家を買ってはいけない時期|判断の軸は「市況」と「ライフプラン」

家を買うタイミングで失敗しないためには、「市況」と「ライフプラン」の2つの視点を持つことが大切です。
金利や不動産価格といった、自分ではコントロールできない社会全体の流れが市況です。
一方で、現在の家計や今後の働き方といった、自分たちで向き合うべき家族の状況がライフプランです。
どちらかの準備が不十分なまま購入を急ぐと、大きな損失を招きかねません。
このあと市況とライフプランの両面から、購入を避けたほうがよいタイミングを順を追って解説していきます。
【市況編】家を買ってはいけない割高になりうる3つの時期

それではまず「市況」の側面から見ていきましょう。
市場の状況によっては自宅の購入が不利になる、とくに注意したい3つのタイミングがあります。
(1)金利や物価が継続して上昇している
高値掴みになり、家計を圧迫するリスクがあります。
金利の上昇は住宅ローンの総返済額を増やし、物価の高騰は建築費などを通じて住宅価格を押し上げる要因となります。
例えば、35年ローン・元利均等・借入4,000万円の場合、金利が1%違うだけで総返済額に約800万円もの差が出る可能性があります。
支払うお金は増えるのに、資産価値が見合わないといった事態に陥りかねません。
「継続的な上昇局面ではリスクが高まる」と理解し、購入を急がず市況を冷静に見極めることが重要です。
(2)物件の選択肢が極端に少ない
春の転勤シーズン後(4月〜夏頃)や年末年始といった不動産市場の閑散期は、物件の選択肢そのものが限られます。
選択肢が少ないと、「〇〇までに家を決めたい」といった焦りから、冷静な判断がしにくくなるのです。
また、売り手の立場が強くなるため、価格交渉が難しくなる面も考えられます。
とくに人気エリアでは買い手が集中して、じっくり悩む時間がないまま決断を迫られることも少なくありません。
不本意な物件を、不利な条件で選んでしまう可能性が高まります。
(3)補助金・減税制度が縮小・終了する
住宅ローン控除の縮小や、百万円規模の補助金の終了によって、受けられるはずだった金銭的メリットを失う可能性があります。
多くの人が機会を逃したくないと考え、駆け込み需要で市場が一時的に過熱しかねません。
その結果、物件価格が高騰して高値掴みになったり、競争が激化して十分な比較検討ができないまま妥協した物件を選んだりする危険性が高まります。
【ライフプラン編】あなたにとって家を買ってはいけない4つの時期

どれだけ市場の条件が良くても、家計の見通しや働き方、住まいに対する家族の考え方が定まっていない段階では、家の購入は大きなリスクをともないます。
こちらでは、ご自身のライフプランに焦点を当て、とくに慎重になるべき4つのタイミングを紹介します。
(1)収入や居住地が不確定
転職や復職直後は、働き方の変化により一時的に収入が変動する場合もあります。
金融機関から見て不安定と判断され、ローン審査で不利になる可能性があります。
また、転勤の可能性がある場合、購入後すぐに売却や賃貸を検討する必要に迫られるかもしれません。
生活の基盤が定まるまでは、大きな決断は避けるのが賢明です。
(2)他に大きなローンを抱えている
住宅ローンの審査では「年収に対し、すべての返済を合わせて年間いくらまでなら無理なく返せるか」という上限額が計算されます。
そのため、車や奨学金などの返済がすでにあると、その分だけ住宅購入に充てられる枠が減ってしまうのです。
結果として、希望額を借りられなかったり、場合によっては審査に通らなかったりするかもしれません。
また、仮にローンを組めても複数の返済が重なることで家計の余裕がなくなり、将来の教育費など急な出費に対応できなくなることも考えられます。
他の借り入れがある中でさらに大きな借り入れをすることは、家計破綻の引き金になり得ます。
(3)忙しすぎて情報収集できない
住宅購入では、物件の比較検討、ローンの仕組みの理解、契約内容の精査など、時間と労力を要する確認事項が数多くあります。
スケジュールに追われていると、こうした重要な確認作業がおろそかになりがちです。
その結果、相場より割高な物件を選んでしまったり、想定外の費用を見落としたりすることも少なくありません。
十分な情報収集ができないまま決断してしまうと、「こんなはずではなかった」と後悔する可能性があります。
(4)夫婦(パートナー)間で意見が一致していない
例えば「駅近の利便性を重視するか、郊外でのびのび子育てをしたいか」といった立地の価値観は大きく分かれます。
また、「予算を抑えることを優先するか、設備のグレードにこだわるか」でも意見は対立しがちです。
こうした価値観のズレを解消しないまま購入すると、家は安らぎの場でなく、日々のストレスの原因になりかねません。
買ってはいけない時期を回避するには?年収と予算から買い時を考える

