不動産投資の空室率どこまで許容できるかは“返済比率”と“経費率”次第

空室率の許容範囲は、すべての物件で一律ではありません。
どこまで空室に耐えられるかは、家賃収入に対するローンの返済割合と、運営費用の大きさによって決まります。
こちらでは、不動産投資において黒字を維持できるかを左右する「返済比率」と「経費率」について詳しく解説します。
返済比率が高いとわずかな空室も許容できなくなる
例えば、フルローンを組んで購入すると、毎月の家賃の大部分が銀行への返済に消えるため、手元に現金がわずかしか残りません。
十分な資金がない状態でたった一部屋の退去が発生すると、家賃収入が返済額を下回り、不足分を自身の給与や貯金から支払うことになります。
表面利回りが高い物件であっても、返済比率が高ければ、黒字を維持できる余地は極端に狭くなってしまうのです。
経費率が高いと、空室期間を乗り切るための蓄えが作れない
とくに家賃の低い地方物件や築古アパートは、収入に対して維持費の割合が高くなる傾向にあります。
毎月の家賃収入の多くが経費に消えてしまえば、将来のリスクに備えて現金を積み立てておくことができません。
経費率が高い物件を選んでしまうと、いざという時に身を守るための資金を確保できなくなる恐れがあります。
すべての支払いを引いた“手残りの額”が真の許容範囲
例えば、家賃収入が10万円の物件で比較してみましょう。
返済と経費で9万円消えるなら、手残りは1万円しかなく、空室で収入が1割減っただけで赤字になります。
一方、支払いが7万円で済むなら、手残りは3万円あるため、3割の空室が出てもマイナスは発生しません。
この手元に残る黒字分が、空室による減収を埋め合わせるクッションのような役割を果たします。
許容範囲とは感覚で決めるものではなく、赤字にならずに耐えられる範囲であることを理解しておく必要があります。
不動産投資の損益分岐点:空室の許容範囲を算出する3ステップ

損益分岐点となる入居率(BER)を計算すれば、検討中の物件が「何%まで空室に耐えられるか」が明確になります。
こちらでは、黒字経営を続けるために必要な「最低限の入居率」を割り出す3つの手順をご紹介します。
ステップ1:年間のローン返済額と運営経費をすべて洗い出す
管理委託料などの毎月の支払いに加え、固定資産税や火災保険料といった年払いの経費も漏れなく計上してください。
年間のローン返済額が300万円の物件なら、例えば以下のような経費をすべて足し合わせます。
・固定資産税・都市計画税:20万円
・共用部水道光熱費:10万円
・火災保険料・その他雑費:5万円
など
この場合、返済と経費を合わせた365万円が、年間の総支出となります。
さらに、退去時の原状回復費や広告宣伝費(AD)も予測して組み込んでおけば、より精度の高いシミュレーションが可能になります。
支出を甘く見積もってしまうと、本来は利益が出ないリスクの高い物件を、優良物件だと誤認して購入しかねません。
コストはできるだけ厳しめに見積もって洗い出すことが大切です。
ステップ2:経費と返済の合計を満室家賃で割り算する
計算式は以下のとおりです。
算出された数値は、経費と返済を支払うだけで手元の現金がゼロになる境界線を示します。
例えば、計算結果が85%であれば、年間の平均入居率が85%を下回った時点で赤字に転落してしまいます。
一般的に、BERが80%を超えると危険水域、70%台であれば比較的安全といわれています。
まずはご自身の物件の防衛ラインを明確にし、購入を見送るべきかどうかの判断基準としてください。
ステップ3:100%から算出値を引き許容できる空室上限を知る
ここで導き出される数値が、赤字にならずに耐えられる空室率の上限となります。
例えば、BERが80%であれば、残りの20%が安全圏です。
これは、全10戸のアパートなら「2部屋までは年間平均で空いていても黒字が維持できる」ことを意味します。
許容できる空室の上限を具体的な部屋数として把握しておけば、焦って家賃を下げるべきか、まだ余裕があるかの判断を冷静に下せるようになるでしょう。
不動産投資の空室率の“目安”となるエリア別の相場

不動産会社から渡される資料では、一律で「空室率5%」と試算されているケースが多く見られます。
しかし、実際の市場データを見ると、その数字がいかに楽観的であるかが分かります。
以下は、LIFULL HOME’Sが公表している「全国の賃貸用住宅の空室率」から、主要な投資エリアを抜粋したデータです。
・神奈川県:15.2%
・愛知県:17.8%
・大阪府:20.2%
・福岡県:15.5%
・北海道:21.2%
・沖縄県:9.1%
引用|LIFULL HOME’S「見える!賃貸経営」全国の賃貸用住宅の空室率一覧(2024年時点の掲載データを参照)
もっとも賃貸需要が高いとされる東京都であっても、平均空室率は約15%です。
大阪や北海道においては20%を超えていることがわかります。
5%という数字は、あくまで新築や超好立地など一部の条件が揃った場合の話に過ぎません。
不動産投資シミュレーションで設定すべき“実質的な空室率”の決め方

