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事業承継税制をわかりやすく解説!適用要件・メリット・注意点をまとめて紹介

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事業承継税制をわかりやすく解説!適用要件・メリット・注意点をまとめて紹介

「事業承継税制ってどんな制度なの?」
「特例措置と一般措置の違いがよく分からない」
「手続きが複雑そうで、何から始めればよいか分からない」

事業承継税制について、このような疑問を持つ経営者や後継者の方も多いのではないでしょうか。

事業承継税制は、中小企業の後継者が先代経営者などから非上場株式を引き継ぐ際に、一定の要件のもとで贈与税や相続税の納付を猶予し、所定の事由に該当した場合には猶予税額の免除を受けられる制度です。

後継者の納税負担を抑え、円滑な事業承継を後押しする仕組みとなっています。

一方で、制度を利用するためには、会社・先代経営者・後継者がそれぞれ適用要件を満たし、定められた期限内に申請や税務申告を行う必要があります。

適用後も継続的な届出が求められるため、制度の仕組みや注意点を事前に理解しておくことが重要です。

特例措置を利用する場合は、特例承継計画を2027年9月30日までに提出し、2027年12月31日までに株式の贈与または相続による承継を行う必要があります。

利用を検討している場合は、期限から逆算して早めに準備を始めましょう。

この記事では、事業承継税制の基本的な仕組みや一般措置と特例措置の違い、適用要件、メリット・デメリット、申請手順、ほかの対策と組み合わせる方法についてわかりやすく解説します。

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この記事の監修者

持丸 雅士

ココザス株式会社|コンサルタント|FP

持丸 雅士

Masashi Mochimaru

突如起きた父親の入院・手術をきっかけにお金に対する不安を感じ、ファイナンシャル・プランナーの勉強を始める。
ファイナンシャルプランナー技能士2級及びAFP認定を取得後、お金に対する正しい知識・情報を世の中に伝えていきたいと思い、個人向け資産形成コンサルティング事業を展開しているココザス株式会社へ入社。
資産形成で不安を抱えているお客様の視点に立ち、年間800人以上の資産形成のサポートを行っている。
また現在はセミナー講師として講演会を行うなど、正しいお金の知識を広げる活動にも取り組んでいる。

事業承継税制の仕組みをわかりやすく解説

事業承継税制の仕組みをわかりやすく解説

事業承継税制を活用するか判断するためには、まず制度の基本的な仕組みを理解しておくことが大切です。

ここでは、事業承継税制の仕組みと免除の条件について解説します。

(1)事業承継税制を活用して自社株を引き継ぐ仕組み
(2)贈与税や相続税の納付が猶予される仕組み
(3)猶予された贈与税や相続税が免除されるケース

(1)事業承継税制を活用して自社株を引き継ぐ仕組み

事業承継税制とは、中小企業の経営者が後継者へ自社株を贈与または相続する際に、一定の要件を満たすことで、本来納めるべき贈与税や相続税の納付を猶予できる制度です。

さらに、後継者が事業を継続し、定められた要件を満たし続けた場合には、猶予されていた税額が最終的に免除されることもあります。

一般的に、会社の業績が良くなるほど、自社株の評価額も高くなる傾向があります。

そのため、後継者が株式を引き継ぐ際に、数千万円から数億円規模の贈与税や相続税が発生する場合もあります。

しかし、自社株は現金とは異なるため、後継者が納税資金を用意できず、事業承継を進められないケースも少なくありません。

事業承継税制を利用すると、自社株の承継に伴う税金の納付を猶予できるため、後継者が納税資金をすぐに用意する負担を抑えながら、会社を引き継ぎやすくなります。

また、承継後も後継者が会社を経営し、制度の要件を満たし続けることで、猶予されていた税額が免除される可能性があります。

このように、事業承継税制は、事業承継時の税負担を抑え、後継者への円滑な株式承継を支援する制度と言えるでしょう。

(2)贈与税や相続税の納付が猶予される仕組み

事業承継税制では、後継者が先代経営者から株式を取得した後、所定の手続きや税務申告を行うことで、本来納めるべき贈与税または相続税の全部または一部について、納付の猶予を受けられます

ただし、制度を利用すれば、その時点で税金がなくなるわけではありません。

納税猶予を継続するためには、後継者が株式を保有しながら事業を続けることや、必要な報告書・届出書を期限内に提出することなど、定められた要件を満たし続ける必要があります。

また、雇用に関する要件も設けられていますが、特例措置では、一定の手続きを行うことで柔軟な対応が認められる場合があります。

納税猶予は、あくまで税金の支払いを先送りする仕組みです。

一方で、法律で定められた一定の事由に該当した場合には、猶予されていた税額が免除されることがあります。

そのため、制度の要件を満たし続け、免除事由に該当した場合には、結果として贈与税・相続税の負担が生じないケースもあります。

(3)猶予された贈与税や相続税が免除されるケース

猶予されていた贈与税や相続税が免除される主なケースは、次の3つです。

後継者が亡くなった場合
制度の適用を受けていた後継者が亡くなった場合は、猶予されていた贈与税または相続税が免除されることがあります。
次の世代へ事業承継した場合
後継者が、さらに次の後継者へ自社株を贈与または相続によって引き継ぎ、一定の要件を満たした場合は、猶予されていた税額が免除されることがあります。
この仕組みにより、世代をまたいで事業を引き継いでいくことが可能です。
会社が倒産・廃業した場合
会社が倒産または廃業した場合も、一定の要件を満たすことで、猶予されていた税額の全部または一部が免除されることがあります。

