金を配当に回す自転車操業で、2021年9月頃には資金が回らなくなったとされています。

さらに3カ月単位の短期契約で集金し、支払期日を翌月20日に設定していたため、運用益で賄う余裕はほとんどなかったことが分かります。

月利10%と聞くと一見魅力的ですが、冷静に考えれば常識外れの数字ですよね。なぜ多くの人が信じてしまったのでしょうか。

「ブランド品の転売ビジネスは高利回り」というストーリーを前面に出し、SNSやセミナーで「成功者」の事例を演出していました。加えて、セミナー受講で社長と直接会えることが「信頼感」にすり替わり、出資への心理的ハードルが下がったのでしょう。

最終的にどの法律に抵触して逮捕されたのですか。

主な容疑は出資法違反です。出資法では、元本保証をうたいながら年20%を超える利益を約束して資金を集める行為を禁じています。青柳物販は年120%を提示し、実質的に元本保証まで行っていたため、完全に違法でした。

捜査の結果、全国34都道府県のべ約700人から総額12億5,000万円を集めていたことが判明しています。

社長ご本人は「悪い人ではない」という声も聞きますが、やはり仕組みそのものが破綻していたのですね。

まさに「良い人だから大丈夫」という思い込みが一番危険です。利回りの根拠と資金の流れが説明できない投資は、必ず疑ってかかるべきですね。
コンゴ鉱山への投資話


ところで、最近話題になったコンゴ鉱山への投資話も似た構図なのでしょうか。

ええ。最近は“コンゴ鉱山投資”と称する案件も話題になりました。例の、元キーエンス社員の方の件ですね。

そうです。そのニュースで、約100名から30億円ほど集めていたと報じられていました。社長、ご存じでしたか。

船越洋平さんという方ですよね。ご本人は“エンジェル投資家”を名乗り、投資ファンドを運営しているようなイメージを前面に出していました。

その“コンゴ投資”とは、具体的に何に資金を投じる計画だったのでしょうか。

神戸に本社を置くアドバンス工業という会社が「銅を採掘するプロジェクト」を掲げ、資金調達していたそうです。

船越さんは投資ファンド風のビジネスをしていたため、自身のネットワーク――特にキーエンス時代の同僚――から資金を集め始めました。仮に銅やコバルトが採掘できれば株価が跳ね上がると謳い、元本保証として「もし株価が上がらなければ投資額で株を買い取る」と約束していたそうです。
・鉱山開発の実態はなかったようです。それでもSNSや投資家仲間に向けて「アドバンス工業の株を買いましょう」と呼びかけ、多額の出資を集めた――典型的なポンジスキームです。さらに六本木ヒルズにオフィスを構え、「私は若い企業へ積極的に投資しています」と権威づけを行い、自社ホームページには投資先一覧をずらりと掲載していました。
・イーロン・マスク氏率いるSpaceXの株主でもあるとアピールしていたのですが、実際にはPEファンド経由で誰でも参加可能な仕組みを利用しただけのようです。

Twitterでも一時炎上していましたね。

「火のない所に煙は立たない」と言いますが、当時から警戒されていた人物でした。権威づけや“お金持ちアピール”には要注意です。
投資前に会社の情報をチェックしよう


ちゃんとしたオフィスを構え、健全な財務状況を示している会社なら、異常な条件で資金を集めることはありません。それが出来ないという時点で、何かおかしいと考えるべきでしょう。
もちろん、銀行融資が難しい開発プロジェクトで、少人数の投資家に声をかけることはあります。
しかし月利10%など提示しません。
いったいどれだけ儲かるプロジェクトなのか、冷静に考える必要があります。

本当にそうですよね。

当社が過去に提示した最高金利は年利15%です。
私たちは上場を目指しているので、出資法の上限20%や金融商品取引法違反にならないよう細心の注意を払っています。
15%でも高すぎたと反省しました。
その案件は利益率が30%以上見込めたため、投資家と半分ずつ分け合う計算でした。
一度実績ができれば、次は年利8%でも十分集まると分かりました。
高い金利を出すということは、そこまでしないとお金が集まらない証拠です。
仕組みが本当に持続可能かどうかを見極めるべきです。

そのポイントが大事ですね。
青柳物販も、月ごとの仕入れや販売実績を示すレポートを出していませんでした。
コンゴ投資を謳った案件も、アドバンス工業のホームページを見ると「採掘事業」と言っていますが、実態が不明です。

どの詐欺案件を見ても会社が“動いている”様子がありません。極端な話、私がモンゴルの採掘現場でスコップを持った写真を並べれば、100億円くらい集まるでしょう。
でもそんな馬鹿げたことはしません。

“動いている感”すら演出しない会社に、なぜ人は引っかかるのでしょうか。

私は、代表者のリファレンスチェックも欠かせません。
コンゴ投資の船越氏であれば、キーエンス時代の同僚に聞けば「詐欺師だ」と言われると有名でした。
青柳物販も、同業者の目から見れば一目で怪しい案件です。

連続するポンジスキームの被害者にならずに済むためにはオフィス、財務状況、事業の動き、代表者の人間性、そしてスキームそのもの――。この5つの確認が必要です。
ココザスに相談して下さい!


投資を検討する際は、まず相談してほしいですね。

ええ。当メディアを視聴されている方で「利回りが高すぎて不安」という案件があれば、概要欄のLINEから気軽にご連絡ください。


何年もこのスタンスでやっていますが、私たちには直接のメリットはありません。
ただ、被害者が増え続ける状況を見過ごせないのです。
相談に乗った上で納得したなら投資すればいい。
もし代表者に惚れ込み、本気で応援したいのなら、逮捕されて社会的に苦しい時期こそ最初の支援者になれば良いでしょう。
それくらいの覚悟で投資すれば、大きな失敗は避けられるはずです。
結局は”自分が見極めを誤っただけ”という厳しい現実を直視する必要があります。
このメディアで繰り返し伝えているポイントを押さえれば、騙されることはありません。
▼ぜひ過去の記事もご覧ください。

今回は青柳物販と今後投資――わずか一週間ほどで起きた出来事について、お届けしました。
今後もこうした速報形式の動画を作っていきますので、ご期待ください!