なぜ年収1,000万円でも生活は苦しいのか?4つの理由

年収が1,000万円でも生活が苦しく感じるのは、以下の4つの理由が考えられます。
(2)公的支援を十分に受けられない
(3)高収入ゆえに固定費が増えやすい
(4)見栄や周りとの比較で支出が増えていく
それぞれを詳しく解説していきます。
(1)税金・社会保険料の負担が重い
年収が1,000万円に達すると、税金や社会保険料の負担が重くなります。
所得税は「累進課税」という仕組みで、課税所得(年収から各種控除を引いた額)が一定額を超えると税率が上がります。
日本の所得税率は、課税所得695万円〜899万円の部分が23%、900万円〜1,799万円の部分が33%です。
年収1,000万円の場合、控除を引いた後の課税所得がこの23%の税率帯にかかる可能性が高くなります。
同時に、社会保険料も収入に比例して増え続けます。
(※厚生年金保険料は上限に達しますが、健康保険料は上限がより高いため、年収1,000万円層ではまだ負担が増え続けます)
そのため、手取り額は額面の約72〜75%(年間720〜750万円ほど)が目安となり、額面1,000万円という印象に対して、実際の手取りが少なく感じやすくなります。
(2)公的支援を十分に受けられない
年収1,000万円を超えると、児童手当や高校授業料の無償化など、所得制限のある支援の多くが対象外となり、実質的な家計負担が増えがちです。
例えば、高等学校等就学支援金(高校授業料無償化)が代表例です。
年収約910万円のラインを超えると、私立高校を選んだ場合に受けられる手厚い加算支援(年間最大約40万円)が対象外となってしまいます。
※公立高校授業料相当の支援(年約11.8万円)は受けられますが、支援額の差額は大きくなります
他にも、自治体によっては「子供の医療費助成」などに所得制限が設けられているケースもあります。
このように、支援がなくなる(減る)分、他の世帯よりも「支払うべきお金」が自動的に増えてしまうことが、生活の苦しさにつながる一因です。
(3)高収入ゆえに固定費が増えやすい
高収入になると「これくらいは使っても大丈夫だろう」という心理が働き、無意識に生活レベルを引き上げてしまいがちです。
例えば、より快適な住環境を求めて都心の広い物件を選んだり、子供の教育に力を入れて私立進学を考えたりするケースです。
実際に、都心での住宅ローンは月20〜30万円に達し、子供の私立進学では年間100万円以上かかるケースも少なくありません。
収入が増えても、こうした高額な固定費が一度積み上がってしまうと、家計の余裕が圧迫されやすくなります。
(4)見栄や周りとの比較で支出が増えていく
高額な固定費だけでなく、年収1,000万円の大台に乗った安心感や、周りとの比較から、日々の生活費や交際費を増やしがちです。
例えば、家族の外食が月3万円だったのに、大台に乗った安心感から1回2万円の店を選んだり、タクシー移動が増えたりして「気づけば月々の変動費が倍増している」といったケースです。
1回ごとの支出は(固定費ほど)大きくないため、使った実感は薄いかもしれません。
しかし、この「少しずつの贅沢」が積み重なり、「なぜかお金が貯まらない」状況を招いてしまうのです。
また、SNSなどで年収1,000万円層の生活レベル(旅行先、車など)が目に入ると、それが「当たり前の基準」となり、支出のハードルが下がる心理も影響することでしょう。
結果、節約を意識しても支出が戻らず、慢性的に家計が苦しくなる要因となりえます。
【年収1,000万円】生活の苦しさを脱出する3つのステップ