また、特例措置では、後継者が一定の年齢に達した後に株式を次の承継先へ移転した場合など、所定の条件を満たすことで免除が認められるケースもあります。

ただし、事業承継税制を利用しただけで、猶予された税金が自動的に免除されるわけではありません。

免除を受けるためには、法律で定められた事由に該当し、必要な手続きを行う必要があります。

制度を利用する際は、納税猶予と免除は異なる仕組みであることを理解しておきましょう。

一般措置と特例措置の違いについて

一般措置と特例措置の違いについて

事業承継税制には、「一般措置」と「特例措置」の2種類があります。

両者では、納税猶予の対象となる株式や税額、後継者の人数、雇用要件、適用期限などが異なります。

それぞれの特徴を理解したうえで、自社に適した制度を検討することが大切です。

ここでは、一般措置と特例措置の概要と違いについて解説します。

(1)一般措置の概要について
(2)特例措置の概要について
(3)一般措置と特例措置の違い

(1)一般措置の概要

一般措置とは、2009年度税制改正で拡充された、事業承継税制の基本となる制度です。

一定の要件を満たした後継者が、非上場会社の株式を贈与または相続によって取得した場合に、贈与税や相続税の納付猶予を受けられます。

一般措置では、贈与税については対象となる株式にかかる税額の全額が、相続税については対象株式にかかる税額の80%が納税猶予の対象です。

ただし、対象となる株式は、原則として発行済み株式総数の3分の2までに限られます。

そのため、3分の2を超える株式については、通常どおり贈与税や相続税が課税されます。

一般措置には適用期限がなく、恒久的に利用できる点が特徴です。

一方で、特例措置と比べると、納税猶予の対象となる株式や税額の範囲が限られています。

また、原則として、事業承継後5年間の平均で従業員数の8割以上を維持する必要があります。

自社株の評価額が高い企業では、一般措置を利用しても一定の税負担が残る可能性があります。

(1)一般措置の概要

(2)特例措置の概要

特例措置は、2018年度税制改正によって設けられた、期間限定の制度です。

一定の要件を満たすことで、対象となる非上場株式のすべてについて、贈与税・相続税の全額が納税猶予の対象となります。

そのため、自社株の評価額が高い中小企業でも、承継時の税負担を抑えながら、後継者へ株式を引き継ぎやすい点が特徴です。

また、一般措置では後継者が原則1人であるのに対し、特例措置では最大3人まで認められています。

そのため、複数の後継者へ株式を分けて承継する場合にも活用できます。

さらに、2025年度税制改正によって後継者の役員就任要件が緩和されたことで、これまで役員ではなかった後継者候補でも、贈与の直前までに役員へ就任すれば、制度を利用できる可能性があります。

(2)特例措置の概要

(3)一般措置と特例措置の違い

一般措置と特例措置の主な違いは、納税猶予の対象となる株式・税額の範囲と、雇用要件の取り扱いです。

特例措置では、一定の要件を満たすことで、対象となる非上場株式のすべてについて、贈与税・相続税の全額が納税猶予の対象となります。

そのため、一般措置と比べて、納税猶予を受けられる範囲が広くなっています。

また、特例措置では、事業承継後5年間の平均で雇用の8割以上を維持できなかった場合でも、その理由を記載した書類を都道府県へ提出することで、納税猶予を継続できる場合があります。

さらに、2025年度税制改正では、後継者の役員就任要件が緩和されました。

従来は、贈与前から一定期間、役員を務めていることが求められていましたが、改正後は、贈与の直前までに役員へ就任していれば、要件を満たせるようになっています。

また、一般措置では、贈与・相続時の後継者は1人であり、猶予対象は発行済み株式の3分の2相当分に限られます

さらに、相続税については、対象となる株式にかかる税額の80%が納税猶予の対象です。

そのため、相続税の場合、発行済み株式全体の価値に対して、実質的に納税猶予を受けられる範囲は最大で約53%となります。

計算式

3分の2 × 80% = 約53%

残りの部分については、通常どおり相続税を納める必要があります。

そのため、自社株の評価額が高い企業では、一般措置だけでは後継者の税負担が十分に軽減されない場合があります。

比較項目 一般措置 特例措置
猶予対象の株数 発行済み株式の3分の2まで 全株式
猶予対象の税額 贈与税は100%、相続税は80% 贈与税・相続税ともに100%
雇用要件 5年間平均で80%以上を維持 未達成でも理由書の提出により継続できる場合がある
後継者数 原則1人 最大3人
適用期限 なし 2027年12月31日まで
特例承継計画の提出 提出不要 2027年9月30日までに提出が必要

