23年は円安yearとして記憶される?
23年 年始は1ドル127円で始まったドル円相場。
一時152円台に迫るところまで円安が進行しましたが、年末は141円台で終わりました。
23年の半ば以降は140円台を切る場面はほとんどなく、23年の平均は1ドル=140円台となり「23年は歴史的な円安の年だった」と記憶されることでしょう。
また、円はユーロなど他の通貨に対しても弱含みで、通貨の総合的な実力を示す「日経通貨インデックス」では年間の騰落率が、G10通貨と呼ばれる主要通貨のうち3年続けて最下位でした。
24年は、アメリカの利下げ憶測もあり、緩やかに円高が進むとの見方が大半です。
円安で訪日観光客が増え、マンションを購入する外国人も増えた?
円安が続けば、海外に出かける際には不利となりますが、逆に訪日外国人観光客には「おいしい」状況になります。
23年後半は、新型コロナウイルス第5類への移行など、ほぼ外国人観光客の全面的に以前と同じ状況に戻りましたが、それにしても大挙訪日観光客が増えたのは円安の影響も大きいことでしょう。
コロナ禍からの入国の解禁+円安により、観光客増だけでなく、不動産投資家の外国人も戻ってきました。
デベロッパーの方や不動産流通業の方に聞けば、首都圏や関西の大都市の新築マンションを購入するアジア各国の投資家の方々が増え、また台湾や香港の投資家は首都圏の賃貸住宅物件も盛んに購入しているようです。
アジアの投資が日本の不動産を買う理由
アジア各地の投資家が日本の不動産を購入するのは、「自国の不動産に比べて、日本の大都市の不動産の方が安いから」という理由もあるようです。
(財) 日本不動産研究所より23年11月29日に発表された「国際不動産価格賃料指数」を参考にして、「日本不動産の安さ」を見てみましょう。
同シンクタンクが公表する国際不動産価格賃料指数は、国際的な主要都市の不動産市場動向を調査するため、対象都市の調査物件について、価格・賃料を指数化したもので、各国の不動産価格ついて国際的な比較が可能です。
グラフは、各都市の高級住宅を想定した際の、価格指数(1戸の専有面積あたりの分譲単価)と賃料指数(同賃料単価)です。(価格時点=23年10月での為替相場を反映)
まず、価格指数(赤グラフ)を見てみましょう。
東京は港区元麻布を想定しており、これを100とした数値です。
大阪は東京の67.5%の価格、北京のマンションは東京の約1.3倍、上海は1.6倍、香港は2.6倍、グラフにはありませんが台北は1.6倍、シンガポールは1.4倍、ソウルは86.5%となっており、世界の都市ランク(森ビル財団調査)では、ニューヨーク、ロンドン、パリに次いで4位にランクされている東京は、円安の影響も大きいと思いますが、こうしてみればかなり安いことが分かります。
ただ、前回(23年4月)調査よりも東京は+1.2%、大阪は+2.7%となっており、日本の2都市が調査対象地域15都市の中で最も変動率が高い結果となりました。
地価や建築費の上昇が指数にも反映されたと思われます。
特に大阪府は、海外投資家からの投資熱が高いと言われています。
円安という好条件の下、2025年の大阪万博やカジノを含むIR(統合型リゾート)の開業を控えていることへの期待感も後押ししています。
次に賃料指数(青グラフ)を見ていきましょう。
同じく東京都港区元麻布を100としています。大阪は、東京と比べて価格は67.5ですが、賃料は93.8とあまり変わらない状況です。
こうみれば、大阪でのマンション購入は「割安感」が感じられます。
また、北京・上海も東京に比べて賃料はかなり割安感があります。所有するのは高いけれど、借りるのは安いという状況です。
現在は円安が後押しをしていることで、海外投資家からの投資熱が高まっています。
24年は、多少円高方向へ進むことが予想されていますが、こうしたデータをみれば「割安感」のある日本の不動産を購入するアジアの各国の投資家の熱狂はしばらく続くでしょう。