高級腕時計を貸し出して運用するサービス「トケマッチ」が解散


社長、ニュースで見たんですが「トケマッチ」という会社が解散したみたいです。
高級腕時計を貸し出して運用するサービスだったんですけど、現在、16億円相当の時計が未返却状態だそうです。
すでに破産を申請していて、連絡もつかないらしいんです。

トケマッチですね。数年前に登場したサービスで、広告も展開していました。
ただ、同じスキームは過去にもありました。
例えば「スカイカーシェア」です。
車を預けてカーシェアで運用し、その収益をオーナーに分配するというモデルでしたが、結局同じような結末を迎えました。

事業モデルとしては一見成立しそうに見えるけど、持続するのは難しい。
今回も時計を貸す「トケマッチ」というサービスを運営していたのは大阪の「合同会社ネオリバース」らしいです。

投資家側から見れば、実質利回り20%との話も出ていたそうです。

20%ですか、それはすごいですね…。

ただ、ホームページを見ると「1月31日付けで解散」(※2024年)と書いてあるんですよ。送金も停止し、返却は6か月を目安に手配するとしています。
もし返却が順調に進めば、被害は最小限に抑えられる可能性がありますが、ネット上では「自分の貸し出したロレックスと同じシリアル番号が市場で売られていた」なんて声もあるんです。

えっ、それは横領ですよね?

もし本当に販売されていたなら「業務上横領」になる可能性が高いでしょう。
ただ「詐欺罪」として立証するのは難しいケースです。
実際、被害者の会も立ち上がっていて、裁判でどう扱われるかは今後次第ですね。

記事にも「毎月何十万円も振り込まれていたから安心していた」という被害者の声がありました。

回っているうちは収益が出ていたんでしょう。でも結局は自転車操業だったのかもしれません。
これは典型的な「高利回りをうたう投資」のリスク事例だと思いますね。
▼動画で確認したい方はこちら
ロレックスをシェア…投資をする前にリスクを把握することが大切


結局、最初から危ない投資だったんですかね?時計を集めて運用してたけど、仕組みとして成り立たなかったという感じなんでしょうか。

そうですね。ビジネスとしてうまく回らなかったという話でしょう。ただ、そもそも最初から危ういんですよ。

どういうことですか?

だって現金性の高いものを人に渡すって、もうその時点でリスクが高すぎるんです。ロレックスなんて、ほとんど現金と同じようなものですよ。
仮に私がロレックスを細川さんに渡したら、もし細川さんが困ったらすぐ売れちゃうでしょ?
それってもう横領になっちゃうわけで。

たしかにそうですね…。警察沙汰になりますね。

そう。現金じゃなく「モノ」として渡すから投資家側も警戒が薄れてしまった。
ただ、本質的には同じです。
しかもスカイカーシェアの時と同じように、時計もローンで買うケースがあるんです。
もしローンで買った高級時計を預けて戻ってこなければ、借金だけが残ります。
それが一番大きな被害になりますよね。

それは最悪ですね…。時計が戻らず、返済だけ続くなんて。

その場合、大きな負担を抱えることになります。

合同会社ネオリバースのHPをチェックして、詐欺を見極める力を養おう


でも、こういう被害って何度も出てきますよね。なぜ無くならないんでしょうか?

正直、見る目が養われていないからだと思います。私であれば、まず会社をチェックします。

やっぱり会社を見るんですね。

ええ。今回の会社は合同会社。別に合同会社が悪いわけじゃないけど、住所を調べたらライオンズマンションの一室ですよ。
そんなところに何千万円もする時計を預けますか?
しかもホームページはWordPressの無料テーマで作られています。
さらに資本金は777万円です。
これで多額の資金を集めるって、本当に大丈夫ですか?という話ですよ。

うーん…。それだけでも十分怪しいですね。
芸能人やキャラクターの広告に騙されない


そう。さらに芸能人を使ってプロモーションしていたことも被害拡大の要因でしょう。
矢口さんや柴田さんなど、名前の知れた人が広告に出ていたら、何も考えずに「有名人が推しているから大丈夫」と思ってしまう人が一定数いるものです。
そうやって騙されてしまうのです。