また、特例措置を利用するためには、2027年9月30日までに「特例承継計画」を、会社の所在地を管轄する都道府県へ提出する必要があります。

期限までに提出しなかった場合は、原則として特例措置を利用できません。

特例承継計画には、主に次のような内容を記載します。

・後継者の氏名
・会社や事業の現状
・株式を承継する時期
・株式を承継する相手
・事業承継後の経営方針
・認定経営革新等支援機関の所見

認定経営革新等支援機関には、税理士や公認会計士、金融機関などが含まれます。

専門家への相談や計画書の作成、必要書類の準備には一定の時間がかかります。

そのため、提出期限の直前ではなく、余裕を持って準備を始めることが大切です。

目安として、提出期限の半年から1年ほど前には、専門家への相談や計画の作成を始めておくとよいでしょう。

事業承継税制を利用するための適用要件

事業承継税制を利用するための適用要件

事業承継税制の適用を受けるためには、会社だけでなく、先代経営者と後継者もそれぞれ定められた要件を満たす必要があります。

要件を満たしていない場合は、税金の納税猶予や免除を受けられない可能性があるため、制度の利用を検討する段階で確認しておくことが重要です。

ここでは、事業承継税制を利用するために確認しておきたい、次の3つの適用要件について解説します。

(1)会社が満たすべき事業承継税制の適用要件
(2)先代経営者が満たすべき事業承継税制の適用要件
(3)後継者が満たすべき事業承継税制の適用要件

(1)会社が満たすべき事業承継税制の適用要件

事業承継税制の対象となるのは、原則として、中小企業基本法上の中小企業に該当する非上場会社です。

会社側の主な要件は、次のとおりです。

・中小企業基本法上の中小企業に該当すること
・非上場会社であること
・株式に譲渡制限が設けられていること
・資産管理会社や風俗営業会社など、制度の対象外となる会社に該当しないこと

中小企業基本法上の中小企業とは、業種ごとに定められた資本金または従業員数の基準を満たす企業です。

業種 資本金 常時使用する従業員数
製造業・建設業・運輸業など 3億円以下 300人以下
卸売業 1億円以下 100人以下
小売業 5,000万円以下 50人以下
サービス業 5,000万円以下 100人以下

参考|中小企業庁「中小企業・小規模企業者の定義

一方、次のような法人や会社は、原則として制度の対象外です。

・上場会社
・大企業
・医療法人
・一般社団法人
・主に有価証券や自ら使用していない不動産を保有する資産管理会社
・風俗営業会社

また、株式に譲渡制限が設けられていない会社は、原則として制度を利用できません。

そのため、定款に株式の譲渡制限を定めておく必要があります。

事業承継税制には細かな要件が設けられているため、自社が対象となる会社に該当するかどうかは、税理士などの専門家へ事前に確認しておくことが大切です。

(2)先代経営者が満たすべき事業承継税制の適用要件

事業承継税制を利用するためには、株式を引き渡す先代経営者にも一定の要件があります

先代経営者の主な要件は、次のとおりです。

・会社の代表権を有していたこと
・贈与の場合は、贈与時点で代表者を退任していること
・贈与直前に筆頭株主であること、または同族関係者と合わせて議決権の過半数を保有していること
・同族関係者のなかで、後継者を除いて最も多くの議決権を保有する者ではないこと

特に、贈与によって事業承継を行う場合は、株式を贈与する時点で、先代経営者が代表権を手放していることが要件となります。

ただし、代表者を退任した後も、取締役や相談役などとして会社に残ることは可能です。

そのため、事業承継税制を利用する際は、株式を贈与する時期だけでなく、代表者を退任する時期もあわせて計画することが重要です。

(3)後継者が満たすべき事業承継税制の適用要件

株式を引き継ぐ後継者にも、一定の要件が設けられています

後継者の主な要件は、次のとおりです。

・会社の代表者であること
・贈与の場合は、贈与後に代表者へ就任すること
・後継者と同族関係者を合わせて、議決権の過半数を保有していること
・同族関係者のなかで筆頭株主であること
・年齢要件を満たしていること

また、2025年度税制改正により、後継者の役員就任要件が緩和されました。

従来は、贈与を受ける前から3年以上役員に就任していることが求められていましたが、改正後は、贈与の直前までに役員へ就任していれば、要件を満たせるようになっています。