「買ってはいけない時期」を避け、自分たちにとっての「買い時」を見つける確実な方法は、市況の予測ではなく、ご自身の年収や資金計画と向き合うことです。
「安全に家を買える状態か?」を把握するための、具体的なポイントを解説します。
平均年収は「買い時」を判断する一つの物差し
国土交通省の「令和6年度 住宅市場動向調査 報告書」によると、初めて家を買う世帯の平均年齢は分譲戸建で37.3歳、分譲マンションで40.5歳と30代後半から40代が中心です。
平均世帯年収は、分譲戸建で814万円、分譲マンションで821万円と、800万円台が1つの目安です。
もしご自身の世帯年収が平均を大きく下回る場合、それは購入計画に無理がないか、より慎重になるべきサインと言えるでしょう。
逆に、平均年収を上回っていれば、計画が現実的なラインにあるという一つのプラス材料になります。
返済負担率25%以内が、買い時の重要な目安
借入額の上限を計算する際に使うのが、年収に占める年間ローン返済額の割合を示す「返済負担率」です。
一般的に、返済負担率は手取り年収の20%〜25%以内が、将来の教育費などに対応できる健全な水準とされています。
上限を超える計画は、まさに「買ってはいけない時期」と言えるでしょう。
逆に、設定した返済負担率を余裕でクリアできる家計状況であれば、購入に向けた具体的な検討を始める買い時と考えられます。
「初期費用」を現金で払えるかが最終チェックポイント
見落としがちな物件価格以外の費用を確認し、資金的な準備が万全か最終チェックをします。
住宅購入には、仲介手数料や税金といった「初期費用」が現金で必要です。
諸費用の目安は、一般的に中古物件で6〜9%、新築物件で3〜6%程度がかかると言われています(※仲介手数料、登記費用、ローン関連費用、税金などを含む)。
4,000万円の物件なら、200万円以上の現金が必要だと考えておくと良いでしょう。
初期費用を自己資金でまかなえない状態であれば、まだ「買うべき時期ではない」と言えます。
逆に、費用を現金で支払った上で、さらに当面の生活費が手元に残る状態であれば、金銭的な準備は万全であり、まさに買い時と言えるでしょう。
家を買う時期に関するよくある質問

家賃と住宅ローン、どちらが得?
住宅ローンは完済すれば自宅は資産となりますが、固定資産税や修繕の負担があります。
一方、賃貸は身軽に住み替えられる自由度が魅力ですが、家賃は資産にならず払い続けることになります。
どちらが自分たちのライフスタイルや価値観に合うかを見極めることが大切です。
転勤の可能性がある場合はどうする?
具体的には、駅からの距離や周辺環境の利便性など、自分たちが住まなくなった後でも需要が見込める物件を選びましょう。
いざというとき手放しやすいかどうかも意識しておくと、転勤など将来の変化にも柔軟に対応できます。
何月に購入するのがベスト?
全ての人に当てはまるベストな月というものはありませんが、市場には一般的な傾向があります。
一方で、価格交渉が比較的有利に進みやすいのは、不動産会社の決算期が重なる1月から3月と言われています。
まとめ|「買ってはいけない時期」を知り、最適なタイミングを見つけよう

家を買ってはいけない時期は、金利などの「市況」と、ご自身の収入や家族の状況といった「ライフプラン」の両面から判断することが大切です。
この記事で解説した具体的なチェックポイントを使えば、周りの声に惑わされず、ご自身の家計に合った購入のタイミングを見極められるはずです。
買うべきかどうかに悩むときは、「今が適切な時期かどうか」を冷静に見直すことから始めてみてください。
迷ったら、専門家に相談を
お金や将来に関することは、一人で悩むよりも専門家に相談するのが近道です。専門家の視点からあなたの状況を整理し、最適な選択肢を一緒に考えることができます。
ココザスでは、ライフプラン・資産運用・住宅・キャリアなど幅広い分野で、 中立的な立場からアドバイスを行っています。
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