年金・老後

在職定時改定とは?2022年4月改定の年金制度をわかりやすく解説 !

2022年4月に年金制度が改正されることをご存知でしょうか?

今回の改定は、より多くの人がより長く社会で働いていける雇用環境を想定し、年金制度にもその実態を反映し、日本の経済基盤を強化していくことが狙いと言われています。

この記事では、法改正のポイントを解説するとともに、特に影響のあるであろうシニア世代やパート労働者の働き方の変化ついてわかりやすく解説します。

年金制度改正法の概要とは?

年金は、あらかじめ保険料を納めることで、必要な時に給付を受けることができる社会保険の一つです。
日本の年金制度は、老後や事故、世帯の働き手がなくなった際など、生活が困難になった人を「社会全体で支援する」という考えのもと作られています(老齢年金、障害年金、遺族年金など)

この2022年4月、2012年以来の大規模な法改正が施行されます。
その改正項目の多くが、現在の社会課題の解決を図るかのような「長く働き続ける人の経済基盤の充実」を図るためのものとなっています。

法改正の背景には、少子高齢化による現役世代の労働力不足や、高齢者人口の増加による医療費増加に伴う社会保障費の増加などの課題が挙げられます。
そこで、このような社会・経済の変化を反映し、多くの人がこれまで以上に長い期間・多様な形で働くことを「年金制度」で後押しできるよう改定が行われます。

年金制度改正法の4つのポイント

2022年4月に施行される年金制度改正法の主なポイントは、以下の4つです。

(1)被用者保険における適用範囲の拡大
(2)在職中の年金受給の仕組みの見直し
(3)年金受給開始時期における選択肢の拡大
(4)確定拠出年金における加入要件の見直し

それぞれのポイントについて、詳しく解説していきましょう。

(1)被用者保険における適用範囲の拡大

今回の改正で最も影響の大きいとされる内容が、年金制度の適用対象者の拡大です。

現在は、アルバイトやパートなどの短期労働者に対して、厚生年金・健康保険の加入が義務付けられているのは、「従業員501人以上規模」の企業となっています。
これが、2022年10月以降段階的に適用範囲が拡大されます。

また、短期労働者の加入要件として勤務期間がありますが、現行の「1年以上」から2022年10月以降は「2ヶ月超」の要件が適用されることになります。
つまり、従来の制度と比較するとより多くの方が厚生年金と健康保険に加入できるようになります。

引用元:日本年金機構「令和4年10月からの短時間労働者に対する健康保険・厚生年金保険の適用の拡大」
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2021/0219.html

(2)在職中の年金受給の仕組みの見直し

●在職老齢年金制度の見直し

今回の改正では、在職老齢年金制度※のうち60〜64歳を対象とする在職老齢年金が見直しされます。

※在職老齢年金制度:賃金と年金の60歳以上の老齢厚生年金受給者を対象として、一部または全部の年金支給を停止する制度

現行制度では、60〜64歳の方は賃金※と年金月額の合計額が「28万円」を超えると、年金の一部または全部が支給停止となります。
一方、2022年4月からは、賃金と年金額の合計が「47万円」を超えるまでは、年金の一部または全額の支給停止は行われなくなります。

※賃金とは、「総報酬月額相当」が基準となります。
「月給(標準報酬月額)」と「直近1年間の賞与を12で割った金額」を足した金額で計算します。

対象改定前改定後
60〜64歳賃金と年金金額の合計が「28万円以下」
全額支給
賃金と年金金額の合計が「47万円以下」
全額支給
60〜64歳賃金が「28万円超」
年金額が一部または全額停止
賃金が「47万円超」
年金額が一部または全額停止
65歳以上賃金と年金金額の合計が「47万円以下」
全額支給
変更なし
65歳以上賃金が「47万円超」
年金額が一部または全額停止
変更なし

ただし、この制度は「男性は2025年度まで」、「女性は2030年度まで」の一時的措置となります。

在職定時改定の新設
年金を受給しながら働く場合、現行制度では資格喪失時(退職時or70歳到達時)に年金受給額が加算される仕組みになっています。
2022年4月以降、「在職定時改定」によって、65歳以上かつ在職中の老齢厚生年金受給者を対象に、毎年10月に段階的に年金額を改定し、厚生年金の受給額に反映されるようになります。

引用元:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf

(3)年金受給開始時期における選択肢の拡大

公的年金の受給開始年齢は原則65歳ですが、現行制度では希望すれば60〜70歳の間で受給開始時期を自由に決めることができます。

今回の改正では、受給開始年齢はそのままで、受給開始時期の繰上げ上限が「70歳→75歳」へ引き上げられることになりました。
なお、受給開始時期を繰上げすると、受給金額が増額されるメリットがあります。