この改正により、後継者候補を早い段階から役員に就任させておく必要がなくなり、実際の事業承継の時期に合わせて、より柔軟に制度を利用しやすくなりました。

ただし、会社や株主の状況、贈与と相続のどちらで承継するかによって、確認すべき要件は異なります。

制度を利用する前に、会社・先代経営者・後継者のすべてが要件を満たしているかを確認しておきましょう。

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事業承継税制を利用する3つのメリット

事業承継税制を利用する3つのメリット

事業承継税制を活用すると、自社株の承継時に発生する贈与税や相続税の負担を抑えながら、後継者への経営の引き継ぎを進めやすくなります。

特に、自社株の評価額が高い企業では、税負担が事業承継の大きな課題となるため、制度を利用するメリットを理解したうえで、自社に適しているか検討することが重要です。

ここでは、事業承継税制を利用することで得られる次の3つのメリットについて解説します。

(1)多額の贈与税や相続税の納付を猶予できる
(2)後継者と会社の資金負担を軽減できる
(3)自社株を後継者へ集約して経営権を安定させられる

(1)多額の贈与税や相続税の納付を猶予できる

事業承継税制の大きなメリットは、自社株の承継に伴って発生する贈与税や相続税の納付を猶予できることです。

特例措置を利用した場合は、一定の要件を満たすことで、対象となる非上場株式にかかる贈与税・相続税の全額が納税猶予の対象となります。

自社株の評価額が高い会社では、株式を承継する際に、数千万円から数億円規模の税金が発生することもあります。

しかし、自社株は現金ではないため、後継者が納税資金を準備できず、事業承継を断念したり、資金を確保するために株式や会社を売却したりするケースもあります。

事業承継税制を活用すれば、こうした税負担を一時的に抑えながら株式を引き継げるため、後継者は会社の経営基盤を維持したまま、事業承継を進めやすくなります

(2)後継者と会社の資金負担を軽減できる

事業承継税制を利用すると、自社株の承継に伴う贈与税や相続税の納付が猶予されるため、後継者が用意しなければならない資金を抑えられます。

通常、事業承継の際に多額の税金が発生すると、後継者は納税のための現金を準備しなければなりません。

一方、事業承継税制を利用すれば、本来納税に充てる資金を、次のような用途に活用しやすくなります。

・日々の事業運営
・設備投資
・新規事業への投資
・人材の採用や育成
・運転資金の確保

中小企業では、納税資金を用意するために後継者の役員報酬を増やしたり、会社の内部留保を取り崩したりすることがあります。

その結果、会社の資金繰りが悪化し、事業運営に影響が及ぶ可能性もあります。

事業承継税制を活用することで、承継時の資金流出を抑えながら、会社の財務基盤を維持しやすくなる点もメリットです。

(3)自社株を後継者へ集約して経営権を安定させられる

事業承継税制を利用すると、自社株を後継者へ集中的に承継しやすくなります。

通常、自社株を一度に贈与または相続すると、多額の贈与税や相続税が発生する可能性があります。

そのため、税負担を抑える目的で複数回に分けて株式を移転したり、相続によって株式が複数の相続人へ分散したりするケースもあります。

しかし、事業承継税制を活用すれば、一定の要件のもとで税負担を抑えながら株式を承継できるため、後継者へ自社株を集約しやすくなります

後継者が議決権の過半数など、経営に必要な株式を保有できれば、重要な経営判断を進めやすくなり、経営権も安定します。

また、株式が複数の相続人へ分散することで、経営方針をめぐる意見の対立や意思決定の遅れが生じるリスクも抑えやすくなります。

このように、事業承継税制は税負担を抑えるだけでなく、承継後の経営体制を整えやすくする点でもメリットがあります

事業承継税制を利用する前に知っておきたいデメリット

事業承継税制を利用する前に知っておきたいデメリット

事業承継税制は、事業承継時の贈与税や相続税の負担を抑えられる一方、利用後も継続して満たすべき要件があり、将来の経営判断に影響する可能性があります。

制度を利用した後に要件を満たせなくなると、猶予されていた税額に加えて利子税の納付が必要になる場合もあるため、メリットだけで判断しないことが大切です。

ここでは、事業承継税制を利用する前に知っておきたい3つのデメリットについて解説します。

(1)税金がすぐに免除されるわけではない
(2)要件を外れると猶予税額と利子税の負担が生じる
(3)株式売却やM&Aなど将来の選択肢に影響することがある

(1)税金がすぐに免除されるわけではない

事業承継税制は、贈与税や相続税がすぐに免除される制度ではありません。

あくまでも、本来納めるべき税金の支払いを猶予する制度です。

猶予されている税額が免除されるのは、後継者が亡くなった場合や、次の世代へ事業承継した場合、会社が倒産・廃業した場合など、法律で定められた事由に該当したときに限られます。

また、制度を利用した後も、必要な報告書や届出書を期限内に提出し、事業を継続するなど、定められた要件を満たし続ける必要があります。

要件を満たせなくなった場合は、猶予されていた税額に加えて、利子税の納付を求められる可能性があります。

そのため、事業承継税制を「制度を利用すれば税金がなくなる仕組み」と考えるのは適切ではありません。

納税猶予と免除の違いや、利用後に必要となる手続きを理解したうえで、制度を活用することが大切です。

(2)要件を外れると猶予税額と利子税の負担が生じる

事業承継税制では、適用後に一定の要件を満たせなくなると、納税猶予が打ち切られる場合があります。

その場合、猶予されていた贈与税や相続税に加えて、猶予期間に応じた利子税も納めなければならない可能性があります。

納税猶予が打ち切られる可能性がある主なケースは、次のとおりです。

・後継者が代表者を退任した場合
・承継した株式の一部を譲渡または贈与した場合
・会社が資産管理会社に該当するようになった場合
・必要な報告書や届出書を期限内に提出しなかった場合