たしかに…。信じやすい人はすぐ飛びついちゃいそうです。

だからこそ「どの会社が運営してるのか」「信用できる実績があるのか」という基本を、ちゃんと見ておく必要があるんです。

芸能人を広告に使ってたのも大きかったんですね。YouTubeのCMでも『芸能人を月額いくらで広告塔にできる』といったサービスがあります。

そうそう。月額30万円程度で芸能人を広告に起用することが可能です。
「中小企業からニッポンを元気にプロジェクト」などでは、お金を払えば市原隼人さんを使えますし、キャラクターで言えばけろけろけろっぴなども起用可能です。
「有名人が推してるから安心」と思ってしまう人は多いんです。


たしかに、知名度ある人が出てると安心しちゃいそうです。

でも芸能人が宣伝してる=安全ではない。
本質を見ないといけません。
時計を預けたら返ってこない可能性は最初から分かっているので、それを理解せずに「被害だ」と主張するのは少し違うと思います。
利回り20%を取るためにリスクを飲み込んで投資したなら、そのリスクが現実化しただけです。
大事なのは「デューデリジェンス(DD)」


結局はディーディリジェンス(DD)が大事なんですね。

そう。結局はDDです。
企業の規模、代表者の信頼性、サービスの構造上のリスクを確認するべきです。
例えば【ライオンズマンションの一室にある合同会社で資本金700万円程度の会社】に【高級時計を預ける】ということのリスクを理解していたのか?という話です。

多くの人は「芸能人が宣伝してる」「テレビで取り上げられてる」「ホームページにCMが載ってる」ってだけで飛びついてしまってる気がします。

そう。CMなんてお金を出せば誰でも作れる。
だから「広告や知名度」ではなく「中身」を見ないといけないんですよ。

記事によれば、5,000万円分の時計を預けた人や、6,000万円を渡して毎月110万円を受け取っていた人もいたそうです。

そうのようです。結局、730本・16億円相当の時計が戻ってきていないとのことです。

一部の人は「45本のうち17本しか戻ってこなかった」なんて話も出ています。
代表とも連絡がつかないし、もう戻ってこない可能性は高いでしょう。

やっぱり売られてたって話も出てますしね。

そうです。詐欺で立件するのは難しいけど、業務上横領で裁かれる可能性はある。
結局、初めのうちに配当がきちんと振り込まれて安心してしまった投資家が多いのです。
でもそれは典型的な「自転車操業のサイン」なんですよ。

毎月きちんと振り込まれていたから、投資家の人たちは安心してしまったんでしょうね。

そうだと思います。
でも「安心できるかどうか」よりも、やはりビジネスの本質を見るべきなんです。
今回の件は複雑な詐欺スキームではなく、『渡したものが返ってこない』という極めてシンプルなリスクです。
契約書に「返します」と書かれていても、会社が返さなければ取り返せない。
つまり「物の貸し借りを投資にする時点で危うい」という当たり前の話なんですよ。

たしかにそうですね。

しかも今回の被害額は16億円程度。
世の中には数百億円〜数千億円規模の詐欺事件もありますから、相対的に見れば金額が大きい方ではない。
ただ、もし本当に市場で売却されていたなら、それは相当悪質です。
そこは裁判での判断になります。

結局、利回り20%に目がくらんでしまった人が多いんでしょうね。

そうです。本当に投資するなら「実際にどれだけ貸し出されているのか」「どれぐらいの収益が上がっているのか」まで確認するべきだと思います。
私もサービスが出た当初に数字を調べましたけど、どう見ても計算が合いませんでした。
だから「これは破綻する」と思ったんです。
結局はビジネス構造のDDをきちんとすること。

やっぱりDDですね。

この記事の読者さんは過去の記事で学んでいると思うので、ライオンズマンションの一室にある合同会社に投資するなんてことはしていないはずです。
でも今回の件を教訓に「どんな案件でも必ずDDをする」ということを改めて肝に銘じてほしいです。
被害に遭ってしまったら弁護士に相談を

被害に遭ってしまった方は、どうすればいいんでしょうか?

今は焦っても意味がない。返却されることを待つしかありません。同時に弁護士に相談するなど、適切な対応をとってください。
そのうえで今後投資をするのであれば、まずはDDができるようになりましょう。
投資を始めるうえでの最低限のルールだと思います。
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なるほど…。

また新しい事件が出てきたら、取り上げましょう。

はい、ありがとうございました。