引用元:厚生労働省「年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部を改正する法律の概要」
https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/000636611.pdf

(4)確定拠出年金における加入要件の見直し

公的年金以外で老後に備える方法として、確定拠出年金が挙げられます。

確定拠出年金には、iDeCo(個人型確定拠出年金)と企業型DC(企業型確定拠出年金)があり、前者は個人が拠出した掛金を、後者は会社が拠出した掛金を運用し、定年後に受け取ることができる制度です。

今回の確定拠出年金における改正ポイントは、以下の4つです。

・企業型DCの加入年齢引き上げ
・iDeCoの加入年齢引き上げ
・企業型DCとiDeCoの併用要件の緩和
・中小企業向け制度(簡易型DC、iDeCoプラス)の対象範囲の拡大

企業型DCおよびiDeCoにおいて、加入年齢が現行制度から2022年5月以降、各5歳引き上げられ企業型DCは70歳未満、iDeCoは65歳未満になります。
同様に、受給開始時期も引き上げられ、2022年4月以降は上限年齢が75歳となります。

中小企業向け制度の改訂については、現行制度の対象企業「従業員100人以下規模」から2022年10月以降、「従業員300人以下規模」へ対象範囲が拡大されます。

改正前改正後
加入年齢企業型DC:60歳未満※
※特別規定適用の場合は、65歳未満
iDeCo:60歳未満
企業型DC:70歳未満
iDeCo:65歳未満
受給開始年齢企業型DC:60〜70歳
iDeCo:60〜70歳
企業型DC:60〜75歳
iDeCo:60〜75歳
企業型DCとiDeCo
の併用要件
企業型DCに加入している場合、
労使合意に基づく規約で企業型DCと
iDeCoの併用が認められていなければならない。
企業型DCに加入している方でも、
本人の意思だけでiDeCoに加入可能になった。
ただし、マッチング拠出を選択の場合は、不可(2022年10月〜)

パート労働者とシニア世代必見の改正ポイントとは?

今回の法改正で特に影響が大きいとされるのが、パート労働者やシニア世代の方だと言えます。
具体的にどのようなお金にまつわる変化があるのか確認していきましょう。

パート労働者は社会保険の加入で将来の保障が充実する
今回の法改正によって社会保険の加入条件が緩和されるため、健康保険や厚生年金等に加入する方が増えることになります。
では、社会保険に加入できるとどのような変化があるのでしょうか?

●パート労働者における社会保険への加入に対する確認ポイント
・年金や医療保険(傷病手当金、出産手当金など)が充実する
・世帯単位での年金や健康保険料負担が軽減される可能性がある
・手取り額が減る可能性がある

社会保険に加入することで、金銭的なメリットや保障の充実を得ることができます。
一方で、社会保険料の自己負担額が増えるなど、年収によっては手取り額が減る可能性がある点もしっかり理解しておきましょう。

引用元:厚生年金
https://www.mhlw.go.jp/tekiyoukakudai/pdf/chirashi_dai1hihokensha.pdf

シニア世代は長く働くメリットが拡大する
シニア世代にとっては、老後資金に対する備えの選択肢が増えたことになります。

●シニア世代における法改正の確認ポイント
・働きながら給与をもらっても年金が減額されない
・年金額が早期に反映される
・年金の受け取りタイミングの選択肢が増えた
・確定拠出年金などの資産運用機会が増えた
・社会保険料や税金負担が増える可能性がある

シニア世代にとって、老後資金を確保するための方法には、自分自身で働く、年金を受給する、資産運用するなどの選択肢があります。
今回の改定は、これら全てに対してプラスに働くものばかりですので、しっかりと理解しておきましょう。

まとめ

2022年4月に施行される年金制度改正法の主なポイントは、以下の4つでした。

(1)被用者保険における適用範囲の拡大
(2)在職中の年金受給の仕組みの見直し
(3)年金受給開始時期における選択肢の拡大
(4)確定拠出年金における加入要件の見直し

パート労働者やシニア世代などの働き方が多様化していく中で、老後の生活への「備え方」も大きく変わっていく可能性があります。
その中で、今回の法改正はライフプランを再設計する機会として絶好の機会かもしれません。

しかし、ライフプランの再設計のやり方がわからない、お金の正しい知識がわからないという不安もあるかもしれません。

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ぜひ、正しい知識を学ぶ一つのきっかけにしてみてはいかがでしょうか?

また、お金の専門家の(FP)ファイナンシャルプランナーに相談して資産形成をはじめるのも良いかもしれません。

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