ただし、後継者の代表者退任などについて、やむを得ない事情がある場合は、取り扱いが異なることもあります。

利子税は猶予されていた税額をもとに計算されるため、猶予期間が長くなるほど、納付額も大きくなる可能性があります。

制度を利用する際は、現在の要件を満たしているかだけでなく、事業承継後も継続して要件を守れるかを確認することが重要です。

将来の経営環境の変化も踏まえ、税理士などの専門家へ相談しながら計画的に進めましょう。

(3)株式売却やM&Aなど将来の選択肢に影響することがある

事業承継税制を利用すると、株式の売却やM&Aなど、将来の経営上の選択肢に影響する場合があります。

例えば、制度の適用後に会社を売却したり、承継した株式の一部を譲渡したりすると、納税猶予が取り消される可能性があります。

納税猶予が取り消された場合は、猶予されていた税額に加えて、利子税の納付が必要になることがあります。

一方、特例措置では、一定の要件を満たすM&Aなどについて、納税猶予を継続できる場合もあります。

ただし、すべてのM&Aや株式譲渡が対象になるわけではありません。

取引の方法や条件によっては、納税猶予が打ち切られる可能性があります。

そのため、将来的に次のような選択肢を検討している場合は注意が必要です。

・会社や事業の売却
・M&A
・株式構成の見直し
・組織再編
・後継者以外への株式譲渡

事業承継税制を利用する際は、現在の税負担だけでなく、将来の経営方針や会社売却の可能性も踏まえて判断することが大切です。

事業承継税制を利用するための申請手順

事業承継税制を利用するための申請手順

事業承継税制の適用を受けるためには、特例承継計画の提出から税務申告、適用後の継続手続きまで、複数の手続きを順番に進める必要があります。

それぞれの手続きには期限が定められており、提出漏れや遅れがあると、制度を利用できなくなる可能性があります。

そのため、全体のスケジュールを早めに確認し、必要書類の準備や専門家への相談を計画的に進めることが大切です。

ここでは、事業承継税制を利用する際の主な申請手順を紹介します。

(1)特例承継計画を作成して都道府県へ提出する
(2)株式の贈与や相続後に都道府県知事の認定を受ける
(3)申告期限までに税務申告と担保提供を行う
(4)適用後も年次報告書と継続届出書を提出する