エリアの平均値はあくまで全体の“平均”にすぎません。
より正確なシミュレーションを作るには、そこからさらに“物件の古さ”や“実際の募集期間”を加味して、個別のリスクを数字に落とし込む必要があります。
築年数や設備の古さに応じて空室率を上乗せする
エリア全体の平均値には新築や築浅物件も含まれているため、中古物件を検討する際には、より厳しい条件で見積もる必要があるのです。
築10年程度の築浅であればエリア平均と同等で構いません。
しかし、築20年を超える物件であれば、平均値に「プラス5%〜10%」を加算するのが実態に即した見積もりです。
これには、建物が古くなるにつれて避けられない2つの要因が関係しています。
一般的に築20年を超えると、募集期間が築浅より1〜2ヶ月長くなる傾向があります。
退去から次の入居まで時間がかかり、その分だけ空室期間が累積してしまいます。
給湯器やエアコンなどが寿命を迎えると、故障のトラブルで退去されたり、修理のために一時的に募集を止めたりする必要が出てきます。
今は満室でも、建物が古くなれば競争力は確実に低下します。
あらかじめ厳しい数字で収支を計算しておけば、実際に空室が増えても想定の範囲内に収まり、手元の資金が尽きる事態を回避できるはずです。
募集サイトの数値ではなく空白期間から“稼働空室率”を予測する
サイト上の空室数はあくまでその時点の情報であり、家賃が入らない期間の損失までは読み取れません。
実質的な空室率を割り出すには、仲介業者に「このエリアの平均的な募集期間(空室期間)は何ヶ月ですか?」とヒアリングを行い、以下の手順で数値化します。
単身向けアパートで平均入居期間が4年、退去後の原状回復と次の入居者が決まるまでの募集期間が3ヶ月と仮定します。
・4年間(48ヶ月)に1回、3ヶ月の無収入期間が発生すると見込む
・3ヶ月÷48ヶ月=6.25%
※「48ヶ月のうち3ヶ月が家賃の入らない期間」という意味で、空室期間が全体の何%を占めるかを計算しています。
この場合、シミュレーション上の空室率は「6.25%」と設定するのが現実的な数値です。
入居期間が短いエリアでは、この空白期間がさらに累積しやすい傾向があります。
将来必ず発生する入れ替わりの期間をあらかじめ損失として計上することで、精度の高い収支予測が可能になります。
不動産投資の空室率でエリア平均に勝てる物件を選ぶ方法

不動産投資で赤字を防ぐには、「なんとなく大丈夫そう」という感覚や感情を排除し、客観的な数値比較で判断を下す必要があります。
数字に基づき、本当に購入して良い物件かを見極めるための3つのポイントをまとめました。
エリアの平均よりも数値が悪い物件を足切りする
例えば、エリアの平均空室率が15%であるのに対し、物件の許容範囲が10%しかない場合、安定して利益を出すのは極めて困難といえます。
空室が埋まらないときに「売却」できるか確認する
空室がどうしても埋まらず赤字が続いた際、その物件を売却して借金をリセットできるかどうかが、資産を守れるかの分岐点になります。
地方の築古物件などは、利回りが高くても流動性(売買のしやすさ)が低く、売りたくても買い手がつかない“資産の塩漬け”状態に陥るリスクがあります。
物件の流動性を確かめるためには、不動産会社に依頼して周辺の取引事例を出し「売り出してから成約までの期間」と「売却相場」をチェックしてください。
売り出しから成約まで半年以上かかっていたり、売却相場がローン残債を下回っていたりする場合は、いざという時に資金回収ができない危険度の高い物件と判断できます。
厳しい条件でも利益が残る物件だけを採用する
現状の金利や家賃設定でギリギリ黒字になるレベルでは、将来の「支払いの増加」や「家賃の減少」に耐えられません。
具体的には「金利が2%上昇する」「経年劣化で家賃が10%下落する」といった複数のマイナス要因を同時にかけ、収支がどう変化するかを試算します。
計算の結果、経費と返済額の合計が収入を上回り(BERが100%を超え)、自分の貯金から補填が必要になるようでは、経営が立ち行かなくなるリスクが高いといえます。
まとめ:空室リスクは予測ではなく“計算”でコントロールする

空室リスクは運任せにするものではなく、あらかじめ収支計画に組み込むべき計算可能なコストといえます。
実際の契約へ進む前には、必ず以下の3点を確認しましょう。
確認すべきポイント
- 返済比率と経費率から、許容できる空室率(BER)を算出する
- エリアの実質的な空室率が、許容範囲内に収まっているか判定する
- 家賃下落や金利上昇などの悪条件が重なっても、黒字を維持できるか検証する
提案資料の数値をそのまま信じるのではなく、厳しい条件設定で再シミュレーションを行ってください。
感情ではなく数字で計算し、条件をクリアした物件だけを選ぶようにすることが、自身の資産を守ることにもつながります。
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