iDeCoの投資先はオルカンでもいい?

はじめにiDeCoの投資先はオルカンでもよいのか疑問に思う方に向けて、メリット・デメリット、iDeCoでオルカンを選べる証券会社について紹介します。
iDeCoでオルカンを選ぶメリットとデメリット
iDeCoでオルカンを選ぶメリット・デメリットを紹介します。

ひとつずつ確認しておきましょう。
メリット①:掛金は節税につながる
iDeCoの掛金は全額所得控除となるため、所得税・住民税の節税につながります。
掛金の上限は下図の通り、職業や勤務先によって定められておりますが、節税効果が期待できる資産運用です。

さらに運用益に関しては非課税になります。本来資産運用や投資で得た利益に関しては、20.315%の税率を掛けた税金が課せられます。
しかし、iDeCoの運用益に対しては非課税となるため、納税する必要がないため、堅実にオルカンで資産を増やしていくことができます。
メリット②:利益を受け取るときも所得控除の対象となる
iDeCoで得た利益を受け取る時も、所得控除の対象となります。
iDeCoの運用益を一括で受け取る場合は退職所得控除、分割の場合は公的年金控除が適用されます。
退職所得控除は、加入していた年数に合わせて以下の計算式で算出します。
加入年数20年以下:40万円ⅹ勤続年数(80万円未満の場合は80万円)
加入年数20年以上:800万円+70万円ⅹ(勤続年数-20年)
参考|国税庁「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」
公的年金控除は、年間合計所得が1,000万円以下の方は、以下の計算式で算出した金額が非課税となるのです。

引用|国税庁「No.1600 公的年金等の課税関係」
納税せずに利益を伸ばせる点は、大きなメリットとも言えるでしょう。
メリット③:必然と長期運用ができる
iDeCoは原則60歳まで引き出すことができませんが、オルカンは長期運用によって利益が安定してくるので、相性が良い投資先です。
もちろんiDeCoを始める年齢にもよりますが、最低でも10年間の運用を行わなければ引き出すことができません。
さらにiDeCoは例外がない限り途中解約は認められていないので、必然と長期運用になることから、堅実に資産を伸ばせるメリットがあります。
デメリット①:掛金が生活の負担になるリスクがある
長期運用だからこそ、掛金が生活の負担になるリスクも考えられます。特にiDeCoを始める年齢が若い20代や30代は、これから結婚や子育て、住宅の取得などお金がかかる年齢です。
そのタイミングでiDeCoをスタートすると、掛金が生活を圧迫するリスクも考えられるでしょう。さらにiDeCoは60歳まで引き出すことができないので、総掛金額は高額になります。
無理な金額で運用すると生活の負担になるので、最低掛け金5,000円から始めてもよいでしょう。
なお掛金は、途中で変更したり一時的に支払いをストップすることができます。iDeCoで増やすことばかりを意識するのではなく、生活に合った掛金を設定することが大切です。
デメリット②:元本は保証されていない
昨今のオルカンは右肩上がりで上昇しておりますが、iDeCoは決して元本が保証されているわけではありません。
企業年金連合会が発表した確定拠出年金に関する実態調査|統計資料によると以下の画像の通り2021年度の利回りを確認することができます。

上記を見てお分かりになる通り、元本割れする可能性は4.2%程度と投資の中では非常に低い特徴がありますが、保証はないので注意が必要です。
なお、iDeCo(イデコ)には元本確保型の金融商品もあるので、どうしても元本割れを避けたいのであれば、定期預金や保険を利用した元本確保型を選ぶのも選択肢の一つです。
iDeCoでオルカンを選べる証券会社と選べない証券会社
iDeCoでオルカンを選べる証券会社と選べない証券会社は以下のとおりです。

参考|三菱UFJアセットマネジメント「eMAXIS SlimシリーズのiDeCo取扱先 | 投資信託の始め方・制度 | 投資信託なら三菱UFJアセットマネジメント」
楽天オルカンとの比較