(1)特例承継計画を作成して都道府県へ提出する

特例措置を利用する場合は、最初に「特例承継計画」を作成し、会社の本店所在地を管轄する都道府県へ提出します。

一般措置を利用する場合は、特例承継計画を提出する必要はありません。

申請窓口は、申請する会社の主たる事務所が所在する都道府県庁です。

詳しい窓口や申請方法については、中小企業庁の「法人版事業承継税制(特例措置)」でも確認できます。

特例承継計画の様式は、中小企業庁や各都道府県のホームページからダウンロードできます。

計画書には、主に次のような内容を記載します。

・会社の概要
・後継者の氏名
・株式承継の予定時期
・事業承継後の経営方針
・認定経営革新等支援機関による所見

認定経営革新等支援機関には、税理士や公認会計士、金融機関などがあります。

記載方法がわからない場合は、こうした支援機関へ相談しながら作成するとよいでしょう。

特例承継計画の提出期限は、2027年9月30日です。

期限までに提出しなかった場合は、原則として特例措置を利用できません。

支援機関による確認や必要書類の準備には時間がかかるため、期限の直前ではなく、半年から1年程度の余裕を持って準備を始めることが大切です。

(2)株式の贈与や相続後に都道府県知事の認定を受ける

自社株を後継者へ贈与または相続した後は、会社の本店所在地を管轄する都道府県へ認定申請を行い、都道府県知事の認定を受ける必要があります。

認定申請書の様式は、中小企業庁のホームページからダウンロードできるほか、各都道府県の担当窓口でも入手できます。

認定申請で提出する主な書類は、次のとおりです。

・認定申請書
・特例承継計画の写し(特例措置の場合)
・定款
・株主名簿
・貸借対照表などの決算書類
・その他、都道府県から求められる書類

認定申請の期限は、贈与税や相続税の申告期限を踏まえて定められています。

株式の贈与または相続が完了したら、できるだけ早く必要書類を準備し、手続きを進めることが大切です。

提出書類が多いため、税理士などの専門家へ相談しながら進めることで、記載漏れや提出の遅れを防ぎやすくなります。

(3)申告期限までに税務申告と担保提供を行う

都道府県知事の認定を受けた後は、贈与税または相続税の申告期限までに、税務署で納税猶予の手続きを行います。

申告書には、事業承継税制による納税猶予の適用を受ける旨を記載し、都道府県知事の認定書などの必要書類を添付します。

また、納税猶予を受けるためには、猶予される税額に見合う担保を提供する必要があります。

一般的には、承継した非上場株式を担保として提供しますが、国債や有価証券など、法令で認められた財産を利用できる場合もあります。

主な提出書類は、次のとおりです。

・贈与税または相続税の申告書
・都道府県知事の認定書
・納税猶予に関する申請書類
・担保提供に関する書類

申告期限までに必要書類を提出し、担保の提供を完了することで、贈与税または相続税の納税猶予を受けられます。

(4)適用後も年次報告書と継続届出書を提出する

事業承継税制は、適用を受けた後も継続的な手続きが必要です。

納税猶予を維持するために、都道府県や税務署へ定期的に報告書・届出書を提出します。

主な書類と提出先は、次のとおりです。

書類 提出頻度 提出先
年次報告書 毎年 都道府県
継続届出書 3年ごと 税務署

年次報告書には、会社の経営状況や雇用状況、後継者による株式の保有状況などを記載します。

継続届出書は、納税猶予の要件を引き続き満たしていることを税務署へ届け出るための書類です。

これらの書類を期限までに提出しなかった場合は、納税猶予が取り消され、猶予されていた税額や利子税の納付を求められる可能性があります。

制度の適用後も提出期限を適切に管理し、必要な手続きを忘れずに行いましょう。

事業承継税制の納税猶予が取り消されるケースと防止策

事業承継税制の納税猶予が取り消されるケースと防止策

事業承継税制の適用後に納税猶予が取り消されると、猶予されていた税金をまとめて納めなければならない場合があります。

さらに、利子税が加算される可能性もあるため、取り消しとなる条件を事前に把握し、必要な対策を講じておくことが大切です。

ここでは、事業承継税制の納税猶予が取り消されるケースと防止策について解説します。

(1)納税猶予が取り消される主なケース
(2)納税猶予の取り消し後に発生する税負担
(3)納税猶予の取り消しを防ぐための対策

(1)納税猶予が取り消される主なケース

納税猶予が取り消される主なケースには、後継者の代表者退任や株式の譲渡、会社の上場、必要書類の未提出などがあります。

具体的には、次のような場合に納税猶予が取り消される可能性があります。

・後継者が代表者を退任した場合
・猶予対象となっている株式を譲渡・贈与した場合
・猶予対象株式を質入れした場合
・会社が上場した場合
・年次報告書や継続届出書を期限内に提出しなかった場合
・その他、事業承継税制の適用要件を満たさなくなった場合

ただし、後継者の代表者退任などについて、やむを得ない事情がある場合は、取り扱いが異なることもあります。

また、一般措置では、事業承継後5年間の平均で雇用者数の8割以上を維持できなかった場合、原則として納税猶予が取り消されます。

一方、特例措置では、雇用を維持できなかった理由を記載した書類を都道府県へ提出することで、納税猶予を継続できる場合があります。

ただし、特例措置であっても、雇用の維持に向けた取り組みが不要になるわけではありません。

事業承継後も、会社の状況を確認しながら計画的に経営を続けることが重要です。

(2)納税猶予の取り消し後に発生する税負担

納税猶予が取り消された場合は、猶予されていた贈与税または相続税を納付しなければなりません。

また、猶予されていた税額に加えて、猶予期間に応じた利子税が発生する場合があります。

利子税は猶予期間が長くなるほど増えるため、取り消しの時期によっては、納付額が大きくなる可能性があります。

さらに、取消事由が発生した後、決められた期限までに申告や納付を行わなかった場合は、利子税に加えて延滞税が課されることもあります。

そのため、納税猶予の取り消しにつながる可能性のある事由が発生した場合は、放置せず、できるだけ早く税理士などの専門家へ相談することが大切です。

状況を確認したうえで、必要な申告や納付などの手続きを速やかに進めましょう。

(3)納税猶予の取り消しを防ぐための対策

納税猶予の取り消しを防ぐためには、制度の適用後も、定められた要件を継続して満たすことが重要です。

特に、次の点に注意しましょう。

・年次報告書や継続届出書を期限内に提出する
・後継者が代表者としての地位を維持する
・猶予対象となっている株式を安易に譲渡・贈与しない
・株式の保有状況や会社の要件を定期的に確認する
・会社の組織再編や上場を検討する際は事前に影響を確認する