年収はあるのに「お金が貯まらない」「余裕がない」と感じる場合、原因は“お金の流れ”と“使い方”にあるかもしれません。
こちらでは、日々の支出を見直し、心にも家計にもゆとりを生むための具体的な3ステップを紹介します。
Step1:家計の流れを「見える化」する
最初のステップは「何にいくら使っているか」を数字で把握することです。
感覚で家計を捉えていると「なぜかお金が貯まらない」という状況から抜け出せません。
まずは家計簿アプリやクレジットカードの明細を活用し、支出を「固定費(家賃・保険など)」と「変動費(食費・交際費など)」にざっくりと分けてみましょう。
ここでのポイントは、月単位だけでなく「年単位」で支出の全体像を捉えることです。
年収1,000万円世帯が「なぜか貯まらない」と感じる原因は、月々の給与ではなく「ボーナスの使途」にあることが多いからです。
保険の年払い、旅行・帰省の費用、冠婚葬祭費、数年に一度の家電買い替えといった「年に数回」の大きな支出が、支給されたボーナスをそのまま食いつぶしてしまい、結果として貯蓄が残らないのです。
(※持ち家であれば固定資産税や車があれば車検代なども同様です)
まずは、こうした「ボーナスから支払っている支出(=特別な支出)」を正確に把握しましょう。
Step2:「使う」「守る」「増やす」のバランスを設計する
「何にいくら使っているか」を把握したら、次に「手取り収入」を目的別に仕分けすることです。
「収入から生活費を払い、残った分を貯蓄しよう」という考え方では、日々の支出でいつの間にかお金が消えてしまいがちです。
そこで、手取り収入を「(1)使う」「(2)守る」「(3)増やす」の3つの枠に、給与日にまず先に割り振ることを徹底します。
理想の比率は家庭によりますが、重要なのは「(2)守る」と「(3)増やす」の予算を先に確保(=先取り貯蓄・投資)し、残った「(1)使う」の枠内で生活する、というルールを作ることです。
この「先取り」の仕組みこそが、なぜかお金が貯まらないという状況を解消する鍵となります。
Step3:「何に使うと満足できるか」で支出を再設計する
Step2で「使う(生活費・楽しみ)」の予算枠を決めたら、最後に予算の使い方(支出の中身)の満足度を見直します。
なんとなく払い続けている支出が枠を圧迫していると、結局「余裕がない」と感じてしまうからです。
まずは、家計簿や明細を見ながら「使っていないサブスク」や「惰性で続けている外食」など、満足度の低い支出(=削る候補)を洗い出しましょう。
そして、そこで浮いた予算を「家族旅行」や「自己投資」など、本当にやってよかったと思える満足度の高い支出に振り分けるのです。
重要なのは、単に節約するのではなく、支出にメリハリ(優先順位)をつけることです。
「何にお金を使えば自分や家族が満足できるか」を明確にすることこそが、楽しみ(支出)と安心(貯蓄)を両立させることにつながります。
年収1,000万円でも生活が苦しい方によくある質問(FAQ)

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Q
年収1,000万円あっても貯金ゼロはおかしい?
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A
貯金がゼロでも不思議ではありません。
貯金がゼロでも不思議ではありません。
年収1,000万円層は、税負担や高額な固定費で自由に使えるお金(可処分所得)が圧迫される傾向にあります。
その結果、手元に残ったお金が生活費で消えてしまい、貯蓄に回らない世帯も珍しくないのです。
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Q
NISAやiDeCoって初心者でも始められる?
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A
はい、初心者の方でも問題なく始められます。
多くの金融機関が、ネットで手続きを簡素化していたり、初心者向けに厳選した投資商品(ファンド)を用意していたりするためです。
NISAは月100円(金融機関によって違いはあります)から、iDeCoは月5,000円からスタートできます。
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Q
子供の教育費ってどのくらいを見込んでおくべき?
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A
進路によって大きく変動しますが、1人あたり約1,000万〜2,500万円が目安です。
これは一般的に、複数の公的調査データなどを基に、幼稚園から大学卒業までにかかる費用を合算したものです。
すべて国公立なら約1,000万円、すべて私立(大学は理系)なら約2,500万円以上かかるとされています。
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Q
共働きでも生活が苦しいのはなぜ?
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A
世帯年収1,000万円として、公的支援の対象外になりやすいためです。
例えば夫700万・妻300万円の場合、世帯年収で判断される「保育料の軽減」などが対象外になります。
それに加え、共働き特有の働くための出費(時短サービス、外食、子供の送迎費など)が二重でかさむため、生活が苦しく感じやすいのです。
まとめ:年収1,000万円の苦しさは家計の見直しで抜け出せる

年収1,000万円でも生活が苦しいのは、「税金の負担」や「公的支援の対象外」といった制度的な理由に加え、高収入ゆえの「固定費の増加」や「日々の支出増」が重なるためです。
しかし、この状況は「お金の使い方」を見直すことで抜け出せます。
本記事で紹介した3つのステップ(支出の見える化・収入の仕分け・支出の再設計)を実践し、お金の流れをコントロールすることが重要です。
まずはStep1の支出の見える化から始めてみましょう。
年に数回の特別な支出を把握するだけでも、「なぜか貯まらない」という状況を抜け出す大きな一歩となるはずです。