2023年から楽天オルカンがスタートしました。通常のオルカンとはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは楽天オルカンとの比較について紹介します。
楽天オルカンはどんな投資信託?
楽天オルカンとは楽天・オールカントリー株式インデックス・ファンド(楽天オルカン)と呼ばれ、通常のオルカン同様MSCI ACWIという、同じ全世界株の指標に連動を目指す投資信託です。
楽天オルカンは楽天証券の「投信残高ポイントプログラム」の対象となるので、残高に応じて楽天ポイントがもらえる特徴があります。
そんな楽天オルカンとオルカンの違いについて、次の項で詳しく紹介します。
楽天オルカンと異なる点
楽天オルカンとオルカンが異なる点は、大きく分けて以下の4点挙げられます。
(1)投資対象
(2)組入上位10銘柄
(3)組入上位10カ国
(4)組入業種(セクター)
ひとつずつ確認していきましょう。
(1)投資対象
はじめに投資対象の違いについて紹介します。

参考|楽天証券株式会社「楽天証券」
オルカンは最終的に先進国、新興国、日本など個別の株式へ投資しますが、楽天証券の場合、個別の株式だけではなく、ETF(上場投資信託)や先物にも投資することになります。
(2)組入上位10銘柄
次に組入上位10銘柄について比較します。

それぞれ上位に「アップル」や「エヌビディア」「マイクロソフト」などの米国IT企業の名が連なっています。
特段大きな違いはありませんが、オルカンでは台湾のTSWC(半導体メーカー)が9位にランクインしているのに対し、楽天オルカンではiシェアーズ・コア MSCI エマージング・マーケットETFというETFに投資しているという違いがあります。
オルカンは新興国(台湾)の個別銘柄に投資しているのに対し、楽天オルカンは新興国のETFにも投資しているということになります。
(3)組入上位10カ国
組入上位10か国の比較を行ってみましょう。

どちらも米国が1位となり、約6割以上が含まれています。
オルカンにはゲルマン諸島が含まれており、米国南部のカリブ海付近の国です。ケイマン諸島は、主力産業が観光業と金融サービス業が中心ですが、「海外リゾート地」と「タックスヘイブン」という特徴がある新興国のひとつです。
(4)組入業種(セクター)
次に組入業種(セクター)についても比較してみましょう。

組入業種(セクター)に関してはほとんど同じです。割合もそれほど変わらないことがお分かりになります。
iDeCoでオルカンを選ぶ際のポイント

ここではiDeCoでオルカンを選ぶ際のポイントについて3点紹介します。
(2)安定したリターン実績があるもの
(3)純資産残高が増えている銘柄
ひとつずつ確認しておきましょう。
信託報酬が低いもの
iDeCoでオルカンを選ぶ際は信託報酬が低い証券会社を選ぶのも一つのポイントです。

信託報酬とは、投資信託の運用や管理にかかるコストのことです。投資している間は継続にかかるため、利率は低くても長期運用するとコストも増えてしまいます。
少しでも運用コストを抑えたい方は、信託報酬が低い証券会社を選びましょう。ただし、信託報酬は固定されている場合もあれば、ファンドの純資産総額に応じて料率が変動する場合もあるので注意が必要です。
安定したリターン実績があるもの
証券会社を選ぶ際は安定したリターン実績がある会社を選ぶのも一つのコツです。
証券会社によってiDeCoの運用実績は異なるため、リターンにも違いが生じます。
オルカン自体はここ数年基準価額が右肩上がりの状態ですが、必ず利益が出るという保証はありません。
各社を比較してどの証券会社の実績が高いのかを見極めるようにしましょう。
iDeCoはもちろん、投資や資産運用を始めて行うという方は、自分で見極めるのが困難なため、ファイナンシャルプランナーなどの専門家に相談するのもひとつの選択肢です。
純資産残高が増えている銘柄
純資産残高(純資産総額)が増えているオルカンなのかをチェックしましょう。
純資産残高とは投資家(受益者)から集めた資金額のことです。
組み入れている株式などをその日の時価で評価し、さらに受取りが確定している債券の利息や株式の配当金などを加えたものから、必要な費用等を差し引いて算出したものです。つまり、実質的に投資家の手元に残る金額の総計が時価総額を指します。
純資産残高が増えているということは、多くの投資家が注目していることを意味します。もちろん必ず増えるという保証はありませんが、それほど着目されているということでもあるのです。
iDeCoでオルカンへ投資する際の注意点