必要書類の提出期限を忘れないよう、社内でスケジュールを管理するほか、税理士などの専門家と定期的に状況を確認しておくと安心です。

また、将来的にM&Aや株式譲渡、組織再編などを検討している場合は、実行する前に、納税猶予が取り消される可能性がないか確認しておきましょう。

制度の適用要件や手続きへの影響を専門家へ相談したうえで、慎重に進めることが大切です。

事業承継税制と他の対策を組み合わせる3つの方法

事業承継税制と他の対策を組み合わせる3つの方法

事業承継税制は、贈与税や相続税の負担を抑えるうえで有効な制度ですが、単独で利用することが必ずしも最適とは限りません。

会社の状況や後継者、保有資産、将来の経営方針を踏まえ、ほかの相続・事業承継対策と組み合わせることで、より円滑で柔軟な承継計画を立てやすくなります。

ここでは、事業承継税制と組み合わせて活用したい3つの方法を紹介します。

(1)生前贈与と組み合わせて相続財産を分散する
(2)持株会社と組み合わせて株式承継を進める
(3)生命保険を活用して将来の納税リスクに備える

(1)生前贈与と組み合わせて相続財産を分散する

事業承継税制と生前贈与を組み合わせることで、自社株だけでなく、経営者が保有する財産全体を計画的に承継しやすくなります

例えば、自社株は事業承継税制を活用して後継者へ引き継ぎ、それ以外の現金や不動産などについては、生前贈与によって計画的に移転する方法です。

承継する財産や時期を分けることで、相続時に財産が一度に集中することを避けながら、円滑な資産承継を進めやすくなります。

ただし、生前贈与には、暦年課税や相続時精算課税制度など複数の方法があり、それぞれ適用要件や税務上の取り扱いが異なります。

事業承継税制と組み合わせる際は、自社株以外の資産構成や相続人の状況も踏まえ、税理士などの専門家へ相談しながら進めることが大切です。

(2)持株会社と組み合わせて株式承継を進める

持株会社を活用することで、株式の承継や複数事業の経営体制を整理しやすくなる場合があります。

持株会社とは、事業を行う会社の株式を保有し、グループ全体を管理する会社です。

事業会社の株式を持株会社へ移し、その持株会社の株式を後継者へ承継することで、事業承継を進める方法があります。

会社の資産構成や株式評価の状況によっては、自社株の評価額に影響し、株式承継の負担を抑えられる可能性があります。

また、複数の事業や子会社を持つ企業では、持株会社のもとに株式をまとめることで、経営権やグループ内の役割を整理しやすくなる点もメリットです。

一方、持株会社の設立や運営には、設立費用や維持管理コストがかかります。

株式の移転に伴って税金が発生したり、複雑な手続きが必要になったりする場合もあります。

すべての企業に適した方法ではないため、将来の税負担や管理コスト、経営上の効果を比較したうえで判断しましょう。

(3)生命保険を活用して将来の納税リスクに備える

生命保険を活用し、事業承継税制の納税猶予が取り消された場合や、将来の納税資金が不足した場合に備える方法もあります。

事業承継税制では、適用後に要件を満たせなくなると、猶予されていた贈与税や相続税に加えて、利子税を納めなければならない可能性があります。

そのため、先代経営者や後継者を被保険者とする生命保険に加入し、万が一の際に受け取る死亡保険金を納税資金として活用することも選択肢のひとつです。

あらかじめ、納税猶予が取り消された場合に必要となる税額を試算し、それを踏まえて保険金額を検討することで、急な納税負担に備えやすくなります。

また、法人で生命保険に加入した場合は、契約内容に応じて保険料の一部または全部を損金として処理できることがあります。

ただし、法人保険の税務上の取り扱いは、保険の種類や契約内容、加入時期によって異なります。

2019年以降の税制改正によって、損金算入に関する取り扱いも見直されています。

生命保険を活用する際は、保険料の負担や保障内容、税務上の取り扱いを確認し、自社の状況に合った契約を選ぶことが重要です。

事業承継税制と他の対策を組み合わせる3つの方法

事業承継税制が向いている会社・慎重に検討すべき会社

事業承継税制が向いている会社・慎重に検討すべき会社

事業承継税制は、すべての会社に適しているわけではありません。

自社株の評価額や後継者の有無、将来の経営方針などによって、制度を利用するメリットの大きさは異なります。

ここでは、事業承継税制の利用が向いている会社と、慎重に検討したほうがよい会社について解説します。

(1)利用が向いている会社|長期的に事業を継続する場合
(2)利用を慎重に検討すべき会社|M&Aや会社売却を検討している会社

(1)利用をおすすめできる会社|長期的に事業を継続する場合

事業承継税制は、自社株の評価額が高く、後継者の納税負担が大きくなる会社や、後継者が決まっており、長期的に事業を継続する方針の会社に向いています。

特に、自社株の評価額が高い中小企業では、株式を承継する際に、数千万円から数億円規模の贈与税や相続税が発生する可能性があります。

後継者が納税資金を用意できない場合は、事業承継を断念したり、資金を確保するために会社の株式や事業を売却したりする選択を迫られることもあります。

事業承継税制を活用すれば、自社株の承継に伴う税金の納付を猶予できるため、後継者が多額の納税資金をすぐに準備する負担を抑えられます。

その結果、本来納税に充てる予定だった資金を、事業運営や設備投資、人材採用などに活用しやすくなるでしょう。

また、親族や従業員など、株式を引き継ぐ後継者が決まっており、会社を次世代へ引き継ぐ方針が明確な場合にも適しています。

事業承継税制は、適用後も年次報告書や継続届出書の提出など、継続的な管理が必要です。

それでも、今後も長期的に会社を経営していく予定で、自社株の承継に伴う税負担が大きい場合は、制度を利用するメリットを得やすいでしょう。

事業承継税制は、会社を次の世代へ引き継ぐことを前提とした制度です。

利用を検討する際は、自社の事業承継方針と合っているかを確認することが大切です。

(2)利用を慎重に検討すべき会社|M&Aや会社売却を検討している会社

事業承継税制は、将来的にM&Aや会社売却を検討している会社、後継者が決まっていない会社、自社株の評価額が低く、承継時の税負担が小さい会社では、慎重に検討する必要があります。

制度を利用した後に株式を売却するなど、一定の要件を満たせなくなった場合は、納税猶予が取り消される可能性があります。

その場合、猶予されていた贈与税や相続税に加えて、利子税を納めなければならないこともあります。

そのため、近い将来にM&Aや株式売却を行う可能性がある場合は、事業承継税制による税負担の軽減効果と、売却時に生じる制約を比較したうえで判断することが重要です。

また、後継者が決まっていない会社では、制度の前提となる後継者への株式承継を進めることが難しく、メリットを十分に活かせない場合があります。

この場合は、事業承継税制の利用を急ぐのではなく、まず後継者の選定や、会社をどのように引き継ぐのかという方針を整理することが大切です。

さらに、自社株の評価額が低く、贈与税や相続税の負担がそれほど大きくない会社では、制度を利用する効果が限られる可能性があります。

事業承継税制の納税猶予を維持するためには、年次報告書や継続届出書の提出など、継続的な手続きと管理が必要です。

制度を利用する際は、軽減できる税負担と、手続きや管理にかかる負担を比較したうえで、自社にとって利用する価値があるかを判断しましょう。

事業承継税制に関する専門家への相談先

事業承継税制に関する専門家への相談先

事業承継税制を利用するためには、適用要件の確認や計画書の作成、税務申告、適用後の継続的な届出など、さまざまな手続きが必要です。

制度の内容も複雑なため、適切な専門家へ相談しながら進めることが大切です。

ここでは、事業承継税制に関する専門家への相談先について解説します。

(1)税理士・中小企業診断士・FPを活用する
(2)相談先に迷ったら事業承継・引継ぎ支援センターを活用する

(1)税理士・中小企業診断士・FPを活用する

事業承継税制を活用する際は、税務手続きだけでなく、会社の今後の経営方針や、経営者個人・家族の資産承継まで含めて検討する必要があります。

専門家によって得意とする分野が異なるため、それぞれの役割を理解したうえで相談先を選ぶことが重要です。

専門家 主な役割 対応できる内容
税理士 税務手続き・制度活用のサポート 適用要件の確認、特例承継計画の作成支援、都道府県への認定申請、贈与税・相続税の申告、継続届出書の作成など
中小企業診断士 経営面からの事業承継支援 事業承継計画の策定、会社の将来像の検討、後継者育成、組織体制の整備、経営改善に関する助言など
ファイナンシャルプランナー 経営者個人の資産管理や生活設計 相続対策、生命保険の活用、老後資金の準備、家族を含めた資産承継に関する助言など

事業承継税制の利用を検討している場合は、できるだけ早い段階から準備を始めることが重要です。

特に特例措置には、特例承継計画の提出期限や株式承継の実施期限が設けられています。

期限が近づいてから準備を始めると、必要な手続きを完了できない可能性があります。

また、制度を利用するためには、会社・先代経営者・後継者がそれぞれ適用要件を満たしているかを確認し、必要書類をそろえなければなりません。

自社株の評価や株主構成の確認、承継時期の検討などにも時間がかかるため、余裕を持って計画を進めることが大切です。

自社株の評価額は、会社の利益や業績、保有資産などによって変動します。

そのため、株式を移転する時期によって、贈与税や相続税の負担が変わる可能性があります。

早い段階で自社株の評価額を把握しておけば、会社の状況を見ながら承継時期を検討しやすくなるでしょう。

「事業承継はまだ先」と考えて準備を後回しにすると、利用できる制度や選択肢が限られてしまうこともあります。

後継者への円滑な承継を進めるためにも、早めに専門家へ相談し、事業承継の方向性を整理しておくことが重要です。

(2)相談先に迷ったら事業承継・引継ぎ支援センターを活用する

事業承継・引継ぎ支援センターは、中小企業の事業承継を支援するため、各都道府県に設けられている公的な相談窓口です。

事業承継税制の活用方法や、後継者への株式承継、親族内承継、従業員承継などについて無料で相談できます。

センターでは、事業承継に関する知識を持つアドバイザーから助言を受けられるほか、必要に応じて税理士や中小企業診断士などの専門家を紹介してもらえる場合もあります。

事業承継税制を利用する際は、税務や申請手続きについて専門的な確認が必要です。

「何から始めればよいかわからない」「どの専門家に相談すべきかわからない」という場合は、最初の相談先として事業承継・引継ぎ支援センターを活用する方法があります。

まとめ

まとめ

今回は、事業承継税制の仕組みや適用要件、メリット・デメリット、申請手順、ほかの対策と組み合わせる方法についてわかりやすく紹介しました。

事業承継税制を利用する際は、目先の税負担だけでなく、将来の経営方針や株式の売却、M&Aの可能性、後継者の資金状況まで含めて検討することが大切です。

生前贈与や持株会社、生命保険など、ほかの対策との組み合わせも考えながら、自社に合った承継計画を立てましょう。

ココザスでは、経験豊富なファイナンシャルプランナーが、会社や個人の資産状況、今後のライフプランを踏まえ、事業承継や相続に向けた資金計画をご提案しています。

「事業承継に向けて何から準備すればよいかわからない」「会社と個人の資産対策をまとめて相談したい」という方は、ぜひココザスの無料相談をご利用ください。

この記事の監修者

持丸 雅士

ココザス株式会社|コンサルタント|FP

持丸 雅士

Masashi Mochimaru

突如起きた父親の入院・手術をきっかけにお金に対する不安を感じ、ファイナンシャル・プランナーの勉強を始める。
ファイナンシャルプランナー技能士2級及びAFP認定を取得後、お金に対する正しい知識・情報を世の中に伝えていきたいと思い、個人向け資産形成コンサルティング事業を展開しているココザス株式会社へ入社。
資産形成で不安を抱えているお客様の視点に立ち、年間800人以上の資産形成のサポートを行っている。
また現在はセミナー講師として講演会を行うなど、正しいお金の知識を広げる活動にも取り組んでいる。

保有資格

AFP(日本FP協会認定)

2級ファイナンシャル・プランニング技能士

第一種証券外務員

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