ここではiDeCoでオルカンへ投資する際の注意点を2つ紹介します。
(2)長期間支払い続けられる掛金にする
ひとつずつ確認していきましょう。
(1)オルカン1本だけではリスクが高い
オルカンは複数の国の株へ投資できるので一見分散投資できると思われがちですが、米国企業の株式が6割以上なので、万が一米国経済が暴落してしまった際、損失額が大きくなる可能性も高くなります。
そもそもオルカンは「時価総額加重型」を採用しており、時価総額の大きい企業への投資比率が高いです。そのため投資先がiDeCoのオルカンだけではリスクが大きいという特徴があります。
そのため、株式などとは異なる、債券や保険、不動産などに分散投資を行いましょう。オルカン自体は保有していても問題ありませんが、他の投資先への分散投資も暴落対策になるということになります。
長期間支払い続けられる掛金にする
iDeCoで年金受給ができるのは、原則60歳までとなるので、長期間支払い続けられる掛金に設定することが大切です。
仮に25歳の会社員がiDeCoの掛金上限の2万円で運用を開始するとします。トータルで600万円も支払い続けることになるということです。
もちろん安定的な収入がある人であれば、掛金の支払いは問題ないかもしれませんが、先ほどもお伝えした通り、iDeCoでオルカンに投資する際は、他の投資へも分散投資が必要です。
そのため、自分の収入から逆算して資産運用できる金額を決めなければいけません。無理な掛け金に設定すると生活を苦しめることにもなりかねないため、事前に生活費などを調べてから掛金を決めましょう。
新NISA(積み立て投資枠)でオルカンを選ぶのとiDeCoを選ぶ際の違い

iDeCoとよく比較されるのは「新NISA」です。どちらもオルカンを選ぶことができますが、どのような違いがあるのかわからない方も多いでしょう。
2つの違いは主に以下の項目があります。
・運用期間は自由
・新NISAは掛金の所得控除ができない
新NISAには、積立投資枠では1年間で120万円まで運用できます。iDeCoの掛金と比較しても多額の資金を運用できるので、自分の資金力に合わせて運用することが可能です。
また新NISAはいつでも引き出すことができます。もちろん長期運用を行った方が利益は安定しますが、イレギュラーな出費でお金が必要となった時に、いつでも引き出すことが可能です。
加えて新NISAでは掛金の所得控除は適用されません。運用益に関してはiDeCo同様非課税であるものの、新NISAには節税効果がないのです。
そのため、資金力がある人は「新NISA」、少額で運用し節税を行いたい人は「iDeCo」でオルカンに投資するのをおすすめします。
もちろん併用しても良いですが、必ず分散投資を行っておきましょう。
iDeCoでオルカンに投資する際は専門家へ相談しておこう

iDeCoでオルカン投資を始める人は、はじめにファイナンシャルプランナーへ相談するところからスタートしましょう。
節税効果が高く、運用益が非課税なiDeCoであっても、必ず利益が出るという保証はありません。より利益を安定させるためには、まずは投資の基礎を理解する必要があります。
ファイナンシャルプランナーはお金に関するスペシャリストです。投資を始め、資産運用や保険、ローンや家計の見直しまで、さまざまなアドバイスを行ってくれる専門家です。
ファイナンシャルプランナーへ相談すれば、投資初心者の方に投資の基礎を教えてくれるので、無理な運用をせずにスタートすることができます。
ココザスはファイナンシャルプランナーとして、iDeCoでオルカンを始めようと検討している方に向けて投資サポートを行っております。
相談料も無料なため、ぜひ一度ご相談下さいませ。
まとめ

iDeCoでオルカンを始める場合は、節税効果を得られ、必然と長期運用することができるためおすすめです。
しかし、長期間であるからこそ掛金の設定が重要となるので、必ず無理のない金額にしましょう。
また楽天オルカンとオルカンは大きな違いはありません。楽天ポイントを普段から使用している方は、楽天証券での解説も検討してもよいでしょう。
ただし、どの証券会社でiDeCoをスタートするにせよ、元本は保証されていないので必ず専門家に相談することが大切です。
また分散投資先も一緒に検討しなければいけないので、ぜひココザスへご相談くださいませ。